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Last updated 2011.5.2mf
弁護士河原崎弘

債務者が破産した場合、破産者の保証人は求償権を行使できるか

相談:保証したところ、本人が破産した

私の父は騙された形で、知人の連帯保証人になりました。ところが、知人はすぐ自己破産をし、父は多額(1千万円)の債務を 負うことになりました。
この場合、父がその保証債務を弁済した場合、破産をした知人に求償権の行使はできるのでしょうか。
父の債務を心配した長女は、市役所の法律相談室を訪れました。

回答:求償債権は、破産債権

お父さんが 保証債務 を履行した場合、 知人(破産者)に対し、求償権として請求しても、求償権は破産債権ですから、免責 の対象となり、破産宣告後免責決定があると、請求できません。これでは、保証人は困ります。
ところが、知人は、自分が債務超過状態であることを隠して、お父さんに保証させています。すなわち、詐欺によってお父さんに損害を負わせました。お父さんは、知人に対し、不法行為に基づく損害賠償を請求したら、いかがでしょう。
破産者が悪意で加えた不法行為に基づく損害賠償請求権は免責されないのです。 詐欺を理由とする損害賠償請求権なら悪意ですから免責されません(破産法253条1項2号)。 お父さんが、知人の詐欺を立証できれば、損害賠償請求できますね。
弁護士に依頼すれば、弁護士はプロですから、訴えを提起する際には、求償権ではなく、損害賠請求権と法律構成をするでしょう。
2006.11.8