タイトル 十三人の刺客
公開年 1963年
配給 東映
工藤栄一監督の代表作。東映時代劇から仁侠映画の端境期に作られた、集団抗争時代劇。菅貫太郎の馬鹿殿ぶりと、淡々と自身に起きた悲劇を語る月形龍之介が秀逸。ラストの立ち回りが圧巻。今年、役所広司主演でリメイクされた

出演:片岡千恵蔵、里見浩太朗、月形龍之介、菅貫太郎、内田良平、嵐寛寿郎、丹波哲郎ほか

それぞれの生き様が描かれ、とても骨太で男臭い映画。武士の生き様の剛健さと悲しさがよく表現されている

 スクリーンで観た事はないのだけれど、すっごく面白いと思った、これぞ映画な作品。工藤栄一監督は必殺などで馴染があったのだけど、こんな渋い映画を撮られていたとは…
 私事だが、お仕事で時代劇双六を作らせていただいた時、映画のチョイスから構成までさせたいただいた。もちろん中の文章も書かせていただいたし、大変だったけど、すっごく楽しいお仕事だった。一月から十二月まで作品をチョイスしながら、この作品もぜひ入れ込みたかった。大好きな映画だったからである。11月のコマにこの映画を選ばせてもらった。理由は、ラストの決戦の見せ場が「11月17日、落合宿」であったから。他の映画はほとんどの作品が錦之介さんや、橋蔵さんなどお一人の方を描いたのだが、この作品と「座頭市と用心棒」は複数の方をコマに描いた。特に、本作は6人も描いたので、とても大変だったが、思い入れのあるイラストになった。チョイスした方は片岡千恵蔵、里見浩太朗、西村晃、内田良平、嵐寛寿郎、菅貫太郎の各氏。スペースがあるならもっと描きたかったくらい、この作品には渋い方が出演されている。脇役、悪役好きなわたし的には、本当に出演者だけでも楽しめる1本だ
 2010年、本作が三池監督、役所広司さん主演でリメイクされた。そして、管さんのあの凶悪な殿の役はSMAPの稲垣吾郎くん。久しぶりに映画館で映画をみようと思った作品なので、拝見するのが楽しみだ。(今年、遂にSMAPコンサートデビューも果たしたし)。理不尽な暴君に、命を投げ出して闘う十三人の侍達。それはいわれなき暴力に立ち向かう正義だが、表立って示す事が出来ない矛盾をはらんでいる(暴君が将軍家の血筋だからね)。暴君と知りながらも忠義という一念で主君を守ろうとする侍もまた、彼らの正義を貫く。そう、人の世は理不尽な事で成り立っている。だけど、この時代には命を懸けて理不尽に立ち向かう人がいたんだなあ…いま、日本は理不尽なことをされていて、民を守らなくてはならない者たちが、簡単に理不尽に屈している。この映画を観たら、ああ、なんて素晴らしき侍魂…と今の世の、情けない政権中枢に涙するだろう。本当に、何という理不尽がまかり通る世の中になってしまったんでしょうねえ…ここ数日、本当に泣けてくる思いです…映画、見ようっと(2010.9.26)