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学校パソコン室の利用

 会場の確保には苦労しました。有料の施設を借用すると営利的なパソコンスクールと同程度の会費を参加者から徴収することになってしまうので、当初から公立の小中学校を無料で開放してほしいと考えていたのです。

 区長あてに手紙でお願いしたところ、回答はNo!でした。
理由としては、地域開放教室ならば専用の出入り口や鍵で管理できるが、パソコン室はそのような方法をとることができない。教育用パソコンはネットワーク化しているので専門的操作が必要であり外部のものが自由に使うのは難しい状態にある、の2点が挙げられていました。

 学校以外の公的施設にも依頼しました。教育科学館のパソコンは、先生方の研修などで余裕がないと断られました。勤労福祉会館ではハードディスクに余力がないからとして理由で拒絶されました。勤労者を対象に設置したものだから無職の高齢者には貸せないとのニュアンスも含まれていたようです。 都の職業訓練校では、企業の従業員向け研修なら考えてもよいが、ボランティアグループの高齢者向けでは駄目だといわれました。

 当初の構想に戻って、小中学校を対象に交渉を続けることにしました。学校教育法第85条には「学校教育上支障のない限り、学校には、社会教育に関する施設を付置し、又は学校の施設を社会教育その他公共のために、利用させることができる」と規定されているのです。この条文を受けて各自治体では学校設備使用条例を制定し、使用条件・使用料・承認申請書式などを定めています。

 ようやく前向きの回答を得たのは、平成12年6月のことでした。「高齢者のためにコンピュータ研修を学校を会場として行うという企画については、小中学生の子供たちには、同世代のふれあいだけでなく、多様なふれあい、かかわりが大切と考えているので検討したい。実際に学校という場でどこまで可能か、担当者を差し向け、お話を聞かせていただきたい」と書いてありました。

 担当部署は教育委員会の指導室です。生涯学習課ではありません。担当の指導主事に講座の趣旨と運営方法について説明し、受け入れ可能な学校を探してもらうことになりました。教育委員会から指示とか命令はできないのです。条例にも「学校長の意見を聴き承認するかどうかを決定する」と規定しています。学校内の管理は、すべて校長先生の責任だからです。

 最終的に、高島第七小学校が利用をOKしてくれました。「ぱそぼら板橋」というボランティアグループが精神障害者や身体障害者のパソコンサポートなど「公共のために」地道な活動をしてきたことが認められたのでしょう。この小学校の校区が公団の大規模賃貸団地で、祖父母と三世代同居経験のない核家族の子供たちであることも要因だったと思われます。校長も世代間の交流を頭に描いていたようです。

 利用期間は2001年1月10日から3月21日までの毎週水曜日に決まりました。とりあえず3学期だけ、4月以降については別途協議ということです。新年度に校長の人事異動も予測されていたからでしょう。時間帯は第5校時が終わって職員会議が終了するまで、午後3時から5時までに設定されました。講座の延べ使用時間は11日間、22時間ということになります。

講座写真





高島第七小学校のパソコン室


  講座開催の当時、生徒用の10台は、2台ずつ背中合わせに配置されていた。

 (その後の更新により現在では20台が壁に沿っての並列配置に変わっている。)

                    

















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