登山NO.0030 安 達 太 良 山( 安達太良山:1,700m ) 1991.4.29登山


 草木1本生えてない沼ノ平( 1991.4.29 )

【安達太良山登山記録】

【安達太良山登山データ】

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再登山


NO.30 安達太良山登山記録

磐梯山の項より続く。


朝8時、前日予約しておいたタクシーにて宿を出発し、沼尻登山口に向かった。
白糸の滝展望台付属の駐車場でタクシーを降りて登山道に入り、 暫く登ると小高い 白糸の滝展望台に出た。

その名の通り展望台からは白糸の滝を見ることができたが、そこは昔火口壁だったのではないかと思わせる程 周囲の岩肌が荒々しく、 茶色や黒に焼けただれたような岩の間に 一筋の白い糸が流れ落ちていて、 ここが火山地帯であることを思い出させてくれた。

振り返れば、ドンよりとした天候の中に、昨日登った磐梯山がボーっと浮き上がっているように見え、 赤埴山を左に、 右に櫛ヶ峰を従えた姿は なかなか堂々としていた。

本日の天気予報は雨となっており、確かに今にも雨が降りそうな気配が見えて、歩みも何となく早足になる。

尾根道を登ってから下りに入り、先ほどの白糸の滝へと続く川 (硫黄川) の方へ降りていくと、 硫黄の臭いが鼻をつくようになり、 やがて湯ノ花採取小屋の前に出た。

先ほどの尾根道はまだ草木や笹が見られたが、この硫黄川沿いの道に降りてくると、周囲は草木一本なく、 赤茶けた岩がゴロゴロした、 いわゆる死の世界のような風情となった。

岩の間を縫うようにして進み、左に胎内岩コースの道を分けると、道は硫黄川を渡っては戻ることを繰り返すようになり、 やがて川も消えて、 砂利の上に小屋の焼け跡のようなものがある 沼ノ平入り口に着いた。

沼ノ平は直径が500mもあると言われるだだぴろい火口原で、周囲を山 (火口壁 ?) に囲まれた草木一本生えていない殺伐たる所で、 ガイドブックに書いてある 「月世界を思わせる広大で荒涼とした」 という表現がまさにピッタリの場所であった。

この沼ノ平に着くまでは、標識やペンキ印があり問題なく来られたのだが、いざ沼ノ平を前にして標識類が一切見当たらず、 どの方向に進んでよいのか困ってしまった。

これだけ広い中を闇雲に進む訳にはいかず、何か手がかりはないかと探していると、沼ノ平の左の方に赤い印を付けた岩があるのを発見した。
ようやくルートが見つかったと安心して 左の壁沿いに進んでみたが、 そこも暫く進むと途中から踏み跡らしいものが全く消えてしまって、 またもや道が分からなくなってしまったのである。

困ってしまって、砂利の堆積したような火口壁に取り付いてみたが、それとて確信があるわけではなく、 途中から 「止めた方がよい」 という声が心の中で強くなって、 結局断念してしまった。

一応、それなりの高さまで登ってきていたので、沼ノ平全体を見渡してみたのだが、何の手がかりも得られず、 かくなる上は 火口壁の周囲をぐるっと回れば途中で取り付き口が見つかるのでは と考えて、 行動に移そうとした時、 ガイドブックを見ることを思いついたのである。

ガイドブックを開いてみると何のことはない、「尾根に登るルートを左に分け、 広い沼ノ平の中央を突っ切る」 と書いてあるではないか。

最初からガイドブックのことを思い出して調べていれば、40分ほどの時間を無駄にせずに済んだのであり、 この40分のロスによって 後ほどさらに残念な思いをさせられることになった。
また、 この間誰も通らなかったのも 私の不運であったと言えよう。

ガイドブックの通り真ん中を進んで行くと、沼ノ平の向こう側に見えた残雪の上に足跡が付けられているのが見つかり、 更にはその先の岩場から親子連れが降りてくるのに出会ったので、 一安心であった。
道が明確になったので、 失った時間を取り戻すべく、 ガスが出始めた中、 岩場をかなりのスピードでよじ登って、 短時間で尾根の上に立つことができた。

そこからは安達太良山まで一直線かと思いきや、だんだん濃くなるガスの中でいつの間にか道をはずしたらしく、 目の前に残雪が大きく広がった、 しかも一つも足跡がついていない場所に出てしまい、 またまた愕然としてしまった次第である。

辿ってきた道を戻ってみると、道は右の方にしっかり延びているのが見えたので事なきを得たが、 先ほどの沼ノ平で道に迷った時といい、 今回といい、 心が平静ではなかったようである。

再び尾根道を辿り始めると、今度は雨がポツリポツリと降り始め、全く踏んだり蹴ったりで、 しかも雨が次第に強くなってきたので、 仕方なく途中にあった大きな岩の陰で 雨具を身につけることにした。

やがてガスでモヤっとした中、安達太良山の頂上である乳首部分が見えてきたので、鎖を伝ってよじ登り、 ようやく祠のある頂上に立つことができたが、 もうその頃には雨がかなり強くなっていて、 標柱を背にしての登頂の記念写真を撮ることができなかった。

この安達太良山は、百名山登頂の30番目に当たる記念すべき山であったが、 道に迷ったあげく、雨に降られて 頂上での記念写真を撮れなくなるなど (こんなことは初めて)、 散々な山となってしまった。

宿の朝食の時間に合わせて宿を遅く出発したこと、道に迷っての40分のロス、事前によくガイドブックを読んでおかなかったこと など 大いに後悔・反省をさせられた。

下山は五葉松平を下ったが、降りしきる雨とガスでほとんど何も見えず、また足下は水たまりと泥によるひどい悪場で、 大変苦労させられた。

途中ほとんど記憶に残ることもなく、奥岳温泉に下り着いたが、そこからの交通手段もなく、結局岳温泉までの長い車道を歩かねばならなかった。

せめてもの慰めは、岳温泉での公衆温泉場で汗を流しユッタリした気分に浸れたことであったが、この山は、 頂上にての記念写真を撮るために再度チャレンジしなければならない山 である。


安 達 太 良 山 登 山 デ ー タ

上記登山のデータ登山日:1991.4.29 天候:曇り後雨単独行前日泊
登山路:沼尻登山口−白糸ノ滝展望台−湯の花採取小屋 −沼ノ平−馬の背−牛の背−安達太良山−五葉松平−ゴンドラ乗場−奥岳温泉−岳温泉
交通往路:川上温泉−(タクシー)−沼尻登山口。川上温泉までは磐梯山の項参照
交通復路:岳温泉−(バス)−二本松−(東北本線)−郡山−(東北新幹線)− 上野−(京浜東北線)−横浜−(相鉄線)−瀬谷
温 泉:岳温泉
その他:4月28日は川上温泉泊。翌29日安達太良山登山。その後帰宅。
その他の安達太良山登山奥岳温泉−勢至平−峰ノ辻−安達太良山本山−鉄山−船明神山−峰ノ辻−くろがね小屋−勢至平−奥岳温泉 (2004年10月2日 : 快晴)
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