Mr.ごんずいの戯言 Vol4.勇気をだして・・・
第101〜110話


このサイトでは 『Mr.ごんずいの戯言』 のテキストのみの表示サービスを行っております。
ごんずい出版社より発行されている 『Mr.ごんずいの戯言・普及版』 では更にカラー写真を
ふんだんに使ってありますので ご期待下さい。

第101話 オネクリ2002、流氷で舞う!                                2002-03

 衝撃的なメディア・デビューでオネクリは終わった訳ではなく、本番の流氷ダイビングに向け
新たなオネクリの製作を始めたオレ。今回は市販されている世界最小の直径4mmの超小型
モーターを大金で購入し、M−21をベースにM−23:すなわちオネクリ2002を完成させました。
ナント!全長2.7cm、重さは脅威の僅か6グラムというオネクリ史上最少の小型化に成功した
のでした。

 3月、満を持して知床に出発!驚いた事にトッカリさんではオネクリの流氷本番を水中撮影
する計画が進められていたのです。これもNHK効果? ま、この時点ではまさか本当にオン
エアーされるなんて夢にも思っていなかったのですが… が、何と言う不幸か、今年もクリオネは
数が少なく、2ショット撮影は難航が予想される事態。M−21が5分間動作を続けた実績はある
けど、水温0度で実際に動くのか?これだけはやってみないと判らない、まして今までオネクリが
満足に流氷の下で羽ばたいた実績は皆無なのです。ま、既に気心知れたトッカリの面々なので
気楽ではあったのですが、昨年の失敗(スイッチ操作で破壊)もあるし、今回は念には念をという
事でいろいろ想定して準備をしました。

 そして3月10日、ウトロ港は若干流氷が離れていて、初めて船で流氷に移動。雪が舞う中で
運命の時を迎えたのです。カメラポートにセットしたケース:クネオハウスからフロートに繋がった
オネクリ2002が出陣!水中で準備したピンセットを使い、スイッチON!『…バタバタ』やった!
遂にやった!オネクリは見事に金属羽根を光らせながら流氷下で羽ばたいたのでした。これだけ
完璧に動いたのは大瀬で実験したM−6以来。思わずガッツポーズ!

 悲しいかな数分間は動いたものの、クリオネとは共に舞うチャンスは無かったです… しかし
2本目はクリオネ登場!(実は前日捕獲)既に電池切れのM−23との競演写真の撮影に協力
してもらいました。い・一応、人類史上2回目の遭遇という事で… 因みに今回、オネクリ亜種と
してミジンウキマイマイ型のミジンウキミャーミャー01も登場!昨年までの振動共鳴型だったの
ですが、水中では非常にノー・リアクション…。つくづくオネクリを直接駆動に戻して正解でした。

 で、一応の成功となった今回のオネクリ2002、トッカリの大和さん撮影のビデオが4月1日に
再びNHKのニュース枠の『とりたてマイビデオ』で放送される事になり、遂にオネクリの名前が
公共電波に乗ったのでありました。(矢田)

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第102話 ああ、カメラ水没&鼓膜損傷!                             2002-05

 今回の話はシャレにならん話が2つ。先ずはカメラ水没という最悪の事件。3月末に串本に
出かけた時の事です。今年初めての串本だったのだが、1本目の島廻りで潜っていた際に
何らかのトラブルがあった(激しくハウジングをぶつける等)みたい。で、それに気付かずに
2本目に住崎にエントリー。カメラの異常に気付いたのはその直後で、何かポートの内側が
曇っているかなと不安になるや、水滴が… 暫くするとポートに水滴が溜まり始め、カメラ
本体に海水がかからない様にポートを下に防戦するも空し、明らかな水没!たまらず船に
戻ったのです。幸いカメラは一応の動作はしていましたが、海水のかかった本体とレンズは
オーバーホール直行で、一瞬にして数万円が飛んだのでありました。

 実はカメラ水没は購入後、約7年で初めての経験。もう少し気をつけていれば未然に防げた
だろうに、本当に悔やみきれない失態でありました。で、カメラ&レンズのメンテの期間は
当然ながら潜る事もせず、ひたすら自己嫌悪に陥っていたのです。悪い事は重なるもので、
ようやくメンテが終了し、さあ潜るゾ!という矢先に今度はとんでもないダイバー史上最悪の
出来事が発生したのです。

