締め加減のお話

どこかの本で読んだことがあるのですが、経験をつんだメカニックがボルトをトルクレンチなどを使わずに感覚にのみ頼って締めた場合、細めのボルトではトルクオーバーに、太目のボルトではトルク不足の傾向になるそうです。ちょうど良い締め具合になるのが、12mmぐらいのサイズのボルトだったと記憶していますが(うろ覚え)、なかなかトルクレンチできっちり締めつけトルクを管理するっていうのも実際にやるとなると面倒くさく感じてしまいます。

でも、エンジンオイル抜きのドレーンボルトとスパークプラグを締める時だけはいつも緊張します。
なぜなら雄ねじと雌ねじの金属の材質が違っていて、なめやすい上になめたら交換に途方もない手間がかかるところだからです。

新品のスパークプラグだったら回転数でトルク管理ができる(はず)なのでそれを信じて締めればよいけれど、やけ具合チェックなどで一度はずしたプラグを再度締める場合がものすごくイヤです。ガスケットが潰れていて、回転数でのトルク管理ができなくなっているからです。

タンクが邪魔だったりプラグが奥まったところにあってトルクレンチが使えないような場合は、プラグを緩める前に書いてある文字やボルトの角を目印にしてマジックでマーキングしています。締める時にはこれを目安に締めていけば少なくとも緩める前の状態にはできるわけです。トルクはあまり正確じゃないでしょうが、なめてしまう心配はかなり減ります。

実は、過去に一度モンキーのシリンダーヘッドのプラグホールのねじをなめて廃品にしているのです。いまではなめたらリコイルキットという雌ねじを再生する便利なものもあるようですね。プラグを締めるのは怖い怖い・・・・


ゼリーみたいな物が・・・

シェルパのオイル交換の時のお話です。購入してから900Kmほど走ったので、オイルとオイルフィルターを交換しようと思い、作業をはじめました。オイルを下から抜いて、オイルフィルターをはずしたところ、フィルターの入っている穴に、何やら黄色いゼリーのようなものがたまっているのです。特にフィルターの安全弁のあたりに集中してたまっていました。

なんだろうと思って手にとってみると、どうやらグリスのようです。何でグリスがオイルに混じっているんでしょうか!エンジン組み立ての時にクランクケースの中に紛れ込んだのでしょうか。いままで新車のオイル交換は何度もやっていますが、こんなことは初めてです。

ちょっと心配なのは、安全弁のあたりに集中していたことです。もしかしたらこのグリスのせいでフィルターの目が詰まって、安全弁が働いてしまったのかもしれません。

KDX125SRを新車で買った時も、エアフィルターをきちんとエアクリーナーボックスに取り付けてないために、隙間から空気を吸っていたりと、「カワサキさんのバイクは組み立てが雑」という印象があります。「ちょっと、しっかりしてよー」って感じです。


カギの話

最近、ピッキングツール(キー無しで錠を開ける特殊な道具)を使った泥棒の被害がすごく増えているらしいですね。テレビでもよく取り上げられていて、会社の同僚の間でも話題になりました。

私のスノーボード関係の知り合いに、鍵屋さん(カッコ良くいうと「ロックスミス」!)がいるのですが、彼にいろいろ聞いてみると、「ミワ」という会社のシリンダー錠で、鍵穴が通常の状態でタテになっているやつは、簡単にピッキングで開いてしまうそうです。
実はウチの家の鍵もまさにそいつでした。

彼に頼み込んでピッキングの方法を教えてもらい、道具を借りて彼の指導のもとで自分の家の錠のピッキングに挑戦してみたところ、なんと、3分もかからずに鍵があいてしまいました。初めてピッキングをやったシロウトでもこんなに簡単に鍵が開いてしまうのはものすごく恐ろしいことです。これはかなりヤバイと思い、その場ですぐにピッキングによる開錠が困難なシリンダーに交換してもらいました。(写真)

彼は車やバイクの鍵のトラブルの解決を頼まれることも多いらしいのですが、彼によるとカワサキのパイクの鍵はピッキングしにくいといっていました。知り合いのバイクやさんも、最近のカワサキのバイクは鍵を壊してハンドルロックを解除するのが大変な構造になっているものが多いといっていました。カワサキのバイクは盗みにくく造ってあるんですかね。ほかのメーカーと比べてシリンダーの構造などが違うのでしょうか。でも、モンキーなどについてる短めの鍵なんかは、ホントに簡単に開くそうです。こわいこわい。

バイクの盗難には一度あったことがあります。あんなに悔しい思いはもうしたくありません。泥棒野郎の盗む気が失せるような工夫や対策をしなければなりません。


プラグの取り付け取り外しは慎重に・・・

プラグを締める時のトルク管理は大切だと書きましたが、その前に気をつけなければならないことがありました。

DOHCのシリンダーヘッドについているプラグは、プラグが奥まったところについているため、プラグの周りに砂やら小石やら泥が非常にたまりやすくなっています。しかも、タンクなどが邪魔になってプラグの周りが見えにくくなっているので、プラグ周りの状況の確認も非常にやりにくいのです。

先日、シェルパで雨の日に林道を走ったあとで、タンクをはずしてプラグ周りを目視確認したら、それはそれはすごいことになっていました。はずす前に絶対にエアブローで異物を取り除く必要があります。運悪く小石がころりんとエンジンの中に入ってしまったら、残念ですが、おしまいです。

車載工具にプラグレンチがついているので、プラグって気軽にはずしていいんだ、って思ってしまいがちですが、ここはエンジンの急所なだけに、慎重に慎重を重ねたほうが良いですね。話はちがいますが、車載工具のプラグレンチって良くできてますね。品質はいまいちですが、専用設計なので使い勝手は良好です。

みなさんには「当たり前のことをいまさら」と怒られそうですが、これは自分に言い聞かせるつもりで書いているので怒らないでくださいね。


リバース!

すごく前の話になってしまいますが、私が大学生だったころ多摩川の近くに住んでいる友達がおりまして、いつも河原を一緒にバイクで走り回って遊んでいました。ある日、別の友人からヤマハのMR50というトレールバイクを譲り受けました。(登録無し)これは河原でのモトクロスごっこに最適!とばかりに保安部品等を取り外し、混合ガスにしてぶんぶん乗り回していました。

結構斜度のきつい土手を、上ったり降りたりしていた時のことです。助走が足りずに、斜面の途中で止まってしまいました。普通ならハンドルをちょいと切って斜面のフォールラインに対して車体を直角方向にして、山側に足をつけば問題はないのですが、このときはそのままバックの状態で斜面を降りていってしまいました。降りているときはフロントブレーキはほとんど利かず、リアブレーキは両足をペダルからはなしてしまっているため踏めず、仕方がないのでブレーキ代わりにクラッチをつないでエンジンブレーキ状態にしたのです。

何とか転倒せずに土手をバック状態で降りきったときには、バックでエンジンブレーキを利かせたはずなのになぜかエンジンがかかっていました。おそるおそるクラッチをつないでみると、なんと、逆回転でエンジンがかかっているではありませんか!

MR50は2サイクルエンジンなので、逆回転でエンジンが回ることはあり得ることなのですが、実際に目の当たりにすると不思議です。ただ、点火のタイミングがおかしくなってしまうので(上死点にくる前に点火しなければいけないはずなのに、逆回転だと上死点を通過してから点火されてしまうため)、アイドリングは不可能、低回転時は全くトルク無し、扱いにくいったらありません。面白がってしばらく後ろ向きで走って遊んでいましたが、難しくてまともに走れませんでした。


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