登山NO.0047 鹿 島 槍 ヶ 岳( 鹿島槍ヶ岳:2,889m ) 1994.7.30登山


 北尾根ノ頭付近から見た鹿島槍( 1994.7.31 )
【鹿島槍ヶ岳登山記録】

【鹿島槍ヶ岳登山データ】

フォト

再登山


NO.47 鹿島槍ヶ岳登山記録

毎年、会社の夏休みにはアルプスへ行くことを恒例としているが、 単身赴任先の宮崎から一旦横浜の自宅に戻ってそれからアルプスへ出かけるというのは、 金銭的にも時間的にも大変非効率的であることから、今回は宮崎から直接 北アルプスへ行き、下山後横浜へ戻るという計画を立てた
北アルプスも、これまで表銀座裏銀座を縦走し、 昨年は白馬岳に登ったことから、 今年は立山剱岳か、 後立山連峰のどちらかに登りたいと思っていたので、 大阪か名古屋を起点とした登山基地へのアプローチを検討し、結果として名古屋から夜行バスで扇沢へ行き、 後立山連峰を登るルートを選ぶことにした。

金曜日、会社終了後宮崎空港から名古屋空港へ飛び、空港から名古屋へ行って夜行バスに乗り、 翌朝 6時に扇沢に着いたのだが、このように夜の 6時には宮崎にいたのに、3時間後には名古屋駅前をウロウロし、 さらに 9時間後には北アルプスの登山基地である扇沢にいて、登山者の群 ? の中に自分が立っているというのが、 とても不思議な感じがした。
私が目指すのは鹿島槍ヶ岳のため、室堂を目指してトロリーバスを待つ登山者とは離れ、今朝バスが通ってきた道を爺ヶ岳登山口まで戻った。

爺ヶ岳登山口と書かれた標識の所から車道をはずれ、堰堤の梯子を登って右の尾根道に入ると、 いきなりジグザグの登り坂が待っていたが、夜行バスの中であまり眠れなかった身にとっては最初の一汗が出るまで身体が重く、 こうした出だしからの急登は大変きついものがあった。
しかし、この登りもあまり長い距離ではなく、登り切った後は道も緩やかにつけられていたので、 身体がほぐれてくるにつれて調子が出てくるようになった。

途中、先ほどの扇沢ターミナル駅とその後ろの山々が見える箇所もあったものの、 山全体がガスに包まれていたため、総じて景色を得ることができなかったのであるが、その代わりの慰めであろうか、 猿の群を間近に見ることができた。
道はあまり急勾配もなく、黙々と歩くことができ、比較的優しいコースと言われているだけあると納得しながら進んで行くと、 やがて種池山荘の屋根が見え、そこから一踏ん張りで山荘の前に飛び出すことができた。
山荘からは剱岳の姿を眺めることができたが、それもつかの間、 一瞬でガスの中に埋没してしまった。

ほとんど休むことなく爺ヶ岳へと向かい、さほどきつくない登りを辿っていくと、 3つ程ピークに出会ったが、その真ん中が爺ヶ岳で、その頂上からはこれから登る鹿島槍ヶ岳を見ることができた (頂上は雲の中であった)
そこから冷池山荘へは、爺ヶ岳の北峰を黒部側に巻いて進めばよく、ガスの中 着いた小屋では、 登山道脇のベンチに腰掛けて早い昼食をとった。

小屋の前からキャンプ場を過ぎて暫く進むと布引山で、そこからも暫くはゆるやかな登りの道が続いたが、 鹿島槍ヶ岳の頂上に近づくにつれて傾斜はきつくなり、おまけに足下は岩の屑で砂利道のように滑りやすく、 少々苦労させられた。
尾根の左側を通っている時は風を得ることができなかったものの、尾根上に立つと右側から涼しい風が吹き上げてきて、 一気に力が蘇る感じがした。

鹿島槍ヶ岳の頂上 (南峰) では、残念ながら霧のため全く視界を得られず、 30分ほど粘って霧が引くのを待ってはみたものの、全く消える様子がないので仕方なくあきらめ、北峰へと向かった。
北峰は、南峰と吊り尾根を挟んで対峙しており、縦走路途中から右に分かれて登ったところにあったが、 その頂上には標識もなくただケルンが積んであるだけでいささか拍子ヌケさせられ、 さらに戻る途中、霧が晴れて周囲の山々が見える瞬間があったので、そのタイミングの悪さに一層ガックリさせられた。

縦走路に戻り、浮き石があって歩きにくい所を下って、いよいよ本日の難所である八峰のキレットにかかったが、 梯子と鎖の連続ではあるものの、みなしっかり固定されており、加えて霧であまり周囲が見えなかったことから、 ほとんどスリルを感じることなくスンナリ通過することができた。
最後に長い梯子を下って、今夜泊まるキレット小屋の前に下り立ったのが 14時20分、結構快調にここまで来ることができたので、 それを誇らしく思いながらビールで喉を潤していると、急に雨が降り出してきた。本当にラッキーであった。

雨はひとしきり激しく降った後サッと止み、周囲も明るくなってきたので外へ出てみると、 小屋の少し先から、先ほど登ってきた鹿島槍ヶ岳の姿がハッキリ見えた。
縦走という点から言えば、雨に降られなくてよかったのだが、登頂という点からは、雨後に鹿島槍ヶ岳の頂上に立ちたかったと思った次第である。

以後、五竜岳の項へ続く。


鹿 島 槍 ヶ 岳 登 山 デ ー タ

上記登山の
データ
登山日:1994.7.30 天候:晴れ後曇後雨 単独行 前夜車中泊
登山路:扇沢−爺ヶ岳登山口−モミジ坂−種池山荘−爺ヶ岳−冷池山荘− 布引山−鹿島槍ヶ岳−八峰のキレット−キレット小屋(
交通往路:宮崎空港−(飛行機)−名古屋空港−(バス)−名古屋− (バス:車中泊)−扇沢
交通復路:五竜岳へ縦走。五竜岳の項参照
その他:7月29日夜行バスにて出発。翌30日鹿島槍ヶ岳登山。
30日はキレット小屋泊。
その他の
鹿島槍
登山
大谷原−西俣出合−高千穂平−冷乗越−冷池山荘−布引山−鹿島槍ヶ岳(南峰)−北峰(往路を戻る)  ( 2011.9.24:快晴 )
    ここをクリック

山のメインページに戻る   ホームページに戻る