ヤーマチカ通信 No.53

三度目の戦争はボクの罪…2002年3月13日号

1月末からモスクワへ行っているはずでしたが、延期せざるを得ない事情が生じて、6年ぶりに2月を東京で過ごしました。

ブックレット「ロシア愛唱歌集」(仮題)の準備が意外に手間どり、中に載せる20曲ほどの楽譜作りも引き受けることになったからです。パソコンの楽譜作成スクールに通って大急ぎで覚え、家でモグラ状態になってオタマジャクシやロシア語歌詞やふりがなを、あっちへずらし、こっちへずらし、しながら、小さなページに収めようと悪戦苦闘していました。(楽しかったけれど)。64ページの小冊子で、6月に発売予定となりました。お話しをいただいてから一年、ロシアの著作権協会となかなか連絡がとれなかったり、ポクロフカ劇場公演の準備にかまけて原稿が遅れたり、と、関係者の方々にずい分ご迷惑をおかけしましたが、ようやく…

一番寒い季節に、マリヤさんの手足になるためのモスクワ行きでもあったので申し訳なかったのですが、今年は暖冬だったのがせめてもの救いでした。というわけで、改めて3/21〜4/13、モスクワのマリヤさん宅へ、居候しに、行ってまいります。

「治安の悪いロシアへ行くのは怖くありませんか?」とよく訊かれますが、金品目的と、たいがい動機がわかるので避けようもあり、わけのわからぬ殺人が多発する日本より怖いとは思いません。その人にとって必要(?)なことのために災難に遭ったら(遭いたくないけど)、諦めもつこうというものです。

それより、いろいろな国を旅行する時、いつも思うのですが、自分の国が(現在、たまたまにせよ)他国への武力介入や兵器の輸出・供与をしていなくて(部品は作っているらしい)、有難いなと思います。でなければずっと危険だとの自覚はあります。


初めての戦争は誰のせいでもない
二度目の戦争は誰かの罪
三度目の戦争…それは僕の罪

ブラート・オクジャワ「わが人生の歌」より

去年の9月11日、「NYの貿易センタービルに飛行機が激突し、崩れた」ニュースを知らせてくれたのは、ライブハウス出演後に寄った店の板前さんでした。翌日から3日間は天理大学での集中講義「ロシア・コミュニケーション論」がテーマでしたが、毎日、半分を割き、起こったばかりで不明なことだらけの事件のニュースを、「自分の力で読み明かす」実践にあてました。そして、学生たちには、「もし自分がその時、ビルの中にいたら、何階のどこで何をしていて、何を見、何を考えただろうか」「操縦カンを握っていたら…(同)…」「飛行機の乗客だったら…(同)…」など、様々な立場を、できるだけ具体的に想像して、語る努力をしてもらいました。

私たちは自分が生まれてくる国を選ぶことはできませんから、どの当事者であった可能性もあるのですから。さらに、一度で数千人殺すテロの現場に居あわせた実感を可能な限り我がことと結び付けると同時に、日常生活の中で、毎日、毎日、通学路、買物などでいつ銃撃されるかわからぬ生活の恐怖について話し合いました。


初めての嘘−夜明けの霧
二度目の嘘−酒にかこつけ
三度目の裏切りは−夜の闇より黒々と
三度目の裏切りは戦争より恐ろしい

同じくブラート・オクジャワ「わが人生の歌」より

この通信を清書していたら、脇のつけっ放しのテレビで国会の証人喚問。

鈴木宗男氏が「北方4島は、本当は要らない…」という発言を以前にしていたというメモが暴露されたのを見て、これと同じことを前に自民党の別の人から聞いたのを思い出しました。1990年秋にモスクワで「日本文化週間」のフェスティバルがあって、総合司会で行った時、北島三郎さんや森英恵さんたちの他に、後に総理大臣になった2人を含め、自民党議員も40名参加。ある朝食会の雑談で、同じことを言っていた。曰く「振り上げたこぶしのもっともらしい収めどころを探しているだけ。それと右翼対策さ」と。


ロシア人の目に映っている日本と日本人

ロシアの人気テレビ番組「セヴォードニャチカ(сегоднячко)」に生出演した山之内重美がロシア人司会者や視聴者からうけた質問とは? 彼らにとって、日本の何が不思議?

東西陣営の緊張が続いた20世紀にも増して、始まったばかりの21世紀は、ことなる文化の相互理解がいかに困難なことであるかを私たちに突きつけています。日本とロシアの間には幸い、今のところ大きな波風は立っていませんが(北方4島が、利権スキャンダルで別の注目を浴びていますけど)、隣国どうしとして、互いを知る機会が多いに越したことはないでしょう。

ちょっと古いエピソードで申し訳ないのですが、以下は1999年2月に、ロシアのテレビに20分間生出演した時のやりとりです。(昨年も一昨年も、時折、再放送されました)。

前夜にいきなり、「明日は日本のナショナルデー(建国記念日)なのでゲストを探しています。着物を持っていたら着てきてください」と電話を受け、打ち合わせもなしのぶっつけ本番でした。私には意外な質問も多く、「へえ、ロシア人はこんなふうに日本人を見てるんだ?!」という発見にもなりました。ご参考になれば…。

HTML作者註:期待をもたせておいて申し訳ありませんが、記事の中身をネットに流していいのか自信がありません。独立テレビ局にかけあう気力もありませんし…m(..)m


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Original by Shigemi Yamanouchi, (C) 2002
Last Update : 3, Apr., 2002
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