岩木山と八甲田山で山スキー三昧の五月連休 

 2017年5月2日‐5日、青森県青森市、弘前市他) 


さきほど新幹線で青森から帰宅しました。Sさん(JI1TLL局)とともに八甲田と岩木山で山スキーを満喫して、いまだ高揚感が治まりません。

途中欧州転勤の為山スキーが5年ほど途絶えましたが、それでも転勤をはさみ、八甲田、至仏、燧、会津駒、吾妻、月山、鳥海、と毎年GWは東北の山々の山頂をスキーで踏んできました。いずれも山自身の素晴らしさ、スキーの楽しさ、下山後のひなびた温泉、と、東北は何度出かけても全く飽きない場所です。もはや来年のGWの山スキーは何処にしようか、と考え始めている始末です。


1・八甲田: (2017年5月3日、4日)

私にとっては12年ぶりの八甲田。前回も酸ヶ湯にテントを張り3日間、主峰大峰をはじめ南八甲田を滑りましたが、何度でも行きたいのが八甲田です。今回も酸ヶ湯にテントということで3人用点と他幕営装備をスキーとともにあらかじめ宅急便でもよりのヤマトの営業所に送りましたが、借りたレ ンタカーが軽のワンボックスバンで、この荷室が完全にフラットになり3人用テント並みの広さが確保できたので、テントはパス。車中泊での山となり ました。

(1) 櫛が峰: 今回の目的は南八甲田の主峰・櫛が峰(1516m)。Sさんは既にスキーでその山頂を踏まれていると言うことでしたが、私は、前回は手前の駒ヶ峰までしか登っていないので、ずっと心残りの山でした。南八甲田はプラトーに登りつめるとアオモリトドマツの点在する広大な雪原となります。このスケール感は、ああいかにも南八甲田に来た!と感じさせる素晴らしいものです。駒ケ峰(1416m)の山頂に立つと遥か前方に悠然と真っ白に立つ櫛が峰。無木立の真っ白いピラミッド。あれに登るのか、と思うと気が遠くなります。実際櫛が峰まではやはり遠く、歩けど滑れど距離が縮まりません。どうやってあの大斜面にとりつくのか途方にくれます。目を凝らすと稜線を豆粒のようなパーティが数名。おお、あそこを登るのか。地形図を見ながら沢の源頭を巻いて一気にトラバースで雪庇帯をぬけると北面から櫛が峰の登りに取り付きます。これが長かった。午後の陽射しにザラメ雪もさらに緩み、シールが時折滑ります。小さなシュルンドも現れ気が抜けません。ようやく登りついた櫛が峰山頂、万感の思いです。岩木山が悠然と立っていました。無線はSさんは釣竿+RH770で145MHzFM、自分はRH770をハンディ機直付けで430MHzFMを運用。地元青森市、そして十和田市から呼ばれます。

さて下山。自分の足前では東面大斜面をスキーで滑る気がわきません。結局北方尾根を滑ります。細い尾根ですがターンには充分で快適な滑り。あっと いう間に雪庇帯の分岐となり、再び駒ヶ峰へ登り返します。自分はシールを貼りなおし、Sさんはシートラーゲンでだらだらとした駒ヶ峰の登り。こ れが消耗します。駒ヶ峰でシールを剥がすとあとは多少登りがありますが下りるだけです。駒ヶ峰の東面斜面は適度な斜度とザラメ雪で、下手糞な自分 でもテレマークターンが決まって大満足。12年前はここから猿倉岳を経て猿倉温泉へおりるツアールートを辿りましたが、今回は睡蓮沼に車をデポし ているので往路を戻ります。もっとも広大なアオモリトドマツの森と雪原、往路など忠実に辿るのは不可能で地形図を見ながらルートを決めていきま す。これも山スキーの醍醐味の一つでしょう。広大なプラトーを滑る、風が心地よい。こんな快感は他には思い浮かびません。プラトー末端で尾根を越 えるため斜度もなくなりますがテレマークは滑降と歩行がシームレスなので即座にパスカングに切り替えられ、このような地形でも機動性が高いと改め て感じます。標高1200m付近から睡蓮沼にかけて広がる大きな沢に一気に滑り込むのがこのルートの最後の醍醐味。大きなターンを描いて数度、 あっという間に標高を下げます。沢をやや下ると複雑な地形となりここでルートファインディング。ミズバショウの咲く湿原を抜けてその先、やや迷い ましたが睡蓮沼と笠松峠の中間地点あたりに下山しました。往復7時間半、遠かった、というのが実感です。

睡蓮沼から駒ヶ峯に向けて
アオモリトドマツの中、登りが長い
ひとしきり登り振り返ると北八甲田の山々
大岳、小岳、高田大岳が並ぶ (写真JI1TLL氏)
駒ヶ峯からは長い稜線を歩き、谷を越え
左前方に立つ櫛が峰を目指す。遠い道だ。
ついに登った南八甲田の主峰、櫛が峰山頂 櫛が峰の稜線にテレマークターンを描いた
(写真JI1TLL氏)
下って谷地温泉。ミズバショウの群落があった