 それはGW中のある日。実はその日、本当なら潜りに行く予定だったのですが、無理やり
家族に予定を組まれ、結局雨で中止になったので仕方なく家の中で息子とじゃれていた時
事件が発生したのです。息子に耳掻きを持たしていたオレがバカだった… いや、妻に子供を
ちゃんと監視してろと言ったオレがアホやったのです。ああ、今思い出しても忌まわしい! 
ま、想像の如く、子供が耳掻きでオレの左耳をド〜ンと突いたのですよ(トホホ)。そりゃぁ
激痛なんてものぢゃない痛みでのた打ち回り、目前で見た妻(看護婦)は救急車を呼ぼうと
受話器を持ったくらいの騒ぎ。

 結局は救急車は呼ばずに救急センターに駆け込んだのですが、見事に鼓膜が破損して
いました。ドクター曰く『再生するまで待つしか治療の方法なし!』ダイバーにとって最も
重要な器官である耳をヤッてしまったのは致命傷でした。水没の後は鼓膜… カメラは
代えがあっても体はどうしようもない。1割の確立で手術もあり得ると宣告され、約1ケ月
聞こえの悪い耳で不自由な生活を余儀なくなれてしまいました。 もう潜れなくなったらどう
しよう… そんな悪い事ばかり考えて再び自己嫌悪に陥ってしまったMr.ごんずい。
どうなる?(矢田)

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第103話 復活!Mr.ごんずい                                               2002-06

  全くシャレにならない鼓膜損傷という最悪の事故から3週間。経過が心配になり耳鼻科に
通院した所、『かなり順調に鼓膜もほぼ再生している』との事。手術という最悪の事態だけは
免れたものの、更に3週間もの間の十分な休養をとり、復活のシナリオを描いていたのでした。
家族への合言葉は『必ずダイバーとして復活してやる!』というものでした。

 口では強気だけれど、今まで鼓膜を傷つけた経験が無く、『再生したとしても昔の様に潜れる
だろうか…』という不安に襲われる日々に終止符を打つ為には方法は1つ。本当に体が戻った
かを実戦で試すしかありません。で、6月も終わろうとしている頃、復活すべく潜りに行く事を
決意しました。場所は自分がダイバーとして誕生した大瀬崎。先ずはここの湾内(足の付く
場所で)で試してみようと思ったのです。但し、草間兄貴と堤君のDM連中で周囲を固めると
いう完璧なるサポート体制を引くところがイヤらしいね(それだけ追い詰められていたのだ)。

 会社では無責任な連中が、『もう治らないよ』とからかうけど、オレにとっては死活問題なの
です。 で、運命の復活ダイビング、予定どうり湾内の背の立つ所でエントリー。ブクブク…と
潜っていくと懐かしや、水中世界。無事に耳抜きも成功!それから落ち込みまで移動して更に
7mに潜行。以前よりまめに耳抜きを意識し、無事ダイバーに復活したのでした。それにしても
ドキドキしたなぁ。もしダメだったらマジで落ち込むからね。

 で、2本目はいよいよ深度潜水に挑戦(何か初心者みてぇ)。先端ポイントに潜ったのですが、
やはり深度をクリアしておかないと今後のダイビングスタイルにも影響しちゃうので、通常より
意識的に体をなじませながら深度をとり、最大48mまで潜ったよ(アホや!)。ま、耳なんて
最初の10mさえクリアしちゃえば問題ない事くらいは承知していてもね、やっぱ復活の儀式は
盛大にやらなきゃ。最近、あのアサヒハナゴイが出現したらしいけど、残念ながら遭遇は出来な
かったです。2本目は先に水没したカメラも復活。これで完全復活を達成!ひゃっほう!結局
この日、4ダイブの日帰り強行になったのですが、久し振りに潜って心地よい気だるさ。何より
無事にダイバーとして生きれる事への喜びで、充実した1日でした。(矢田)

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第104話 串本にズゴック登場?!                                             2002-08
 
 2002年もいよいよ夏!今年は知床の流氷ダイビングから始まったけど、その知床から
帰ってきた男:林さんと一緒に串本に潜りに行くってのも変な感覚である。オレの周りには
個性豊かな連中が多いけど、彼もそんな1人だった。オレの水中アイテム制作に少し興味が
あるらしく、今回は非常に笑わせてもらった話。

