21世紀の到来。我が家では昨年次男が誕生し、ドタバタしている間に気付けば半年近くも
潜っていないという有様。これではイカン!と自らがMr.ごんずいであった事を思い出し、再び
活動を開始したのは21世紀になってからの事でありました。
昨年は流氷ダイブにも行けず、オネクリ計画も完全に頓挫状態…。先ずは流氷ダイビングに
行く為にはやはりオネクリ抜きには考えられないので2001年オネクリ計画を練ったのであり
ました。
2年前のオネクリM−15は流氷下で瞬間的には動いた(振動した)ものの、水中で羽根が
モゲるという壮絶な悶絶死。3年連続の失敗にいよいよ追い詰められた創始者の心境なの
です。が、基本的にはM−15の技術を確立する事で必ずや水中でクリオネと乱舞するに違い
ない!そう自分を信じ、オネクリ2001(コード名)の開発を開始しました。
基本的にはM−15の技術を流用するので、極限の小型化が成功への鍵。実は致命的な
構造欠陥を抱えているとはこの時点では全く気付かなかったのでした。オネクリは小型化の
為に、モーターは携帯電話のバイブレーション用に使う超小型モーターを使用します。そして
電源も小型化の為に補聴器に使う超小型のボタン電池を使う… これがMー15の基本技術
でした。実はこの電池に大問題があったのです。
順調に完成に近づきつつあるオネクリ2001を襲ったのが致命的な構造欠陥:補聴器用
ボタン電池のパワー不足だったのです。実はM−15でも同じだったはずなのですが、貧弱な
パワーゆえにスイッチ投入後の僅かな時間しかモーターが振動しない事が実験で判明し、
急遽、代替案に迫られる事に… 日程は待ってくれる訳もなく、どんどんと近づき、途方に暮れ
つつも見つけたのが釣りウキ用の小型リチウム電池。実験では見事に連続振動を成し遂げた
のでした(あ〜良かった)。
オネクリ2001では防水も進化。バスコークという乾燥するとゴム状となる素材を使い、オネ
クリの全身を密封。更に、オネクリ史上初めて尻部にも発光ダイオードを装着し、流氷ダイブ
まで残り2週間という直前に完成!開発段階で予想外にすったもんだしたのでM−16から
開始したモデルはM−18になってしまいましたが、全長が僅か2.8cmと初めて3cmを切る
大きさ。ポイントとなる重量も8グラムでM−15の2/3となりました。 さあ、後は本番のみ!
と意気込むオレなのですが、実はオネクリ2001計画はこれに飽き足らず 、もう1つの水中
アイテムが平行して開発が進められているとは誰が想像していたでしょう…。(矢田)
21世紀初めての流氷ダイビング。これに向けたもう1つの施策は過去の苦い経験からの
教訓でした。大体、クリオネとオネクリが共に水中で舞うシーンってのは肝心のクリオネが
無数にいる状態、すなわちオレ的にはクリオネ発案のヒントになった96年の状態でないと
無理なのです。
が、実際にはメッタにこんな機会は無い… となるとクリオネをあらかじめ捕獲するしかない
のであります。そうなると必然的にあの水中アイテムしかないのであります、ごんずい3号!
こうして秘密裏にごんずい3号Type4の開発が始まったのですが、Type3を飛び越えてType
4の制作を優先したのには理由あるのよ、一応。Type3はイザリウオ型の通称:イザリオン
(現在、開発構想中)。そして今回制作したのがC2−オネクリオンなのだ。C2とは?すなわち
Catch-Clioneなのね…
さてオネクリオンはType2−Jesusの悲劇を教訓にシンプル構造に徹底して設計しました。
Jesusはまぎれもなく最強マシーンだったけど、水量コントロールだの複雑過ぎた… なので
オネクリオンでは構造をシンプルにして、電源も本体に組み込む事で頑丈に防水設計。
お決まりの塩ビのパイプを本体に使う所は従来シリーズからの流れであるけど、防水シールド
にはオネクリM−18でも使用しているバスコークを使い、最新かつ細心の設計。心臓部の
ポンプは灯油ポンプのモーターを3本並列して使用し、Jesusよりはパワー少ないけれど、
捕獲する生物はクリオネがターゲットなので充分なのです。
ホース類は基本的にペットボトルの口を使っているので、吸引口や排水口の部分はType2の
部品を流用できちゃうのがシリーズとしての強み。今回は開発期間が3週間しかかからなかった
のは、この点が効いているんだな。当然ながら一部のモーターが故障してしまった場合を想定
したGBS(逆流防止システム)も健在!そして仕上げはフロント部分に飾られた3体の守護神
クリオネ。それぞれに『クニオ』、『マリオ』、『ネネ』という名前が付けられているのがオチャメな
Mr.ごんずいを象徴していたりするんだな。
さあ、史上最小のオネクリM−18とC2−オネクリオンというダブル・アイテムが整ったゾ!
