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10日目
箱根湯本(三枚橋)〜元箱根(箱根宿)
2001年11月17日(土)
晴れ
前ページからの続きです。畑宿の一里塚を越えて、薄暗い石畳を必死に歩いていくと、やがて県道に出ます。県道は右に左にヘアピンカーブをして上っていますが、旧道は一旦途切れた後、猛烈な階段となります。この辺りで箱根外輪山を一気に上るために、車道は7回カーブをしています。有名な箱根7曲がりがまさにここ。しかし、旧道は短絡ルート。曲がらずに一気に上るため、現在は階段になっています。

[15時50分] 橿木坂
その前に立って唖然。車道に出てから少々歩道を歩きますが、やがて正面にとにかく上へ続く階段がありました。その横には「橿木坂」の碑が。どうやらこれが東海道で、今でこそ階段になっていますが、当時は坂だったようです。県道は7曲がり。旧道は直進する坂。もしこの階段が坂だったら、ものすごく急な坂になるでしょう。当時の人はよく歩きましたね。階段となった現在の「橿木坂」を上らなければ先に進めないので、意を決して上り始めました。これがまたすごい。一気に上るだけにかなり厳しい道でした。途中、道が二手に分かれますが、左が石畳道、直進が県道に出るルートで、東海道は左のようです。が、このときはてっきり直進だと思って、そのまま上っていきました。すると、見晴し茶屋なる店がありました。ちょっと休憩を、と思って覗いてみると、終わっていました。残念。

紅葉と見晴らし
見晴し茶屋では休憩できませんでしたが、店の前の広場からは、小田原市街を遠望することができました。かなり上ってきたんだなー、と実感する一瞬。そして、紅葉も進んでいました。下を見ると、県道の7曲がり、その県道に絡むように箱根新道が通っています。自然の雄大な景色をしばし堪能して小休憩を取りました。しかし、元箱根まではまだまだありそうなので、先を目指してすぐに歩きを再開。

歩道橋の東海道
見晴し茶屋からは県道を歩きました。よく見ると左下に石畳道が。本来の東海道は左側の石畳道のようですが、時すでに遅し!未徒破区間は次回にし、日没間近なので先を急ぎます。やがて石畳道が左から急激に上り県道に合流。東海道は歩道橋となって県道を越えます。その先はさらに急な石段に。この辺りを猿すべり坂といい、猿でも滑るほどの急坂という意味のようです。なるほど、これが坂だったらものすごく急です。

[16時21分] 旧街道資料館・甘酒茶屋
ようやく着いた!思わず、声をもらしてしまった。そう、有名な甘酒茶屋に着きました。ここはいつも観光客でにぎわっていて、江戸時代当時と同じように、甘酒を飲むことができます。ただ、写真が示すように、この日はすでに16時20分を過ぎていて、かなり薄暗くなっていました。甘酒茶屋から先、最後の、そして最も長い石畳道が控えているため、ここはトイレ休憩をしてすぐさま先に進みました。ここで問題点が。甘酒茶屋の裏には、自然探勝歩道がありますが、甘酒茶屋は県道側に入口があります。ということは、県道が東海道なのだろうか。謎のまま、とりあえず車に追い立てられないことから、裏の遊歩道を歩くことにしました。やがて、県道に出ますが、そこにある案内板には「箱根旧街道(新設歩道)」となっていました。

最後の石畳
県道に出ると、対岸に石畳道が見えます。そこが最後の石畳道です。時間は16時33分。真っ暗です。躊躇しましたが、行くしかないので先に進みました。途中、天ヶ石や名前の付いた坂があったようですが、とにかく暗いうえに石畳。先に進むことしか考えていませんでした。このときほど提灯がほしいと思ったことはなかった。真っ暗なトンネルの中を進んでいるような感じでした。

[16時48分] 箱根八里の歌碑
とにかく、どんなところを歩いたのかわからないほどの暗さ。無我夢中で歩いていると、箱根八里の歌碑がありました。「箱根八里は馬でも越すが、越すに越されぬ大井川」。東海道の最も難所なのは、山ではなく大井川。ひとたび増水すれば、川止めとなり、場合によっては一ヶ月も進めないことがあったとか。それを歌った碑です。
東海道は、箱根など一部を除くと平坦な区間が多いのですが、同じく日本橋から京都を結ぶ中山道は山また山。距離も東海道よりも長く、宿駅数も多いのですが、それでも往来が多かったそうです。東海道は、大井川や天竜川、酒匂川に富士川など、大きな川を渡ります。当時はほとんど橋はなく、船や人足による「渡し」でした。このため、川の水量が増えると川を渡ることができず、たとえ大名行列であっても川止めとなりました。対する中山道は、川止めがなく、着実に進めることから、中山道を選ぶ人も多かったようです。

芦ノ湖・そしてゴール!
歌碑を過ぎると芦ノ湖へ向けて下りとなります。ここがカルデラである箱根の特徴です。前方が開けると、な・な・なんと!紅色に染まる芦ノ湖が。思わず感激。苦労してここまで歩いてきた甲斐がありました。はやる気持ちを抑えながら、歩を進めます。数本横切る道を越えると、「権現坂」という急な下り坂になりました。ここを慎重にクリアすると、杉並木となりゴール。すっかり日が暮れてしまいました。

箱根東坂
芦ノ湖湖畔(湖尻)に出た東海道は、この先関所までの間杉並木となります。しかし、東坂はここで終わりではなく、関所の先、箱根峠まで続きます。この日は真っ暗になってしまったので、とりあえず目印となる標柱の前で終了しました。
また、これで一つの目標を達成しましたが、ここまでくるとやっぱり先へ進みたくなるもの。東海道はこの先が本番なので、京へ向かうことを決意し、湯本へ引き返しました。
なお、あまりにも暗かったので、甘酒茶屋から芦ノ湖までの間は、再度チャレンジしました(バスで甘酒茶屋までいったので、猿すべり坂はまだ未徒破のまま)。その記録は後日掲載する予定です。



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