 実は3週間前、彼:林さんと、会社の同僚で現役ニコノスU型を持つ菊地さん(これまた
個性豊か)との3人で串本に来たのだが、ナント強風でクローズするという最悪の結果に
なり、紀伊半島を一周して帰った苦い経験…。今回リベンジなのであった。林さんは北海道で
面白い経験を多々積んできた男だが、出身は名古屋で、実は我が家から車で30分もかから
ない所が実家だったのだ。そんな彼は今回串本に水中アイテムを持ち込んだ!今まで水中
アイテムのネタと言えばオレ自身以外の何者でもなかったが、この時点で既に彼が常人で
はない事が理解出来よう。

 で、彼の水中アイテムはズゴック!はぁ?ズゴックって何か聞いた事あるが… そう、
ズゴックとはあの名作アニメ:機動戦士ガンダムに登場する赤い彗星シャア専用のMS
(モビルスーツ)。水中でガンダムと戦ったヤツである。そのプラモを水中で登場させると
言うのだ!一体何の意味があるのだろうか… しかし楽しいね、意味が無い事って。いや、
意味があるのだ。最終的にはズゴックを自力で泳がせる計画を持っているのだ。何という
男のロマン!熱くなったゾ!

 さて、このズゴックであるがリアルなプラモで、関節がいろいろ動く。なので水中でも
ポーズがとれる。これイイ! で、クマノミvsズゴックという水中ジオラマ・ワールドの撮影に
臨んだのだが、いかんせん軽かった。なのでプワ〜と浮いていってしまう。今後の改良を
期待する。クマノミは縄張り意識の強い魚なので、ズゴックの様な侵入者には容赦なく
戦いを挑んで来る。で、戦うシーンを撮影しようと思ったのだが、まるでズゴックが退散するが
如く浮いてしまい、結局撮れた写真は『イソギンチャクを守るズゴック』。しかし、夏の串本で
一体何をやってるんだろう、我々は… 大体、水中で我々を見た連中は何を思うだろうか?
ロマンを理解出来るかなぁ…(そりゃ無理だろ!)とにかく、水中ではいろんな遊び方が
あるのだ。オレの持論:楽しんだ者勝ちなのである。(矢田)

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第105話 オシャレハナダイの一喜一憂                             2002-08

 夏の恒例化しつつある高知・柏島遠征も今年で4年目となる。オレも結構しつこい。今年も
妻の実家:長崎に一足早く帰っている妻子を車で迎えに行くという定番となったコースで柏島に
寄り道してダイビングである。

 さて、今年の柏島は一味違ったダイビングとなった。毎年の如く後浜で潜っていたのだが、
4年目ともなると多少は気を使ってもらえるらしく、2本目からビギナーズ連中とベテランズを
分けてもらったのだ。なので2本目は狙いであったホタテツノハゼをじっくり観察出来たのだ。
3本予定だったのだが、2本目が終わって休憩しているとシーエアー柏島のスタッフから
こっそり呼ばれ、切り出された話が『オシャレ、行きませんか?』と言う超嬉しい言葉だった
のだ。

 突然のKishima−プロジェクト発動!柏島と言えば何と言ってもオシャレハナダイだもんな、
実際。過去3年間はいずれも夏の繁忙期から考え、無理っぽい感じだったが、遂に来た!って
感じ。聞けば水深38m近辺に数個体は確実に見れるという事だった。但し、場所は非公開。
オシャレ以外は何もないという場所で、実際に潜ると確かに客を連れて行けるポイントでは
ない。一気にオシャレハナダイを目指して潜行!と行きたかったが、ポイント上、浅場にアンカ
リングしてかなり中層移動をしてから潜行。透視も悪く、水底がぼんやり見えてくるのが水深
25mを越えてからだった。

 で、素早くオシャレを探して写真に撮らなきゃと焦り半分、期待半分。オレのオシャレ君は
鉄網の様なゴミっぽい所にいて、しかも隠れちゃうのでなかなかイイ構図が取れない。水も
良くないので輝く色彩とはお世辞にも言えない雰囲気だったが、それでも数ショットはシャッター
切った。もう数分粘りたい感じだったけど、無情の減圧指示… これくらいの減圧なんて屁でも
ないのだが仕方あるまい。初めてオシャレハナダイにお目にかかったが、さすがレアモノで
ある。なかなか姿を見せてはくれなかったからなぁ。

