弁護士に過大な要求をする依頼人

河原崎法律事務所(ホーム)
2014.9.9mf
相談:弁護士のサラ金に対する対応が不適切
弁護士会のサラ金相談所を通してある弁護士に債務整理をお願いしました。債権者は8社、着手金は、1社2万1千円で、合計16万8千円を月額5万6千円の3回払いにして戴きました。
委任したとき、私(34歳)は弁護士に、「利息制限法に従って計算すると、過払い金があると思います。時効が10年と聞いたので、10年さかのぼって過払い請求して下さい」とお願いしました。弁護士は、「出し渋るとこには、『裁判かける』と言えば、大体は和解してくる」と説明していました。
私は、安心して任せておりました。過払いになってるとこには、 過払金の返還請求していると思っていました。
委任後2か月半経過し、一度も連絡がなく、そろそろ、こちらから連絡して状況を確認しようと思っていたところ、昨日、弁護士から連絡があり、私は、弁護士事務所に行って来ました。
依頼して2か月半、いまだに取引履歴すら取り寄せてないところもあり、私は、少しイライラしました。高齢の弁護士(73歳)さんなので、行動が遅いのは仕方ないのかもしれませんが。
弁護士は、「引き直しの計算したら、109万円の過払いだったけど、87万円で取りあえず一社だけ和解した」と言うのです。 この109万円と、他の過払い請求により、戻るお金で、債務が残るところの弁済に充当する予定だったのです。私は、「過払い金を全額請求して欲しい」と言いました。弁護士は、「和解済みだから無理」と言うのです。8割和解って妥当ですか。
この弁護士は、「裁判なんてかけると面倒だし」みたいなことも言うのです。 弁護士なのに、「裁判が面倒」なんて言葉を聞いて、私は、驚いて、正直言って、弁護士の解任も考えています。
解任したとき、支払い済の着手金16万8千円は、返還請求できませんか。

回答:和解は譲歩です
一般論として、和解は、相互に譲歩する妥協ですので、100%の満足は裁判でもしない限り難しい場合があります。債務整理においては、裁判費用は、別になります。その意味では、8割での和解は妥当な範囲と言えます。 ただし、このような苦情防止のため、普通、弁護士は、和解をする前に依頼者の同意を取ります。

16万8千円が着手金なら支払う必要があるでしょう。しかし、弁護士は、「面倒だから」と言って着手金の一部を返してくれるかもしれません。

過払い金を満額返還請求するには、以前は、通常、裁判までする必要がありました。裁判は面倒だけでなく、裁判費用が必要です。着手金だけでも、最低でも1件、10万円でしょう。
大手のサラ金の中にも、取引履歴を開示しないところがあります。2か月半で、全ての取引履歴が取れてなくても、弁護士を非難できません。弁護士の年齢とも関係ありません。 その弁護士は、まともな事件処理をしているのに、依頼者が過大な要求をしている様子が見えます。

どうしても、費用をかけずに、完璧を期したいのであれば、ご自分で、簡易裁判所に対して特定調停の申立をするとよいでしょう。

弁護士の対応について
この弁護士は、無防備です。 弁護士は、全て、和解の前に、文書により、同意を取っておくべきです。敵はサラ金ですが、このような依頼者は、クレームを出す可能性があります。
その意味では、本事件を継続して処理することは、トラブルになる危険を伴います。
弁護士が、自分を犠牲にして依頼者のために身をささげる覚悟ならよいです。それがないなら、辞任したほうが安全ですね。

サラ金について
サラ金は、高い金利をとります。借りた者は、まともな(適正な)生活ができない金利です。
最近は、サラ金は、テレビでも、コマーシャルを流しています。社会がサラ金を受け入れている感があります。しかし、サラ金が、社会悪であることには、変わりありません。
2006.3.6

サラ金の対応その後
サラ金の対応も変わり、現在(2007年)では、ほとんどのサラ金は、裁判をしなくとも、過払い金の返還に応じるようになりました(2007年9月8日)。

ところが、最近(2012年)では、サラ金は、過払い金の返還を渋る傾向があります(2012.6.6)

サラ金関係者からメール
2008.2.21サラ金関係者らしき人から次のメールがありました。
「大手のサラ金の中にも、取引履歴を開示しない」は間違いでは。今日現在の時系列の中で正しい事を言って欲しい。

お返事
そうですね。 現在では、大手のサラ金は、取引履歴の開示に応じるようになりました
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