(2) 八甲田温泉ルート: 翌日は櫛が峰の疲れも残っているので、お手軽にロープウェーで田茂萢岳(1324m)まで入り八甲田温泉のルートを 滑ることに。田茂萢岳で430MHzを運用すると北海道は浦川町から呼ばれます。津軽海峡を越えて電波が飛ぶと思うと嬉しいものです。さて、自分 は北八甲田は自分は地獄沢から大峰ルートを登ったのみ。この八甲田温泉ルートは竹ざおが頻繁に現れるのでルートを外す心配はありませんが、それで もやはり取り付きは沢の源頭をぬけたりとやや複雑で地形図片手のスキーになります。若干の登りが続き、ウロコ板が欲しいところです。やがて下りと なり、ブナ林の中のこれまた快適な滑りとなります。おお、素晴らしいザラメ。雪質最高。こんなに楽しいとは!海抜800メートルあたりで途中で ルートがややわかりずらくなり地形図をみてやや東へ強引にルートを取ります。とブッシュが濃くなりどうやらミスルートのようです。とはいえスキー で薮くぐりをするのも嫌いではありません。最後は強引に滑り降りて車道に出ました。目的地としていた八甲田温泉よりも約1kmほど西に出てしまいました。なかなか、手ごわい。しかし、楽しい。

田茂萢岳から井戸岳から大岳を望むj 八甲田温泉ルートはやや複雑な地形で
ルートファインディングも楽しめる(写真JI1TLL氏)
とはいえ結局コースを外してしまい薮っぽい
林の中を進んで車道に出た

2・岩木山 (2017年5月2日、5日)

12年前の八甲田山行の際に見た岩木山の姿にずっと憧れていました。今回は岩木山の初登頂も目的の一つです。(Sさんは三度目の岩木山というこ とです)

5月3日、前夜の浜松町からの夜行バスで青森に着きレンタカーで岩木山の登山口である嶽温泉へ。ここから岩木山スカイラインを弘南バスで岩木山の8合目(1238m)までバスで上がれるのです。さらにそこからは9合目まではリフトがあり、ということで割りと気楽に考えていましたが、なんとリフトは休業中。見上げる雪の壁のはるか先に見える岩木山山頂、標高差400mとはいえ夜行あけの午後12時半から登る気がわきません。それでは山頂は最終日にして、やはり山 スキーでしょう。いくつかある岩木山の山スキールートですが、8合目から滑り出すのは嶽コース。リフト乗り場の裏手から一気に大きなルンゼ状の谷 へドロップします。このワクワク感。ザラメの中にシュプールを刻んで数ターン、あっという間に高度を下げると地形図の出番。ここから正しい尾根に 乗らないと一本東側の険悪な沢に迷い込みます。これを上手く突破するとあとはブナ林の中を縦横に滑って思わず快哉を叫びます。海抜700mあたり から雪質は悪化しスキーが引っかかりだします。ルートファインディングを続けてスキーを脱ぐことなく嶽温泉の旅館の裏手まで滑り通しました。大満足の一本でした。さてあとは弘前の市内に出て桜祭を見物しましょう。今晩は黒石市の温湯温泉の民宿です。

* * * *

八甲田から下りて来た5月4日午後は黒石市でB級グルメ黒石焼きそばを頂き、その後地元の温泉に入ってから一路再び岩木山の山麓を目指しました。此処まで来て岩手山の山頂を踏まずして帰れません。嶽温泉の手前の広い駐車場で車中泊。

翌最終日、満を持して?朝一番のスカイラインで再び8合目まで。リフトが動かないのは想定済みで、今回は山頂を踏むことが目的。スキーはもう3日間 満喫しました。除雪の進んだリフト直下をローカットのハイキングシューズで登ります。蕗の薹が春らしい。40分で登りきるとそこからは雪のついて いない岩の登りです。ガレに気をつけさえすれば更に約30分でさして苦労もなく岩木山の山頂へ。海抜1625m、下界から見た、あの立派な津軽富士の山頂に居ると 思うとやはり嬉しいものです。145MHzFMの運用では秋田から北海道まで若干のパイル交じりで楽しめました。SさんはHT750 とダイポールで50メガ。ESが出ておりやや交信に苦労されているようでした。

さあ、スキーで登る(自分でも登ることができる)東北の百名山もあとは八幡平を残すのみとなりました。もちろん百名山以外にも、まだまだ東北の山スキー、行きたくて仕方ありません。冒頭にも書きましたが、気分はもう来年の事を考えています。あぁ、待ち遠しい。

なお、温泉は八甲田の酸ヶ湯、岩木山の嶽、ともに良いですが、やや観光地化してしまった酸ヶ湯より、嶽のほうが渋くて好みであります。いまだに体が硫黄臭いです。Sさん4日間お付き合いいただきありがとうございました。

山麓から仰ぐ津軽富士・岩木山は立派だった 嶽コースにシュプールを伸ばした 3日後に再チャレンジして岩木山の山頂を踏む
この軽ワンボックスはリアをフルフラットにして
素晴らしい移動式テントと言えた
車中の炊事はわざわざ送り届けた家庭用
カセットコンロで。ビールさえあれば言う事無し
桜咲く弘前城。城は石垣のメンテの為に本来
の場所から城ごと移動!していたのには驚いた

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