控訴審での弁護士解任

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2024.2.23 mf更新

相談:控訴審での弁護士解任

貸金請求事件を弁護士に依頼しました。1審判決は敗訴でした。2審(控訴審)も1審のときの弁護士に依頼しました。しかし、今は、弁護士を解任することを考えています。
1審のときから、意見の対立はありました。今度、控訴理由書作成時に、私の主張を入れてもらえないうえ、弁護士から、「辞めてもいい」と言われ、信頼関係がなくなりました。
既に弁護士と委任契約を締結し、控訴状を提出し、現在は、控訴理由書を作成してもらっている段階です。まだ、口頭弁論期日は決まっていません。
このまま現在の弁護士で控訴審を続けるしか方法はないのでしょうか。
この時期に弁護士に辞めてもらうことは私にとって不利でしょうか。

お答え:控訴審は審理期間に制限がある

【民事訴訟における控訴審の日程】
1審判決送達
}  2週間以内
控訴提起(控訴状提出)
 50日以内(民事訴訟規則182条)
控訴理由書提出
}   1月〜2月
口頭弁論期日

依頼者(依頼人)は、いつでも弁護士を解任でき、弁護士は、いつでも辞任できます。
問題は、弁護士を代えると、依頼者にとって、費用(着手金)の2重払いになってしまう点です。その他に損得には次のものがあります。 さらに、控訴の場合、審理期間に制限があります。 最近は、普通、口頭弁論は1回だけです(有力な新証拠があると、2、3回弁論期日を開くことはあります)。 そのため、(控訴理由を含め)主張と、新証拠を、全て、口頭弁論期日までに、提出する必要があります。
簡単な事件なら、新らしい弁護士に記録を読んでもらい、新証拠を提出してもらえます。しかし、複雑な事件だと、弁護士が争点を理解するのに時間が必要です。
しかも、控訴審は、上記の通り期日が限定され、時間的余裕がありません(新しく弁護士を選任したことを理由に、1か月程度弁論期日を先の日に決めてもらうことはできます)。

1審で負けると、弁護士も依頼人も、気持ちが後ろ向きになります。弁護士が「辞めてもいい」と言ったのは、相当、感情的になっているからです。ここでは、あなたは、以上のことを比較考慮して、冷静に、決める必要があります。
弁護士と依頼者と意見が対立した場合、弁護士は、普通、依頼者の意見を尊重し、優先させます。控訴理由の中にあなたの主張(主張が、まともであることを前提ですが)を入れてくれないなら、余分にお金(新しい弁護士に支払う費用)が必要です。現在の弁護士には、辞めてもらうしかないですね(解任ではなく、辞任が良い)。

控訴審で1審判決が覆る蓋然性 は、一般的には、民事事件では2割強でしょう。1審が単独(合議ではない)の裁判官であった場合、2審で、判決が覆る可能性は若干高いです。控訴審での和解成立は多いです(和解4767に対し、判決8885です)。これも、参考に。

2010.4.21
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