 で、非常に写真の出来上がりが楽しみでもあり、不安でもあったのだが、悪い予感は見事に
的中。出来上がった写真は全てイマイチで、全身が奇麗に写っている写真が1枚も無かった…
レアモノだけにかなり悲しいゾ。もうちょっと浅いと嬉しいのだが、こればかりはKishima−プロ
ジェクトの宿命だからなぁ。という夏の一喜一憂のお話でした。(矢田)
 
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第106話 秋の大瀬は幼魚がウジャ!                        2001-09

   9月になったとはいうものの、まだまだ残暑も厳しく、これからがダイビング本番の季節の
到来である。かなり前に秋の死滅回遊魚の話を書いたが、今回も死滅してしまうであろう
幼魚ちゃん達の話である。

  年を重ねる毎に目が肥えていくのだろうか?最近は伊豆で見れる幼魚達にも自分なりの
グレードがある。例年の様に見られる魚と、そうでない魚もそうだが、より南方の串本で潜り
始めた事もあり、伊豆でこれが見れるか否かというグレードもあるのだ。ま、幼魚はみな可愛い
からそんな事はどうでも良いのだが…

  で、グレードの高い幼魚の例で言えば、モンガラカワハギ幼魚はポイント高いと思う。初めて
成魚を沖縄で見た時に、『やはり南国はイイなぁ』と思ったものだが、パラダイスの絵の中に
出てくる魚のイメージがある。幼魚出現の話は昔からちょくちょくあるが、成魚の模様とは全く
違うなりにモンガラを主張している模様にいじらしさを感じますね。特に好きなのは頭と言うか、
背中のてっぺんの黄色い部分。まるで帽子をかぶっているみたい。因みに9月に見た幼魚は
年末の12月でも未だ生きていた。そのうち越冬なんてニュースもあるかもしれない。

  面白い所ではモンツキハギなんてのもイイね。全身がまっ黄色なので最初はキイロハギか
なぁなんて思ったけど、実はちょっと違ったりする。大人は随分違うけど子供の頃は色だけでは
全く判断出来ないのも興味をそそる。ハギの仲間でゴマハギ幼魚なんてのもこの秋に話題に
上ったが、アイゴなんてちょっとつまらない魚ですら幼魚は面白い。最初は『何じゃ?金色の
ハギ?』と思ったらアイゴの子供。子供は随分と神々しく見えるから不思議である。

  別に死滅回遊魚じゃないけど、この季節はどうしても幼魚に目が行くケースも多く、特にミノ
カサゴ系は非常に奇麗。胸ビレを広げると成魚には無い淡い色がたまらなく美しいと思うんだ
なぁ。普通の魚でもついつい写真を撮りたくなっちゃうんだよね。感性に訴えるモノがあると
言うか何と言うか。こうして幼魚の話題では話が尽きないけど、早く大人になって生き延びろ!
と思う反面、まだまだ美しく可愛い幼魚でいてくれ!とも思う。ああ!これって我が子へ思う
気持ちと同じじゃん!(矢田)

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第107話 禁断と新参の水中アイテム                                         2002-10

  今回は水中アイテムの話。1年半前の昨年の流氷ダイビングで登場し、封印される事に
なったごんずい3号Type4であるが、別に水没した訳ではなく、クラゲ等の生物に対して封印
しただけなのだ。なので今回、スイッチ部分に改良を加え、新たにG2(2nd-generation)として
リニューアルを慣行!悪魔の封印を解く事にしたのだ。今の時代、生物捕獲なんぞ出来る訳
でも、実際にする訳でも、したい訳でもないが、ごんずいシリーズの開発はオレにとっては
永遠のテーマでもあり、自己への挑戦なのである。

  今回、スイッチ部分を改良したのだが、1年半前に開発したごんずい3号Type4はスイッチの
防水にコンドームを使用しており、防水面では完璧だったけど、さすがに月日が経つと老朽化
するのでスイッチの位置を変更したのであった。

  そしてもう1つ、新しいアイテムの開発。通称:GAS。これは単なるアルミ素材の指示棒なの
だが、将来的には例えば危険な生物に近づけるとアラーム警告が出る様なくだらない細工も
したいと思っている。因みにGASとは、ごんずい・アート・スティックの略であ〜る。カメラの
ハウジングに取り付けて使用する。

