Elmarit 90mm f2.8 (1st model)

ライカにはまって最初に手に入れた交換レンズが90ミリのエルマリートだった。重量級のズミクロンでは海外取材に持ちだすのに骨が折れるし、またM2&ズマロン35mmにエルマー90mmではあまりにマルビすぎると考えての選択である。
ウィーンのライカショップから通販で仕入れたそれは、外観はあまりきれいではないが、IUFOOのフードが付いてきた。ローレットの加工も凝っていて美しい鏡胴だが、根元のグッタペルカはいただけない。このあたり、後のテレエルマリートのほうが洗練されているけれど、そのクロームモデルは途方もない値段が付いていて手が出ない。
M2の小さな90ミリ枠では、開放で使うとピントが来ないこともしばしばだったが、M3にしてからピントの歩留まりがすこぶる向上した。
ピントさえ合えば非常にたのもしいレンズである。古い設計にしてはシャープでコントラストも高く、端正な像を結ぶ。3群5枚の変形ヘリアータイプ(2群目と3群目が貼り合わせ)。テレタイプではなく長焦点レンズなので歪曲収差もない。f5.6に絞るとさらに像は締まるが、あまりにシャープすぎて、お肌が曲がり角にさしかかった女性を撮るには気兼ねする。
と言いながら、中望遠の作例にはポートレートと思い、お妃をモデルに。ほぼ最短距離。1/60秒・f4くらいではなかっったろうか。