今年こそ?天使クリオネと悪魔オネクリの競演を実現させるのだ!ごんずい!(矢田)
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遂にやって来た21世紀初めての流氷ダイビング。過去、クリオネとオネクリの競演を夢に
見つつも、厳しい環境と自らの技術の未習熟により失敗を繰り返してはや4年もの月日が
費やされてしまった。厳しい環境と言うのは水温が0〜-2℃と言うだけではない。もっとも
厳しいのは肝心の天使クリオネの出現率である。一年に僅か2日という限られた時間の、
しかも1ダイブに20分程度の時間しか持っていないのだ。クリオネが無数にいてあちこちで
舞っている様な状態でないと絶対に不可能なのだ。
こんな状態の海は過去1回しか経験した事しかない。という背景もあり、今回はクリオネを
自ら準備しようというとんでもない計画:オネクリ2001計画である。2ダイブの内の最初に
クリオネを捕獲し、2ダイブ目でオネクリの目前に放つ。ま、ぶっちゃけ話だが、メヂィアの
取材や、タレント出演の番組なんかは殆どがこれ。撮影に協力してもらうクリオネを優しく
捕獲する為に開発したごんずい3号Type4を引っさげ、1年ぶりにウトロに帰還したごんずい
であった。
1年ぶりにトッカリのスタッフと再会。彼らもオネクリには期待してくれているみたいなのが
嬉しいが、そろそろ結果を出さねばならんというプレッシャーも強い。トッカリには今年、新しく
林さんというスタッフが加入した。俺の本:このMr.ごんずいの戯言はトッカリにも置いて
もらっているので、オレの事を理解してくれているみたいだった。で、吸引マシーンを登場
させたら大喜び!オレも幸せな男である。
だが幸せな事ばかりではない。事前に情報は入っていたのだが、今年もクリオネが殆ど
見れないらしいのだ。この時点で意気消沈…。が、海は待ってくれないゾ。流氷ダイビング
当日、1本目はC2-オネクリオンを持って流氷下に潜行した。ごんずい3号シリーズだって
今まで水没の歴史そのものである。無事に水没しない保障はどこにも無。水底にたどり
着いて、運命のスイッチON!『ズゥィィ…』 何か音が鈍いけど無事動作しているみたい。
手始めに無数にいるウリクラゲの前に吸引口を持っていくと… 『スポッ』
一同大爆笑。
ところがウリクラゲはフィルターに絡んでしまい、これ以上吸引出来なくなってしまったのだ。
スイッチ止めて出そうとしても出てこない… クラゲの様なヤツはダメだな、吸い込んだら。
で、やはりクリオネは見れなかった。
1本目のダイビングを終え、C2の掃除しようと思ったらナント!ウリクラゲは捕獲ケース
から完全に消失していた。何か可哀想な事しちゃったなぁ。(つづく)(矢田)
第94話
オネクリM−18、マイマイを襲撃!
