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2023.10.10mf

クレジット立替金債権の消滅時効期間

弁護士河原崎弘

相談

5年近く前に、 妻名義のクレジットカードで75万円使ってしまいました。10月上旬に、カード会社から自宅に「減額和解のお知らせ」との文書が届きました。妻がこれを見て、クレジットカード会社に明細書を送るよう請求しました。
私は、11月から翌年1月までの3か月の間に、主に、買い物と飲食代金で75万円使いました。買い物や飲食代金は、短期時効消滅期間が決められていますが、私の場合、短期時効消滅を主張できるでしょうか。
今、私も妻も離婚を考えており、カード会社の債務が妻名義となっているため、分割ではなく、一括で返済し清算してから離婚しようと考えています。
早急に、清算したいです。よろしくお願いいたします。

回答

民法に大改正があり、消滅時効も改正されました。

2020 年3月31日まで

売買代金、飲食代金については、短期消滅時効が定められていました。買い物の代金債権は2年(旧民法174条)、飲食代金債権は1年(旧民法173条)で時効消滅しました。
しかし、クレジットカード会社が、立て替えた結果、カード使用者に請求する債権(立替金債権、求償金債権)は、これとの別個の債権です。 したがって、民法の短期消滅時効の適用はありません。

会社は商人です(会社法5条)。カード会社の有する求償債権は商事債権ですので、消滅時効期間は5年です(旧商法522条)。時効の起算日は、弁済した日(最高裁昭和60年2月12日)です。 なお、信用保証協会は、商人ではありません(最高裁昭和42年10月6日判決)。

2020年4月1日以降

商事債権の時効は廃止されましたが、立替金債権、求償金債権の時効は、5年です(民法166条1項)。

結論

どちらにしても、 相談者の場合は、5年経過していないので、時効は完成していません。カード会社と和解交渉をし、弁済する必要があります。カード会社は分割弁済を認めるでしょう。

判決

登録 2011.10.19
東京都港区虎ノ門3丁目18-12-301 弁護士河原崎法律事務所 電話 3431-7161