月山 ( 月山:1,984m ) 2006.10.13 登山


  月山頂上にある月山神社本宮 ( 2006.10.13 )

【月山再登山記録】

【月山再登山データ】

フォト

初回登山


月山再登山記録

2回目の 月山である。

前回は雨に祟られて姥ヶ岳との分岐である金姥以降はほとんど視界を得られず、しかも牛首からの登りでは雷と雹に遭って生きた心地がせず・・・ と散々なものであったから、 今回は一応登山当日の天候には十分に注意を払ったつもりであった。
最終確認となる出発前夜の天気予報でも、登山当日の山形庄内地方の天候は晴れ。これは良い登山が期待できると思っていたところ、 何と出発当日、早朝の天気予報では寒気が東北地方にに入り込んで云々 と言っているではないか。イヤな予感がし始める。

それでもまだ期待を抱いて羽田空港 午前 7時15分発 庄内空港行きの飛行機に乗るべく、 朝5時半過ぎに自宅を出発。
ところが羽田に着いてみると、庄内空港は霧が深く、万が一着陸できない場合は 新潟空港に着陸しますという条件付きフライトであるとのこと、 ますます不安が募る。レンタカー、ホテルの手配も済ましているのだから、今更取りやめる訳にはいかず、ある種 賭をするつもりで飛行機に乗り込んだ。
すると今度は出発時間になっても飛行機が飛ばない。何と電気系統の故障が見つかったとのことで、修理・調整に時間が掛かり、 結局出発が 45分ほど遅れる始末。全くついていない。

とは言っても全く悪いことばかりではない。出発が遅れたためであろうか、庄内空港の霧は晴れたらしく、 新潟空港に着陸するという最悪の事態は避けられ、9時前に庄内空港に無事着いたのであった。 しかし、天候は晴れであるものの、山の方は雲が多いように見え、今日の登山に対する不安がまた増してくる。
レンタカーを借り、カーナビにて目的地を湯殿山神社にセットして出発。
ここで私は大きな失敗を犯してしまった。というのは、空港を出るとすぐに高速に乗ることになって、食料調達を予定していたコンビニには遭遇せず、 また湯殿山ICで高速を下りてからも 湯殿山神社までの間にコンビニは全くなくいという状況で、結局 食料も水も無いという状態で湯殿山道路入口に着いてしまったからである。 よくよく考えると、今回はナビの指示で湯殿山ICで高速を下りたのだったが、前回は手前の庄内あさひICで高速を下りるように指示され、 下の道を通って湯殿山ホテル前まで進んだので、途中 コンビニで食料調達ができたのである。今回も前回と同じルートだろうと安心していたのが致命的であった。
しかたないので、全体のスケジュールが遅れている中での時間ロスは痛いものの 湯殿山道路料金所前の土産物屋で肉うどんを食べて腹ごしらえをし、 山での食事用にとトチ餅を 3つとチョコレート、そしてペットボトルのお茶 2本を購入して何とか体裁を整えたのであった。

ということで、仙人沢の駐車場に車を駐めたのが 10時30分。出発は 10時35分であった。
空を見上げると青い部分はあるものの、雲がかなり広がってきており、心配はますます増してくる。大きな鳥居を潜り、湯殿山神社までの車道歩きを始める。 この登りが結構きつい。この道を参拝バスも走っているが、さすがに乗る気にはなれない。 周囲は紅葉に染まっており、これで快晴なら文句はないのだが・・・。

湯殿山直務所で車道を終え、ご神体を祀る湯殿山神社本宮へと向かう。石段を下り、 小さな川を渡ったところがご神体を祀る湯殿山神社本宮である。ご神体は温泉の湧き出す石塔とのことだが、それを拝むにはお祓いを受ける必要があり、 無論登山とは関係ないのでパス。
本宮とは反対の左に道をとるとすぐに山道が始まる。コンクリートの堰堤を過ぎ、細い道を登っていくとやがて右手の山から流れ来る沢に掛かった ドラム缶のような橋を渡ることになる。 その先で道は右に折れ、そこから急な登りが始まった。流れ落ちる沢に沿うように登る道で、時折 沢からの流れが登山道まで流れ出てきて岩の間を流れている。 ここが水月光と呼ばれる道で、濡れた岩、苔むした岩が滑りやすく、かなり気を使うことになる。

やがて、道は左へと曲がり、沢筋から外れると展望が開ける。振り返れば湯殿山神社本宮が紅葉の山間下方に見える。 前方を見れば、残念なことに山の上の方にガスが掛かっていて、まさに前途に暗雲立ち籠めるといった状態である。
登山道の方は鉄梯子がいくつも現れるようになる。これが金月光と呼ばれる急坂で、素手では鉄梯子の手すりが冷たい。
前回は軽く通り過ぎた感のあるこの月光坂も、天候に裏切られて少々気落ちしている我が身にはきつい。
息を切らせて登り着いたところが装束場と呼ばれる平らな場所で (11時30分着)、 避難小屋がある。避難小屋の後ろには湯殿山が大きい。
進む方角を見やれば、ササの中を分ける登山道の向こうに、赤や黄色に染まった原が広がっていて大変美しいが、 残念なのはその先の斜面がガスで見えなくなっていることである。志気が上がらないまま先へと進む。

