生録の足II フキFK310

久々の六輪生活、これぞ原初の「原動機付自転車」FK310

日本海を見下ろし佇むFK310の勇姿

以前は丸目時代のシャリー50を乗り回していましたが、当地に引っ越してからは四輪オンリーになりました。でも、クルマというのも不便なもので、

  1. クルマで行くような距離じゃないと燃費が落ちるしエンジンにもよくない
  2. いつも駐車スペースを考えて動く必要がある
  3. 狭い道だとすれ違いや方向転換が面倒
  4. いうまでもなく、環境にも社会にも負荷をかける
なんて点があるんですね。かといって運動不足の身には自転車も大変というので、軽い原付が欲しくなりました。遠出はティーノか鉄道で行くので、最低限の仕様で十分です。菊川怜サンが可愛い鈴木のチョイノリにしようかとも思ったのですが、「軽くて自転車としても実用範囲」というネットの記事を読み(おまけに日産ファンのサイトで<今どき珍しい混合潤滑2スト、スカイラインの遠い親戚>というのも読んでしまい…)、FK310を選びました。街角探検、野外録音/撮影の脚にも使おうと思っています。

FK310DXの緒元


どんなものか

有限会社フキ・プランニングの作っている安価な国産モペット moped (motor+pedal、ペダル付きバイク) です。

簡単にいえば、ママチャリに農機具風というか模型飛行機用というかのガソリンエンジンを積んだ乗り物です。ペダルだけ、エンジンだけ、人力+エンジンの三種類の動かし方があります。尚、エンジンを作っているゼノアは、遡ると中島飛行機に行き着く会社で、日産乗りが使うに相応しいメーカです(前に乗ってたのはラングレーですし(^^;)。

ママチャリといっても、1万円程度の物とは違い、アルミやステンレスが広く使われています。メッキも上等です。チェーンもシルバーです。ミラーやライトは最初からついています(バイクなので当然ですが)。ブレーキもバンドじゃなくてシマノのローラーです。エンジン付き高級ママチャリですね。サドルも幾分幅広みたいです。ママチャリ式にサドル下にバネがあり、タイヤ/スポーク以外はこれが唯一の緩衝装置です。

おつかいはFKで気軽に行きましょ

モペットは手軽でおしゃれな乗り物として話題になったらしいのですが、筆者の住んでいる辺りでは、どちらかというと昔の乗り物という感じがします。筆者も子供のころに、ペダル付きのバイク(の残骸)をよく見かけたものでした。モペットの中でも、特にこの無骨なFK310は、田舎道に合います。街を走ると、一番喜ぶのが子供達です。高校生の笑い声もよく聞きます。「え〜、あれ自転車でしょ、でもエンジンついてるの〜」って。

なお、日本の法律ではモペットも50ccスクーターも10000rpm以上回り100km/h以上出たという伝説のゼロハンスポーツも等しく原付です。歩道を走行する事はできません。交差点二段階右折も適用されます。公道ではナンバー登録と自賠責が必要で、ヘルメット着用の義務もあります。まあフルフェイスと皮ツナギでFK310に乗ったら、ある面受けるでしょう…


自転車として

自転車としては些か重く、タイヤが太く、バイクとの切替機構に機械的損失があるようで、通常ママチャリより体力を使います。それでもママチャリ程度の利用法なら充分使えます。重いといっても、ママチャリに荷物を載せればこの位になります。初期の電動アシスト自転車より軽く、チョイノリも他のモペットも軽さでは圧倒します。家族でのサイクリング、片道だけでも体力づくり、燃料切れ、閑静な住宅街を夜走行する等の場合には自転車モードで走りましょう。

バイクとして

非力です。なんといっても30ccで0.8馬力のエンジンでしかありません。その分始動が楽ですし、保安部品の一部を省略する事も合法になっているようです。具体的には方向指示器、制動灯、左ミラーがありません。警音器は自転車用のベルです。

走ってみると、内装変速機は必須という感じです。乗っている人間の体重が体重ですので、坂道になると人力アシストします。そうすると相当の坂でも登らないということはありません。発進する時も人力アシストすると滑らかです。平地ならエンジンだけで原付一種の法定速度が充分出ます。そもそも脚周りブレーキ共ママチャリですので、速度超過はこわいものがあります。のんびり走りましょう。まともにバイクとして走らせたいなら、チョイノリ等大手国産メーカの50ccスクーターをお勧めします。

人間-ガソリンエンジンハイブリッドシステム

結局、エンジンを回していても、ついつい脚でペダルを漕いでしまいます。身体に良いバイクです。究極のアシスト付き自転車として乗るのが良いようです。その分には非常にバランスのとれた乗り物です。「エンジンに持って行かれる」って怖さは全くありませんから、自転車しか乗った事のない方にもお勧めかもしれません。法規上、アシスト自転車並みに扱ってくれれば販路が広がり、価格も安くなってクルマからの移行が増えるかも。


出発進行

まず燃料を入れます。燃料タンクは施錠できます(このモペット唯一の「施錠できる空間」です。本来なら自賠責証書の原本を携帯すべきなのですが、損傷と盗難を恐れて複写を持ち歩いています)。エンジンは2サイクル混合潤滑仕様なので、2サイクルオイルとガソリンを混ぜた混合燃料を入れます。オイルなしでエンジンを回すと焼け付いて壊れます。予め混合した燃料がおまけで一缶(450ml)ついて来ますが、自分で混合することもできます。混合用の容器を使うのが一番ですが、筆者は2サイクルオイルの持ち歩き容器を使って、給油時に混合しちゃっています。荷台があるとちょっと給油しにくいのが欠点です。

次いで、燃料コックを開けます(リザーブはありません)。ギヤボックス脇のレバーを操作すると自転車モードからバイクモードに切り替わります。

アクセルをちょっと握ってペダルを踏むとエンジンが始動します。小排気量なので、それ程力はいりません。エンジンが冷えている場合はチョークも同時に引きます(懐かしの手動チョークです)。これでアクセルを更に握ると走り出します。自動クラッチが内蔵されているので、停車してもエンジンを止める必要はありません(エンジンを止めるにはキルスイッチを押します)。50ccスクーターやカブと同じように運転する事ができます。

ヘルメットをかぶり、法定速度を守って運転します。2ストサウンドとオイルの焼ける臭いが心地よい。


写真

自転車部品だらけです。シマノのブレーキレバー、変速レバー。自転車ベル。奥にぼやけているのが自転車用速度計。黒いレバーはチョーク。小松ゼノアBE-30。ごついサドル。

ライトが暗いので電池式チャリライトを追加。携帯用オイル容器。2ストオイルを入れます。右の主容器を押すと、左の子容器にオイルが入り、簡単に計量できるのが便利です。まん中の線で10ml、入れるだけ入れて20ml。

生録の足

お寺の鐘の音を録音しました。

お寺の鐘搗き堂。スチルカメラ用小型三脚にマイクをセット。草に埋もれたFK310。


4, Jul., 03
by the Creative CAT