近頃尾国でコケるモノ 第11回 by 山田 卓



 藤子・F・不二雄こと藤本弘さんが昨年お亡くなりになりました。三十過ぎてこういうことを書くのはかなり恥ずかしいのですが、ぼくにとっては「ドラえもん」は他の何物にも代え難いかけがえのない存在だったので(一度連載が打ち切られてその一年後に復活したときは本当に嬉しかった)、訃報に接したとき思わず目に涙が滲んでしまいました。ただひたすらご冥福をお祈りするばかりです。多分クラークが死んでもこんなに悲しくはないでしょう。アトムの切手の売れ行きはすごかったそうですが、ドラえもんの切手は出ないんでしょうか。

 気を取り直して、まずはお断りである。前回の最後で今回は「涙、涙のPentiumオーバードライブの巻」と予告したのだけれど、T.T.の刊行が予想以上に遅れたため、用意した原稿はあまりに時機を逸したものとなってしまった。というわけで、今回は別の話にさせていただくことにする。楽しみにしていた方(いるわけないか)には申し訳ないが、あしからずご了承願いたい。
 さて、ぼくが子供の頃お気に入りだった遊びというのは、情けない話だが実は一人でお絵描きというか落書きすることで、裏が印刷されていないチラシを見つけてきては机にかじりつくと、いろいろ飛行機やら船やら宇宙船やらをシコシコ描いていたのである。特に好きだったのは戦艦の絵で、まずカッコいい(と自分では思っていた)戦艦を描き上げると、次にそのまわりに敵方の戦闘機や急降下爆撃機、さらにはあまりカッコのよくない「悪の」戦艦をを描き加えて、「きゅいーん」とか「ひゅーん」とか「ずどーん」とか「ずががーん」とかいいながら、カッコいい正義の戦艦が悪の軍団をやっつけていくという場面を重ね描きして一人寂しく(と今考えればそう思えるのだが当時はそんなこと気にならずむしろ本当に面白かったような気がする)遊んでいたのだ。
 そんな遊びもさすがに小学校を出る頃にはしなくなったが、それでもメカ指向の落書き僻は高校ぐらいまでは抜けなくって、身の程知らずな話だがSFアニメのメカニックデザイナーにあこがれたりもしたのである。実は中学の頃はメカデザイン帳なんてのも作っていたのだが、さすがに今は残っていない(はずである)。
 で、なんでこんな話を書いたかというと、実は最近になって、もう一度こういう遊びができないかなあと考えているからなのだ。
 もちろん、いい年こいて落書きがしたいなどと考えているわけではない。チラシの裏に描いた戦艦に爆炎やら対空砲火やらを重ね描きしていた頃から既に20年は過ぎているのである。同じ遊びをするにしても、せめてもう少し時代に相応しい内容にアップデートしたいではないか(だいたい何が悲しくて三十過ぎたオヤジがチラシの裏に落書きしなきゃいかんのだ)。
 それではいったいぼくが何をしたいかというと、つまりは3Dグラフィックでグリグリ遊びたいのである。3Dグラフィックでグリグリ遊ぶといっても、ゲームをしたいと言っているのではない。3Dグラフィックソフトで自分で作った宇宙船とかを思うがままに「ぎゅいーん」と飛ばしてみたいのだ。要するに3Dの落書きがしたいのである。
 Windows系パソコン用3Dグラフィックソフトといえば、やっぱりLightWave3Dが真っ先に思い浮かぶが、何しろこれは20万を軽く越えてしまう(それでもSoftImageとか3DStudioMaxとかよりははるかに安いが)ので、お遊びで買うようなソフトウェアとは言い難い(もっともかつてはぼくもボーナス半分つぎ込んでMathematicaを買うと言う暴挙に出たこともあったのだが)。しかしながら最近バージョンアップしたMacromediaのExtream3Dなら、モデリングの自由度もメタボールとかサポートしていて結構高そうだし、パーティクルモーションとかもサポートしてるし、アニメーションも作れるし、Win95ならDirect3Dを使ってイタラクティヴにレンダリングできるし、それでいてお値段は29,800円と大変お手ごろで、今かなりそそられているのである。
 で、3Dグラフィックをやるとなるとマシンパワーは今以上に要求されることは間違いない。まだ作って1年半しかたっていないが、そろそろP5/120では限界かなという気がしないでもない。おまけにこの4月には結婚をしてしまうので、自分で自分の稼ぎを自由に使えるのは今が最後なのである。
 というわけで、一大決心をしてPentiumProを購入することにした。もちろん200MHzである。実のところあともう少し待って一気にKlamath(MMX版PentiumPro)と言うことも考えないではなかったが、新しいものには必ず不具合があるし、KlamathならやっぱりグラフィックまわりはAGPにしたいけど当然出始めはAGPも相性問題に苦しむだろうし、消費税も春から5%になるし、などなどいろいろ考えた末、現時点でP6を買ってもまあいいだろうと判断したのである。ただし今のところの情勢から考えると、現在のP6/200システムに対してODPが供給される可能性はあまり高くないように思われる(実はKlamathは現在のCPUのようなPGAやPPGAパッケージではなくCPUボードという形で供給されるらしいのだ)。そこで今回はデュアルプロセッサー対応のマザーボードを購入した。もっともCPUはまだ1個しか買っていないが。またグラフィックボードには、3DLabsのPremidiaNTなるジオメトリ補助チップを持つ3Dアクセラレータを採用した、メルコのWHP-PM8を使うことにした(実はまだ物が手に入っていないのだが)。これでOpenGLやDirect3D使用時にCPUにかかる負荷を少しなりとも軽減できるはずである。
 と書いてきたものの実は新しいP6システムはまだ完成していないのである。これにNT4.0をのせて、OpenGL対応の3Dグラフィックソフトをグリグリ使うのが今から楽しみなのだが、いかんせんまだグラフィックボードが手に入らないのと結婚の準備にかなり追われ始めてきたのとで、まだ全然組み立てが進んでいない。とりあえず触ってみた感触すら書けない状況なのである。
 と言うわけで次回にはこのP6システムと、もし買っていれば3Dグラフィックソフトの話とかを書く予定である。そしていつの日にかは皆さんの前に我が「大人の落書き遊び」の成果を御披露できたら、などと考えている。
 ではまた次号。



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