ここは紅葉まっさかり。赤や黄色に染まった木々と、ササの緑、黄金色の草が織りなす原色の世界はとても言葉では言い表せない美しさである。 そうそう苗場山の下・中・上之芝を思い出させる。それにしても青い空がほしい。
道はさほど急ではなく、志気が上がらないとは言えペースの方は一応上がる。左に池塘を見て、清身川の流れを渡るころになると、 ガスがかなり周囲にも下り始めてきた。
先に見える金姥 (姥ヶ岳からの道との合流点)、そして左手の柴灯森 (サイトウモリ) の高みはすでにガスの中で、 この光景は全く前回と同じである。

強い風が吹く中、金姥で道を左に折れ、整備され石畳となった道を登る。
登り着いたところからはほぼ平らな道に変わり、ペースだけは進む。この辺になると風はかなり強くなり、体温を奪う。 高みの陰となって風が遮られている場所でウィンドブレーカーを着、軍手をはめる。前回のように雨、雷がないだけマシか と思いつつも、 高いお金を掛けてきたのに とついつい愚痴も出る。

完全に周囲はガスの中、時折ガスが晴れて右下方の原とそこに走る木道が見える。
やがて、その木道からつながる道と合流し (牛首)、なだらかな道を進んでいくと、前回、雷と雹に襲われた鍛冶月光と呼ばれる岩場の急斜面となった。 ガスの中、左から吹き付ける風が冷たく強い。掛けているメガネは左のレンズだけが濡れてしまうといった状況で、吹き抜けるガスとともに視界を悪くさせる。
岩場の道を悪態をつきながら登るが、この鍛冶月光では上から下山してくる人とかなりの回数擦れ違った。平日というのに結構な混みようである。 聞けば頂上は視界ゼロとのこと。情けない。

息を切らせながら岩に付けられた赤ペンキを頼りに登る。だんだん惨めな気持ちになり始めた頃、 石垣に囲まれた道へと導かれた。
こうなるとここはもう頂上の一角のはずである。急に元気が出始める。ここから一旦吹きさらしの中を歩くことになるが、 やがて周囲に建物が現れ始めると ガスの中にお馴染みの月山神社本宮と書かれた石門が現れた (13時8分着)
月山神社は本来有料であるとのことだが、この時期 徴収者などいるはずもない。石垣に囲まれた神社に入ると、本来賽銭箱のあるところに三日月型をした石が置かれている。 中が船のようにくりぬかれているためかお賽銭も入っていたが、どうも周囲の雰囲気とは合わない気がする。

一旦、神社から出て神社の左手を周り、左上の岩場 (神社の後ろになる) へと登ると三角点がある。
前回もガスで周囲は何も見えなかったが、今回も同様。非常に悔しい。
さあ、後は往路を戻るだけである。神社前まで戻り、トチ餅を 3つ食べた後は、来た道を戻った。
頂上付近は結構 風が押さえられていたのに、頂上小屋を過ぎると風が体に強く吹き付ける。特に鍛冶月光の下山時の風には参った。 先ほどよりも冷たく、強く、あまりの冷たさに顔はこわばり、目や鼻が痛くなる。

周囲を巻くガスは金姥まで変わらず仕舞いであったが、金姥ではわずかに雲の切れ間から青空が見え、 月山の右端の部分だけを見せてくれたのであった。ここまま頂上付近まで見せてくれるかと暫く待ったが、結局ガスは晴れず、 涙を飲んで湯殿山神社へと向かったのであった (14時8分)

15時8分、仙人沢駐車場着。
湯殿山ホテル (残念ながら汲み上げポンプが故障しているとのことで、沸かし湯) で汗を流したあと、 今夜の宿泊地である盛岡へと向かった。距離は 290キロほど、登山にも増しての重労働である。
盛岡への道すがら考えたが、そういえば今日は 13日の金曜日。英語圏の多くで不吉な日とされているこの日は、私にとってもついてない日であった。(岩手山再登山へと続く)。


月山再登山データ

上記登山のデータ登山日:2006.10.13 天候:晴れのち曇り単独行日帰り
登山路:湯殿山神社参籠所−湯殿山神社本宮−水月光−金月光−装束場−清身川−金姥−牛首−鍛冶月光−月山神社−三角点− 鍛冶月光−牛首−金姥−清身川−装束場−金月光−水月光−湯殿山神社本宮−湯殿山神社参籠所
交通往路:瀬谷−(相鉄線)−横浜−(バス)−羽田空港−(飛行機)−庄内空港(これより車)−庄内空港IC−湯殿山IC−湯殿山参籠所(車にて)
交通復路:湯殿山参籠所−湯殿山温泉−月山IC−(山形自動車道)−村田JCT−(東北自動車道)−盛岡IC−岩手第一ホテル (車にて)


百名山のメインページに戻る   ホームページに戻る