2001-03
前回のつづき。21世紀初の流氷ダイビングでオネクリ2001ことM?18と平行して開発
したクリオネ捕獲装置:C2−オネクリオンでの作戦は見事に失敗し、この時点でM−18と
クリオネとのランデブーは実現困難に陥ってしまった。
残されたダイビングは1本、遂にM−18を水中投入する時がやってきた。オネクリ2001は
完成目前にして致命的な構造欠陥が見つかり、それを克服する為に、ちょっとカッコ悪いが
本体の振動用電源と、発光ダイオードの電源を分離する事になったけど、これがオネクリ史上
最悪の結果をもたらす事になろうとは…
この発光ダイオード用の別電源、エントリー直前に接続せざるを得ない構造。つまり接続
作業がスイッチONとなる。で、寒い寒い流氷の上で、かじかむ手でラジペン持って作業して
いたら、電源接続の勢い余って本体電源のコードを自ら切断してしまったのである。ナント、
エントリー前にして動作不能となってしまった。今年こそは…と意気込んだ割にはオペレーション
ミスという最悪の結果であった。このアホ失態に周囲もア然となってしまったが、とりあえずは
形だけでも水中投入を強行したのだ。
ピクリともしないオネクリM−18であったが、クリオネのいない海ながらミジンウキマイマイは
やたらと多くて、オネクリがマイマイを襲撃するシーンの撮影に成功した。一応
『人類史上初』の
シーンである。期待してくれた現地の人々には期待を裏切って大変申し訳ないが、こんな写真
撮影にはちゃっかり協力させているのがオレの図々しい所である。
しかし今回の失敗の衝撃は個人的には非常に大きい。今までオネクリ開発は小型&軽量化を
目指してきたが、ただ小さいだけでは今回の様な失態となってしまうという教訓である。むしろ
昔のM−6の様なアクションが大きい方が周囲には喜んで貰えるのではないだろうか?・・・
という事で方針すら転換させる教訓であった。
さてさて、無念のオネクリとは対照的であったのがC2−オネクリオン。1本目でウリクラゲ
消失という事態となったが、フィルター部の掃除で復活!本来の目的とは異なるが、2ダイブ
目ではウミグモを見事に吸引した。が、マイマイを吸引した時にまたもや事件発生。ナント、
マイマイがショック死してしまったのだ。やはりこれらの弱い生物への適用は封印すべきで
あろう。今回は予想外に防水が完璧であったのがちょっと空しいゾ…(矢田)
今回は久し振りの日本海の話。以前に敦賀に出没して以来、日本海にはご無沙汰だった
ごんずいであるが、地の利を活かすという意味では日本海って最も近い海と言えるポイント
なのだ。いろんな海に潜る事は非常に重要な事だと思うし、その海に応じた楽しみ方も必ず
あると思う。日本海は未だ未知だらけだし、きっと新しい発見が待っているに違いない。
我が家からドアto海で2時間で行ける敦賀より若干遠いけれど、今回は越前海岸に遠征
である。それでも3時間もあれば海には到着してしまうから嬉しい限り。日本海って何か水温が
低いイメージが付きまとうけれど、夏場は全く太平洋と殆ど差が無い。と言うか、水温が28℃も
あれば沖縄と変わらない。事前の話でサービスから水温が高いと聞いていたが、実際に28℃
だったから驚いたゾ。
さて、越前と言えばエチゼンクラゲ。なのだが、出現するのはお盆が過ぎて秋までがシーズン
らしく、7月後半に出かけた今回はお目にかかる事が出来なかった。ちょっと残念…が、やはり
普段は潜っていない海というのは実に新鮮である。奇麗な魚は少ないのは事実ながら、クダ
ヤガラとかスイとか、日本海っぽい魚の写真を撮るには越前海岸は最高である。
クダヤガラは大好きなヨウジウオ系の魚だが、以前から写真を撮りたいと思っていただけに
