家族旅行の駄賃で登る山-城峯山、榛名・掃部ケ岳 

(2003/7/21、22 埼玉県児玉郡・群馬県群馬郡)


城峯山 (1038m、埼玉県児玉郡)

(山頂はしっとりとしたガスの中だった) (雨にぬれる三角点)

子供たちが夏休みにはいって急遽思い付きでどこか旅行に行けぬかとネットで宿を検索すると群馬・安中市の磯部温泉の公共の宿に空きがあった。ラッキーだ。早速予約を入れて関越道を北に向かう。7月も20日を過ぎたがまだ梅雨は明けず雨がぱらつく。今日は宿に着くまでこれといった観光の計画もなく、自分の頭の中はまずは適当な山に登りさえすれば良いというのだからひどい話でもある。もっとも山歩きの楽しみ・山の自然の持つ美しさを知ってからというもの観光地の風景が陳腐化してしまいおしなべて自分の興味を引かなくなったのだからこればかりは仕方が無い。家族には申し訳ないけれど。

花園ICでおりて途中埼玉県児玉郡の一等三角点峰・城峯山に立ち寄ることにする。山頂直下まで林道で登れるので雨の中の行きがけの駄賃で登るにはもってこいだろう。標高をあげるにつれてガスが濃くなり雨も強くなってくる。山頂の肩まで上り、車を停める。さすがに家内は車の中で待っているという。酔狂な自分と、そんな変人の父親の行動にすっかり慣れてしまった?子供二人と、計三人で傘をさして雨に濡れる緑の山道を歩き出した。山頂まではのんびりと10分。しっとりとして雨の山も風情がある。ガスに煙る山頂には大きな鉄塔があり、登っても白いガスの中、簡単に50メガで交信をすませるだけだ。ポツンと立っている一等三角点を手で撫でて下山にかかると胸のポケットに入れたハンディトランシーバーのスケルチが突然開いて下から家内が「大丈夫?」と呼んできた。こちらの事も心配なのだろうが、車の中とはいえ山の中でぽつんと待っているのも不安なのだろう。申し訳ないことをしてしまった。「もう少し」と話しかけて足を速める。5分ほどで林道に戻ると雨に濡れる車の中から家内が安心したような顔でこちらを見ていた。

磯部温泉はマイナーな温泉なのだろうか、そういえば自分の学生時代に親が富山に転勤したこともあり帰省によく信越線を使ったが、特急も高崎の次の停車駅は横川で磯部は素通りしていたように思える。そんな心配をよそに結構立派な宿が碓氷川のほとりにたっていた。16:00前にはチェックインして、子供たちも大きな部屋に大喜び。湯につかり、夕食までが待ちどおしい。夕食は結構贅沢で皆大満足だった。

榛名山・掃部ケ岳 (1449m、群馬県群馬郡)

(掃部岳頂上から杏ケ岳方面は
深いガスに閉ざされていた。)

榛名湖湖畔・国民宿舎の横手から登り始める。掃部ケ岳の山頂は標高1449mはあるものの湖畔からの標高差は350mしかない。尾根まで登るつくとその先は笹が深かった。結構な急登で、本格的な山歩きをもうここ数ヶ月していなかったでかなりこたえる。が、幸いにも目下のところ今年は冷夏ということもあり山の中は冷んやりとしており、それが救いでもある。

ひたすらの急坂をこなしていくと斜度が弱まり思ったよりも早く山頂だった。ガスが深く前方に続く杏ケ岳方面の稜線は白い霧の中に消えていた。先客は夫婦連れ一組と中年男性一人で、皆地元の人のようだった。夫婦連れが「群馬の山歩き130選」(上毛新聞社刊)を手に男性に「武尊山への一番簡単なコースはどこでしょう?」と聞いている。男性はかなりこの界隈の山に詳しいようで、いろいろとアドバイスをしていた。それを聞きながら、武尊山に行くのもいいなぁ、とふと考えたりもした。

平日の今日ははなから50メガは駄目だろう、とザックには430MHzのハンディを入れてきただけだ。CQを出して地元群馬と東京都足立区との2局と交信する。閉局して下山の途につく。途中先ほどの急坂で30人ほどの大パーティに遭遇する。旅行代理店のバッチが何人かの帽子についていた。ツアー登山だろうか、明らかにあんな人数はあの猫額の山頂には収まるまい。確かに榛名は二百名山にその名を載せているし掃部ケ岳はその最高峰でもある。が、歩く距離も短くしかも藪っぽいこんな季節にわざわざツアーで登る人もいるのか、とやや驚いた。

掃部ケ岳は杏ケ岳とセットで冬枯れの中登ろう、と思っていたが今回片方だけで登ってしまった。杏ケ岳へは又いつか行くことになるのだろか。掃部ケ岳と杏ケ岳はそれぞれ単独では確かにかなり歩く距離も短くその為だけに日帰りで横浜から来るのはちょっともったいないかもしれない。ちょっと中途半端な歩き方をしてしまったような気もする。でも機会があればまたなにかまた来れるかもしれない・・。

横浜への帰途、藤岡市のサファリパークへ立ち寄る。車のすぐそばまでキリンやライオンが近寄ってきて自分も家族もその迫力に大喜び。が、よく見るとなんとなく動物たちもこの日本の気候に合わないのか、ややお疲れ気味の様子。同じく仕事嫌いでお疲れサラリーマンの何処かの誰かさんの姿にそれがダブってしまった。

とはいえようやく家族旅行らしい行程を最後に加えることが出来た。こんな自分勝手な行程の旅行にも目下のところ一応文句も言わず付き合ってくれる家族に心の中でお礼を言いながら、関越道を南下した。


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