タイトル 太陽の王子・ホルスの大冒険
公開年 1968年
配給 東映
当時の東映動画のレベルがいかに高かったかを知らしめる作品。監督・高畑勲、作画監督・大塚康生、原画に森康二、奥山玲子、宮崎駿、小田部羊一など、一昔前のアニメファンならどひゃ〜と言うメンバー(笑)

声の出演:平幹二朗、市原悦子、東野英治郎、横内正、横森久、三島雅夫、大方斐紗子ほか

影のあるヒロイン、ヒルダ。少女なのに悪女、母性など、非常に複雑な顔を見せてくれる

 今から37年も前にこんな作品を作っていた東映動画は偉い!ものすごく久しぶりに本作を見て、その思いを強くした。もし、貸ビデオ屋でこの作品を見つけたら、迷わず借りなさい。東映チャンネルが見られるなら、すぐにリクエストを出しなさい(笑)一見の価値はある作品である
 CGなどない時代、手描きでこれほどまでのクオリティ。氷の狼の場面や、迷いの森などの表現は秀逸。色合いが上品で、そこはかとなく和のテイストが感じられる。ディズニーの色彩とは微妙に色合いが違うのだ。この当時から積み上げてきたアニメーション技術が、いまや日本のポップカルチャーの旗手である。ジブリのアニメを見てすご〜〜いって言う前に、そのはるか前、ホルスがあったんだよ。ほら、あなたも見たくなったでしょ?
 声の出演も、また渋い。ヒロインのヒルダは市原悦子さん。後年、家政婦が見ることになるなんて誰が想像しただろう(笑・意味はない)。ヒルダの二面性をよく表しているが、欠点は声を聴くと顔が浮かんでしまうこと(笑)まあ、子供時分に見た時は気にならなかったのだけど…。悪魔グルンワルドは平幹二朗さん、後白河法皇でくせ者ぶりを発揮していらっしゃるが、当時は若々しい悪である。ガンコ爺さんは東野英治郎さん、村長は三島雅夫さんなど、楽しみ亭通ならおおっと思うキャスティング。ちなみに横森久さんはホルスの父親役であった
 動物が走る、魚が泳ぐ…そんなアニメーション本来の楽しさを本作は感じさせてくれる。技術革新でソフトもハードもどんどん性能がアップしているが、人の工夫が作画から感じられる当時のアニメは、見ていて楽しい。たとえ、絵は稚拙でも(本作に限れば素晴らしいできなんだけど)、人の手作業という温もりを感じる。DVD化もされ、美しい画像で見られる。いい時代だ…うちはTVだけはでかくて性能がいいので、映画館状態で楽しめる。連れ合いの好きな「わんわん忠臣蔵」(1963年)と二本立てで楽しもうか?それとも「わんぱく王子の大蛇退治」(1963年)をゲットしてから見ようか…今では決して作れないであろう(予算的・技術的)往年の名作たちをDVDで集めなくっちゃ(2005.5.31)