嬉しかった。頭でっかちの面白い形がマニア心をくすぐる魚である。細い海草に見事な擬態を
見せてくれた。一方、スイはアナハゼ系の魚だが、図々しい感じのアナハゼとは違って非常に
繊細なイメージがする魚である。海草の陰に隠れながら侵入者を伺っている姿が何とも可愛い
のだ。ちょっと好感度高いよ、これ。
お世辞にも派手で奇麗な魚が多いとは言えない日本海のダイビングであるが、何気に普段
あまり気にも止めない生物にも目が届くから不思議である。その典型なのがハゼの仲間の
チャガラ。大人もヒレに奇麗な模様があり、黄色い縞模様が出るが、小さい個体も不思議な
存在感があって、ついつい写真を撮りたくなったりする。3センチくらいのチビも良ぉ〜く見ると
黄色い縞もうっすら見え、チャガラである主張をしていてたりするんだな、これが。噂ではタツノ
オトシゴやらイザリウオやらもいるらしい。越前海岸、ちょっとイイ感じでした。(矢田)
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高知の柏島に年1回出現するのが恒例と化しつつあるごんずいです。昨年は妻の第二子
ご懐妊で、帰省に乗じたダイビングではなかったけれど、今回は妻の実家:長崎に一足早く
帰った妻子を迎えに行く途中で高知に寄るというスタイル(メチャ寄り道)。柏島へは片道650
kmという過酷なドライビングなので、今回は2日間ダイビングで体を休める事にしたのでした
(夏くらい遊んでもよかろう)。
さて、3年連続3回目の柏島だったけど、毎回の様にラスト10kmの山道の運転は緊張する…
さすがに少しは慣れたけどね。あの山道を越えた時に見える柏島には、『ああ、やって来た』と
いう満足感すらあるゾ。
今回は2日間、6ダイブというゴージャスな計画であったのでガムシャラに写真を撮る事からは
開放されると思ったけど、無理だね、この海。被写体が多すぎる。初日は後浜でハゼ三昧。ネジ
リンボウ、ヒレナガネジリンボウ、そしてヤシャハゼ…。大体、後浜は沖に出れば何でもアリって
感じ。もっと先に行ってみたい衝動にかられつつも、単独でのダイビングではないし、それ以前に
浅場のサンゴには無数の南国のお魚たちが待っているので楽しい限り。特に今年はニシキフウ
ライウオがアンカー近くにペアでいて、エキジット寸前まで楽しませてくれたのが印象的だった。
午前に2本を後浜で潜り、午後は岡崎の浜。ここは初めて潜るポイントだったが、水深10m
程度で、その気になったらかなり長時間粘れるポイント。後浜とは少し違った砂地の生物層が
楽しめる。イレズミウミヘビはヒットだったね。ヤーサンみたいな顔には笑えるモノがある。
初日のダイビングを終え、民宿でゆっくりくつろぐ…という理想はお盆シーズンには前準備が
必要で、オレみたいに直前にスケジュールを決めている様では予約が取れない(グスン)。仕方
ないので車中泊(2日連続)という惨めな日であったが、翌日はバースデー・ダイビング。先ずは
サルガウドなるポイントでアケボノハゼ、ホタテツノハゼをWゲット!アケボノハゼには寄りきれ
ないのが辛い。105mm欲しい!ラスト2ダイブは再び後浜でクダゴンベやらハナヒゲウツボ
やら、既に柏島ではありきたりになりつつある出物たちをフィルムに納めたのであった。実に
充実した6ダイブ、もう初年度の苦い経験など完全に吹っ飛んでしまったね。しかしこれだけ
遊ぶと次に仕事が始まる時に辛いったらありゃしない… (矢田)
今回はグローバルな話。少し前から気になっていたのだが、最近妙に南方系の生物が
北上してない?って話。確かに昔より目が肥えたというのはあるが、今まで秋の季節物と
思っていた魚が通年見られる様になったりする気がする。これってもしかして地球温暖化
なのだろうか?
