焼山から鳥屋へ

(1996/5/3,神奈川県津久井郡)


(鳥屋へ。眠気を誘うような春の山)

焼山は数年前の10月に丹沢主脈をずっと縦走した際の最後のピークであった。長い丹沢の主脈もこの山をもってその背骨を著しく谷間に落としていく。まさに最後の砦であった。鉄製の展望台にあがれば道志川の谷間に秋の日を浴びた集落がのどかだった。そんな事を思い出し久々に行ってみようか、と思う。どうせなら歩いたことのない道を。西野々の先、平丸から上がり、主脈を超えて反対側の宮が瀬の鳥屋へおりてみようか。未知のコースは好奇心が沸き立つ。

平丸から主脈縦走路へは登り一方できついが表丹沢に較べると標高差は少ない。のんびり者の山桜のピンク色が時折新緑の山肌に混じる。蜘蛛の巣が多く顔にひっかかる。一服すればアブが身の回りを2、3周ぐるりとうるさく飛び回る。そんな事に寒かった一ヶ月前の生藤山に較べ季節の移りをしっかり実感する。

主脈縦走路に出た。主脈は好ましい雰囲気で、それに誘われどこまでも歩いていきたくなる。疎林の中、少し歩いた焼山山頂は静かだった。三角点がはずれにぽつんとあった。

連休の道路渋滞で予定が大幅に遅れたせいもあり時間的に鳥屋へのコースはきつそうだったが、あせりを感じつつも予定どうり歩きだす。そのせいか途中の登山道の崩壊箇所では迂回路に目がいかず危なかった。一部道が崩落しており、無理に対岸に渡ろうとするがザレて足が潜ってしまう。ほんのちょっとの距離なのに。諦めて少し戻り、首を回してみる。と視線のすぐ上にコースを示す赤テープ。踏み固められていた道が上を巻いていた。時間にあせって目が届かなかったのだ。気分に余裕があればどうというとこではなかった、と反省。

山仕事の人数人に会った以外は静かであまり歩かれているふうもない山道をたんたんと歩き鳥屋へ。途中宮が瀬方面の展望が大きく開ける。柔らかな空気で、木々の色彩もぼんやりしている。バス停に着き缶ビールを飲み急速にまわってくる酔いの中、今日の静かな山行をふりかえった。

(終り)

(コースと標高:平丸10:15−主脈合流12:00−焼山・アマ無線12:25/15:10−柏原の頭16:30−鳥屋17:10、焼山標高1059.6m)


アマチュア無線運用の記録

焼山 1059.6m 神奈川県津久井郡
無線機: HT750(2W) アンテナ: 自作軽量2elHB9CV 28局交信(50MHzSSB) 最長距離交信: 宮城県白石市 JF7UNR/7
丹沢主脈最北の1000m峰。山頂には鉄製の高い展望塔があり、そこでQRVすれば楽しめるかもしれない。私はそこより西側、三角点のすぐそばで運用した。

展望は北から東方面にかけてが素晴らしい。眼下に道志川に沿った集落が広がる。西に対してのロケーションは今一つのように思えた。


Copyright : 7M3LKF, 1997/10/15