山岳移動に使えるQRP用SWR/パワー計

(FCZ研究所のキットを改造)


今までの移動運用ではSWR計もパワー計も持ち歩いた事がなかった。アンテナも無線機も事前に家で充分調整しておけば大丈夫、という発想だったのだ。ところが何度か移動をしていると全く呼ばれない事がある。もしかしたらアンテナの接触不良か、SWRが高すぎるのか、はたまた無線機の故障か・・。更にアンテナも無線機もリニアアンプもすべて自作に頼っていると何処かが悪くなる可能性は高くなる。

(完成したQRP用SWR/PWR計
重量は120g)

SWR計があればアンテナの調子が、パワー計があれば無線機の調子が分かるが、残念ながら市販の小型SWR/パワー計ではQRP機での運用では正確な値が計れないようだった(特にSWRが難しい)。

自分の移動運用はせいぜい7、8W。多いのはやはりQRPだ。QRP用の小型軽量のSWR/パワー計はないものか・・。物色しているとFCZからQRP用のSWR計のキットが出ている事がわかった。(寺子屋シリーズ226) オリジナルの回路は抵抗ブリッジ式の回路というらしい、430MHz,5Wまで使用可能との事だ。少し工夫すればケースの中にパワー計の回路も入れられないだろうか。パワー計の回路自身は「高周波回路の設計製作」(鈴木憲次著、CQ出版社刊)を参考にする。上限50MHzまでの終端型パワー計の回路が載っている。簡単な回路なので切手サイズの基盤に収まるだろう。トグルスイッチでSWR/パワーの両回路を切り替えるようにするのだ・・。

早速キットと必要な部品を買い求めた。

1・SWR計のキットは取説通りに作る。(インジケータパネルはあとでパワー値を書くのであらかじめ線をひいておく)

2・切手大の基盤に下記パワー計の回路を組み立てる。ダミーロード抵抗は2Wを3本とし、5W(6W)まで計測可能を目指した。

3・RF−INのBNCから0.8D同軸線でトグルスイッチへ。スイッチからそれぞれSWR計回路、パワー系回路のINへ同軸線でつなげる。スイッチで両回路を切り替える。

4・調整:
−SWR計の調整は取説通りに行う。
−パワー計の調整は本来は所定の直流電圧を与えパワー値を更正するのであるが残念ながら各出力での電圧値が分からず、仕方なく無線機から10W,5W、4W、3W、2W、1W、0.1Wのパワーを出しその時点でのパワー計のインジケータが示す目盛り板に印を付けた。ダミーロード抵抗の耐電力は6Wだから10Wはキツイが一瞬なら計れるだろう。各々の絶対値が正しいかは分からないが少なくとも移動先で予め計ったパワーがきちんと出ているかはこれで相対的に計測出来るはずだ。

5・使用感:
SWR計の反応はすばらしく1Wでも針の振れは俊敏だ。ためしにアンテナを接続せずにSWRをはかると即座に無限大に。1Wでこれほど計れるとは。これは使えそうだ。

次にパワー計。トグルスイッチを切り替える。あらかじめ各出力値に印を付けているので無線機を変えてもそれなりの値を示す。これなら移動先で無線機の出力チェックがすぐに出来るだろう。針が振れ無ければパワーが出ていない証左である。

実際に移動先で使ってみる。ヘンテナをセット。SWRは2.0。もっと下げたいが樹木が生い茂りこんなものだろう。無限大ではないから許せるだろう・・。出力もちゃんと2Wでている。よし、CQを出してみよう・・・。

手のひらサイズ。重量は120gという軽さ。QRP移動の際には頼りになりそうである。

(QRP用SWR/PWRメータ回路図。両ブロックの切り替えとメータ出力切り替えは
連動のトグルスイッチで行う)
(ケース裏側側面に貼り付けた
PWR計回路部)


(終り)

Copyright:7M3LKF,1998/7/5