この事を初めて自覚したのは相当前になるが、大瀬のネジリンボウだった。冬には死滅
すると思っていたら越冬して話題となったのは96年頃だったか?流氷も大昔とは比べ物に
ならない量に減ったらしい。最も自分が知床に通い始めた頃には既に減って久しい頃だった
ので昔の凄さを知らないのだけど…。図鑑では奄美大島が北限と書かれていたハナヒゲ
ウツボは当たり前の様に柏島にはいる。生物の場合、潮流が最も影響するのだろうが、
やはり地球規模での変化がある様な感じがする。
で、やはり南方系のハゼのヤシャハゼが串本に出現したとの情報を聞き、最近驚いたので
あった。昔は沖縄にしかいないかなぁなんて思っていた生物が日帰りで見られるポイントに
出現するのは嬉しいのであるが、ちょっと心配でもある。まあ、秋になれば黒潮に乗って死滅
回遊魚がやってくるのは昔からの事だけど、生物がタフネスなのか、或いは目が肥えただけ
なのか、真相はオレ如きには解明できる訳もない。昔に比べて冬の水温が落ちないと言う
わけでもない感じもするし、単純な話ではないのであろう。
このヤシャハゼ君、さすがに少し深く、水深20m以上は行かないと会えないけれど確かに
いた。さすがに稀種なので少し近寄り難い所もあるが(特にハゼの撮影は気を使うのだ)、
遠巻きながら長く伸びた背ビレがユラユラしているのが見えた。でも今は稀種でも10年くらい
経ってしまうと普通種だったりして…
もし本当に地球温暖化の影響ならば、我が子が大人になって潜る頃は海の中も今とは
相当違う状態になっているかもしれない。そう考えると怖い。だけど今の自分にダイバーと
して出来る事は通年潜って、海の変化を伝える事くらいしかないのだ。でもその為に車を
250km運転して排気ガス出しまくっていてはお話にならんね。(矢田)
人生なんてどこで何が起こるか予想できないものだ。2001年の秋も深まったある日の事、
1通の電子メールが届いた。あて先はテレビ局で、『クリオネのロボットを取材させて頂けない
でしょうか?』という信じられない内容だったから驚いたのも理解してもらえるだろう。大体、
オネクリなんて意味もないモノにメディアが来るとは思ってもみなかったし、冗談で友人とは
『オネクリ事業化』なんて話していたけどさ…。
更にその相手が天下のNHKだから、ゴン妻に話したら笑ってた。この時点では実は半信
半疑だったのだ。何故なら前にもダイビング誌:マリダのスタッフから『オネクリって面白い
ですよね』なんてメールが来たので、喜んで返信したら、それっきり何もなかったからね。で、
『一度電話でお話ししたい』とあったので返信したら本当に電話がかかってきたのだ。あんで
まぁ…
電話では担当のG氏からオネクリの開発の歴史が面白いとか、メチャ親切丁寧なお世辞を
言われたのだが、ご承知のとおりオネクリの歴史は失敗の歴史なので、あまり期待させても
マズいと思って、『簡単なオモチャ程度なんですよ』と本音を喋ったのだが、ダイビングを趣味と
するG氏からは、『来年の3月の流氷ダイビングに同行して取材』という益々真実味のある話に
なってしまった。でも冷静に考えるとNHKの番組でオネクリを扱うのって可能なのだろうか?
もしやプロジェクトXか!そんな訳ないし、NHK特集か?オイ!
その後、G氏とオネクリ2002計画のスケジュールを立案する事になったのだが、やはり
予想していた事が起こった。『流氷ダイブへの同行は無理そう』、『伊豆でのプレ実験での
同行も無理そう』 あらら、やっぱりオネクリ如きじゃネ。内容がくだらない事は誰よりもオレが
知ってるのだ。それでも最終的に2002年の年明けに我が家での制作シーンと水槽での実験
シーンを取材に来るという話になってしまったのである。正直言えば、水槽の実験でオネクリ
水没させて肝心の流氷ダイブ用にもう1機作るのも抵抗あったのだが、ここまで付き合って
くれるNHKさんのお願いでもあり承諾したのである。
さてと、困ったぞ。相手はメディア。テレビカメラの前で無事にオネクリを完成させる事が
出来るのだろうか…(矢田)
前回からの続き。2002年も明け、年末から妻の実家(長崎)に帰省していたオレは、元旦
から一部屋を借りてオネクリ2002を制作していた。普段は水中アイテム制作に批難の絶え
ないゴン妻も、取材日が決定するとオレを応援する立場になるからメディアとは恐ろしい力だ。
運命の取材日まで2週間、制作シーンの取材もあるので、単なる完成体だけではなく、途中
工程用のフレームも準備したのだった。
取材1週間前、G氏から『今日にでも直接会って当日のお話しをしたい』との連絡。夕方の