 さて、2つのアイテムを引っ下げて大瀬に登場したのだが、GASは最初のダイビングの
エキジットの際に落としてしまったらしく、僅か1ダイブの命であった。5分で制作したとは言え
ちょっと空しい…。次のGASではちょっと工夫しなけりゃいかんね。で、スイッチ部分を改良した
G2であるが、実は改良ではなく、改悪だったから笑っちゃうね。

 今回の改造でスイッチを電源BOXの防水フタ部分に移動したのだが、押すとOFFになると
いうちょっと特殊なモノだったのだ。で、水深の浅い部分(3m)では無事にスイッチONして
吸引をするのだが、水深が深いと外圧に負けてしまい、スイッチがOFFしっ放しになってしまう
ボイルの法則を完全に無視した設計、つまり致命的な構造欠陥があったのである。博士とさえ
呼ばれるオレであるが、ダイビングで最も重要な法則を無視するという何と言う浅はかな設計…
(笑いを提供しているとしか思えない)さすがに水没はしていないので、再び水深が浅い場所に
戻ってくると、『キュィィィィン』と空しく動作を始めたのであった。で、草間、高松、林の各位に
誰もが一度は体験したいと願う吸引体験をしてもらった。みんな喜んでくれたかなぁ。(矢田)

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第108話  アンドの鼻、スゴすぎ…                                              2002-11

  串本に通う様になって3年以上経つが、冬場限定のポイント:アンドの鼻は非常に面白い
ポイントである。シーズン中はエビ網を入れるのでダイバーは入れないのが残念だが、ポイ
ントを休ませるのは非常に大切な事である。伊東のゴトウジ根なんかも新鮮なのは休みの
季節があるからだと思う。逆に大瀬の先端なんかは曜日限定だけど深刻だ。

  さて、このアンドの鼻の主役と言えば、アザハタの根の住人達であろう。その名の如く、
巨大なアザハタはもちろん、根に付いているクロホシイシモチの数は半端な数ではない超・
大群。これが時間が経つにつれ数が減っていくのを見るのも自然の厳しさそのものを教えて
くれるポイントです。減ってしまうイシモチには哀れみを感じつつ、自然の摂理を痛感します。

  主役はアザハタかもしれないけど、根にはこれまた隠れ主役がわんさか。特にハナダイ
好きのオレには、ケラマハナダイやら、フタイロハナゴイやらは嬉しい限り。アクアリストには
お宝なタテジマキンチャクダイ幼魚なんかも根の窪みに入っていて、殆ど動かずして実に
多くの写真が撮れてしまう。それで写真に熱中しているとクリーニング屋のエビさん達が
ウツボ(さすが和歌山には多い)の掃除なんかを始める始末だから、被写体には事欠かない
のだ。

  串本にはマクロなエビも豊富だが、一番のお気に入りはスザクサラサエビ。普通のサラサ
エビよりも大きいのなんの。結構と近寄れるし、サービス精神旺盛で、クリーニングなんかも
してもらえちゃう!クリアクリーナーシュリンプなんかもいるし、冬場でも生物が非常に多いのだ。
この様にアザハタの根の周りだけでも十分に楽しめるポイントだけど隣接する砂地も侮るなかれ。
冬場にはカスザメなんかも出現するからたまらないぞ。

  さて、このアンドの鼻、秋から冬にかけて潜れるが、春先のある日に漁師の『網入れたで』の
一言でシーズンが終了するらしい。そうなると半年は潜れない事になるが、ちょっと夏場はどう
なっているのか知りたい気分。特別料金にてダイビング可能となる場合もあるみたい(漁師も
したたかじゃ)。でもそこまでしなくてもイイかな。やっぱ、面白いポイントは大切にしなくちゃね。
(矢田)

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第109話  ザ・フラッシング2002                                         2002-12

  2002年もいよいよ終わり。ホントいろいろあった一年だったが、ラストは年末の大瀬崎。
何でもクルマダイ幼魚が出現したとの事だったので、4年ぶりの再会を心待ちにしていたの
だったが、大瀬に到着する数日前に行方不明… 思えば前回クルマダイ幼魚を見た時は
カメラ持っていなかった(未だ246ガイド時代)ので、自分で撮った写真が無いのだ。なのに…

