ナイフ


惑星ピスタチオ『ナイフ』☆☆☆☆(10/1,シアターアプル)

 物語が解決されぬまま、主人公の意志に関わらず、次から次へと星を渡らされていくスペースオペラ。それぞれの星々には、それぞれの星人と、それぞれの物語。優柔不断に生きている主人公が、いざ解決に乗り出そうとしたとき、皮肉な運命が彼を別の惑星へと誘っていく。知らずめざしたゴールは地球。到達する一歩手前で追跡者との最後の対決が待っていた。。。
 結局何一つ解決できず、ただ死んでいくのかジョン・スピード・ナイフよ。多くの人の思いを残し、なにもせぬまま死んでいくのが許されると云うのか、ジョン・スピード・ナイフ。幾多のスペースオペラの伝統が、おまえにそれを許すはずがない。銃口を向けられた暗転の次には、追跡者を倒し、地球からとって返して、ひとつひとつの物語に決着をつけていくお前の姿があるはずだ。。。
 伏線を張るだけ張りながら、どのひとつにも解決をつけないその潔さは、演劇史上における全く新しい試みであり、その実験精神に敬意を表します。宇宙戦艦大和のギャグがどうとかは、ひとつの要素に過ぎないのであり、全体を貫くその心意気こそが、「ナイフ」の魅力であります。

時かけ


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