6〜7時しか時間が空いていなかったのだが、ナントその為だけに渋谷からやってきてくれた
のには驚いたゾ。半分完成したオネクリM−19を直接見て、どう反応されるかが怖かったが、
ここでもオレを持ち上げるG氏。もうやるしかない状態になってしまった。前日は家中の大掃除。
普段ではあり得ない整理整頓。そして遂に2日間にわたる取材の日がやってきた。
初日は会社が終わってからで、ドキドキしながら家で待っているとカメラ・スタッフとG氏の
2名がやってきた。妻は取材の邪魔になると言い、子供を連れて下の階の辻家におじゃま。
初日は製作シーンの撮影という事で、普段の作業場で撮影をお願いされた。が、大掃除して
いたのはリビングのみだったから大変!オレの部屋での撮影となったのだが、背景にユニ
クロの袋がポンと置いてあったり、急いで撤去した。途中、妻がやってきて様子を見て、ガチ
ガチに質問に応えるオレをのん気に笑って行った(まさか翌日カメラの前に出るとも知らず)。
2日目は完成シーンと水槽での実験。会社の同僚:加トちゃん家から水槽と金魚を搬入し
(オレは金魚は反対したのだ)準備完了。取材機:M−21は初の金属羽根を採用し、リアク
ションの良い昔の直接駆動型を超小型:3.3cmにパッケージした。で、カメラの前で運命の
スイッチON!…悲しいかな、ピクリともしない。焦ったね。
羽根のかかりが悪く、ちょっと直したら無事にバタバタ動いた。ホッとしたのもつかの間、
『じゃぁ、完成シーンに奥様も登場して頂けますか?』という言葉にゴン妻唖然… ここで
化粧待ち数十分。今度はいよいよ水槽への突入!『せっかくなのでお子様も一緒にお願い
します』と今度は家族総出でオネクリを見守るシーン。M−21は無事に水中で羽ばたき、
金魚もエサと間違えてオネクリに飛びかかるシーン(テレビ的においしいシーン)も無事収録。
幾つかのNG出しながらも長い長い2日が終わった。正直、ホッとしたよ。しかし過去のオネ
クリからは信じられない成功だったな、M−21。(矢田)
遂に今回でMr.ごんずいの戯言も100回。NHK取材を終え、一安心したのもつかの間、
妻の父が他界し、実家の長崎での葬儀やらでバタバタしていたのだが、1月31日にNHK
から電話。『突然なんですが、明日放送の予定です。番組は朝、もしくは夜のニュース枠の
中』という連絡だった。ニュース枠の中じゃ時間も、まして大きなニュースがあった場合は
放送すらどうなるかも保障されない。ま、当たり前か、オネクリだもんね。因みにオネクリと
言う名はデスクの判断でNGとの事だった(ちょっと残念だがNHKだもんな)。
で、最終的な放送時間が決定したのが前日の夜10時だから友人関係には連絡する間も
なく、ほんの僅かな知人に連絡したのみ。番組は朝のニュース『おはよう日本の8:02〜
予定』との事だった。この時間、会社は出勤時間…トホホ。ビデオをセットしようとしたら、
あの番組ってGコードだと5:00〜8:15の3時間15分番組なのね。妻子は未だ長崎。
2日間の取材がどう編集されているのか… ドキドキしながら就寝。心配だったのは田中
真紀子外務大臣の更迭問題。去就次第では大きくニュース枠の構成が変わる可能性が
ある事だった。
で、2002年2月1日はさすがに朝からNHK。やはり初めてオネクリが電波に乗る瞬間は
この目で見たいもの。放送時間が変更になるかもしれないし…と思い、6:00頃からテレビの
前で見ていたのだが、登場する訳もなく時間が過ぎていった。が、7時の時報で7時台の
ニュースが始まった時の事、本日のニュース・トピックとして外務大臣の去就、目前に迫った
ソルトレイク五輪の警備に続いて『妖精』というタイトルでクリオネが登場した。『おや?』と
思った次の瞬間、オレが画面に出ていた… 『そんなアホな…』 オネクリがトピックかよ!
さすがに朝のニュースのこの部分に登場するには今後余程の大事件でもしでかさなければ
無理だろう。
放送予定が8時頃と聞いていたので、オレは会社の食堂のテレビで観戦する事を決意し、
急いで会社に向かったのだが実は予定が少し早くなり、会社に向かっている間に放送された
らしい。そんな事は知るよしもなく会社で知人に囲まれながらテレビを見ていたオレ。哀れ
登場する事なく、空しく番組は終わってしまった。が、メールには見たという報告がバンバン
入ってくるし、妻からは、『皆出たのぉ』というライブで見た満足げな連絡。その夜、ビデオで
観ると2日間が3分に奇麗に編集されていた。ま、ともあれメディア・デビューしたのは疑いの
ない事実か…(矢田)
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