しらすを土質工学標準用語集で調べると、「南九州に分布する火砕流堆積物、降下火砕堆積物、それらの二次的な堆積部など、軽石質〜火山灰質の白っぽい弱溶結堆積物」と書いてあります。「東北地方の地盤工学」によると、東北地方には「しらす類似土」が分布しており、北から恐山しらす、十和田しらす、肘折しらす、沼沢しらすなとがあるようです。このうち、岩手に分布するのは十和田しらすです。
十和田しらすの主体は、約2万5千年前に噴出した大不動火砕流と1万3千年前に噴出した八戸火砕流で、岩手県内では、七時雨山より北の二戸市、浄法寺町、安代町、一戸町で比較的厚い火砕流堆積物の層が分布しています。
ちなみに、この火砕流堆積物をしらすと呼ぶのは土質工学の研究者やコンサルタント会社の者などであり、地元の人がしらすと呼んでいるわけではありません。具体的にどのように呼んでいるのか正確にはわかりませんが、二戸の地学(二戸科学教育研究会)では福岡層と名付けていたようです。また、一戸町北部出身の私の親はシラツヅ(白土しらつち)と呼んでいたようです(東北弁なもんで^^;)。
大不動火砕流堆積物と八戸火砕流堆積物は、一戸・二戸地区の福岡段丘と一戸段丘を区分するキー層のようですが、どうやって見分けるのでしょうか?
岩手県内に分布するこの十和田しらすの露頭写真を紹介します。
二戸市上斗米の露頭
写真-1 市道横の露頭
写真-2 炭化した埋木の様子
安代町の露頭
写真-3 安比川河岸にある公園近くの露頭
写真-4 ここでも炭化した木片が見られる
参考文献
土質工学標準用語集(土質工学会)
東北地方の地盤工学(地盤工学会東北支部)
日本の地質2東北地方(共立出版)