 ま、自然の事だから仕方ないけどね。で、これまた珍しいツノカサゴも出ているとの事だった
ので更に心待ちにしていたのだが、これまた不発。思えば2002年、鼓膜損傷という一大事も
経験したし、潜れるだけで幸せかも。人生いろいろです。でも神はいるもので、不発と思われた
湾内でセトミノカサゴに遭遇。ミノカサゴの仲間は特に胸ビレが奇麗だけど、セトミノカサゴは
ヒレを広げたフラッシングと呼ばれる状態でのコバルトブルーに近い青が絶品なのだ。そもそも
フラッシングって相手を威嚇する行為だけど、これが奇麗という人間には思う壺だったりする。
ここぞと写真を撮ったが、なかなかフラッシング状態の瞬間を狙うのは難しい…

 そうこうと構図を考えている間にも実は魔の手が忍び寄ってきていたのを他のメンバーは
知るよしも無かったのだが、オレの大切な大切なドライスーツはエントリーと同時に激しい入水
状態!思えば10年近くも着ているドライなので寿命かもしれないが、昨年の冬にドライの命
でもあるファスナーが折れてしまい、度々水没していたのであるが、いよいよごまかしの効か
ない状態になってしまったのであった。修理する予算もなく、恥ずかしいので黙っていたのだが
もう限界だ。今回のダイビングでお勤め終了となるであろう。

 ま、そんな状態にも関わらず、久し振りに見たヒョウモンダコと戯れ、クマドリイザリウオに
踊り、未だ生きていたモンガラカワハギ幼魚に感銘しつつ2002年のダイビングは無事終了
した。しかし2002年、ホントに今までないくらいに激動の年であった。再放送も含めて4回の
テレビ出演という華々しい一面も、カメラ水没、鼓膜損傷、そしてドライスーツおしゃかという
悲しい出来事で相殺されてしまったゾ。来年はどんな年になるのやら… 

 で、今回の話、カサゴの仲間のフラッシング行為とフラッシュバックをかけてたって判った?
(矢田)

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第110話 コモンカスベとカスザメ                                                 2003-01

  2003年は串本から活動開始。と、本来ならば新年の潜り始めは意気揚々のハズなのだが
今年はちょっと様相が違うのである。年末にドライスーツが完全にクラッシュ状態になり、ドライ
ではなくなってしまったのだ。今までごまかしながらも使っていたが、いよいよダメ… ま、この
ドライで何百本も潜っているのだから仕方あるまい。 で、レンタルのドライでこの冬を乗り切る
事になったオレ(かなり惨めだゾ)。

 さて今回のお話は底モノの生物。ダイビングを始めて15年以上も経つが、今回初めてお目に
かかったのがコモンカスベという聞きなれない名前のエイ。串本のアンドの鼻の砂地で遭遇した
のだが、背中に目玉模様のある特徴的なエイで、頭の先っちょが尖がっている。吻(フン)の
部分がちょっとスケてるのも面白い。冬場ってこの手の生物に遭遇できるのも魅力の1つである
が、いかんせん南紀の冬場って伊豆に比べると自分的に未知な部分が多いので、今後も新しい
遭遇が期待できちゃうんだなぁ。最近、魚に興味を持っている息子によく言うのだが、『海には
無数の知らない生物がいて、お父さんが出会う魚なんてほんの僅かなんだよ』という言葉その
ものだ。

 その次の串本ではカスザメに遭遇。串本の冬場にはよく見られるそうだが、一応サメなので、
同じ底モノであってもエイとはちょっと違う興奮があったりする。ところでエイとサメの違いって?
こんな所でウンチクたれても仕方ないが、エラ孔の位置で区別が出来るそうだ。カスザメは見た
目はエイっぽいが、胸ビレより前に鰓(エラ)があるのでサメ。

 で、カスザメ君だがアンドの鼻の砂地で潜って隠れていたが、ガイド岩崎君の敵ではなかった。
最近はガイドさんと一緒に潜る機会が多いので、自ら必死になって探し、発見して喜ぶという
基本が薄れているのも事実なのだが、より串本の海に経験豊富な人たちから刺激をもらうのも
悪くはない。砂を被って隠れていたカスザメは見事な手は叩きでアッという間に全身が露出して、
イイ感じで写真をゲット?!でもマクロレンズなんだよね、オレ…。仕方ないので目のアップ写真
なんぞ撮ってしまった。ハハ…(矢田)
 
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