ANDANTE BAUM CONCERT ゲスト 坪川真理子

 2000.8.26(土曜)17:00 開演   於 御茶ノ水アンダンテバウムハレ



プログラム


J.S.バッハ        
B.ブリテン          
J.ロドリーゴ  
A.ラウロ    
A.ガルシア・アブリル 
A.バリオス   
リュート組曲第3番 BWV995
ノクターナル
小麦畑で
ベネズエラワルツNO.1〜4
ソナタ・デル・ポルティコ(日本初演)
トナディーリャ? (アンコール)



坪川さんの演奏を聞くのも初めてなら、アンダンテのサロンコンサートも初めて。
狭い店内でどうやってコンサートをやるのかと思っていたが案外スペースは気にならなかった。
坪川さんのことはインターネットのHPで知り、彼女のスペイン情報(特にギターの講習会関連情報)を大変興味深く読ませてもらっている。私自身いつかチャンスがあれば参加してみたいので。
今回は彼女にとって一時帰国のコンサートだが、同時にスペイン留学先の卒業記念コンサートにもなるらしい。
店内は開演前に一杯になったが、おそらく彼女の知り合いと思われる女子大生の一団と私のようなおじさん(自分では認めたくない表現だが)グループの大きく二つの集団に分かれていた。最前列にギタリストの北口功さんによく似た方が座っておられた。また坪川さんの二重奏のパートナーである近藤謙太君も後方座席にいたようだ。
いよいよ開演、てっきりステージ脇から登場するとばかり思っていた彼女が観客席後方から狭い中央通路を通って登場したのには驚かされた。

バッハの3番は、最初の曲という緊張感もあったのかミスも散見されたが、全体にやわらかい音で弾かれ、特に弱音の処理とスラーの装飾音にセンスの良さが光っていた。
ノクターナルは、初めて聞いたのがジュリアンブリームのレコードでの演奏だが、私にはどちらかといえば難解な部類の音楽で、譜面を見た時も練習してみようという気持ちが一瞬でなくなった思い出が有る。
それなりに弾きこなしてはいたが、彼女自身余り楽しんで弾いているようには見えなかったのだがどうなのだろう。(後日談だが、彼女曰くこの日の演奏で彼女自身が一番納得のいく演奏ができたのがノクターナルだった由。演奏者の感覚と聴き手の印象というのは案外ギャップがあるものだと実感した。)
ここでコーヒーブレイク、どうするのかと思っていたらアンダンテの社長がステージを片付けてテーブルを広げセルフサービスでコーヒーとお菓子をふるまった。まあぼんやり椅子に座って時間を過ごすより聴衆もリラックス出来るので悪くないアイディアと思う。
後半のプログラム開始。先程同様、後方からギターを持って彼女が登場すると聴衆も暖かい拍手で彼女を迎えた。
コーヒータイムの効果か聴衆もリラックスしてきた感じ。
ロドリーゴは、今日の彼女の演奏の中では、フィナーレのガルシアのソナタと並んで一番良かった。
自信を持って弾いていたのがタッチの強さにも表れていたし、スペイン物は彼女のフィーリングにもあっているのかもしれない。
続くラウロは、1番の運指が参考になった。また4番は余り好きな曲ではなかったのだが、彼女の手にかかると良い曲に聴こえ自分でも弾いてみたくなった。ちょっと気になったのは足台を何度か直した事。女性の場合、ヒールの高い靴を履いて演奏するせいか足台の傾斜がある方が水平になるように思えるが、彼女は曲によって傾斜をなくしたりまた元に戻したりしていた。おそらく普段は靴を履いて練習してはいないだろうから、しっくりこなかったのかもしれない。
(こちらも後日談、彼女の話ではコーヒータイムで足台が一端撤去され、後半のステージで再セッティングされた為、足台の高さが最初と変わっていたらしい。それで止む無く足台の高さを調節せざる得なかったとのこと。主催者側の気配りが必要とされる話だ)
今日のエンディング、日本初演のソナタを譜面台を立てての演奏。
おそらく譜めくりをしなかったので中盤の部分だけ譜面を置いていたのではないかと想像するが、なかなか良い曲だった。彼女自身直前の練習量は一番多かったのではないかと思うが、前半、中盤にその成果が現れていた。最後のアレグロはまだ練習不足と思われるような個所もあったが、全体を通してまずまずの演奏だった。エンディングのラスゲアードの処理はもっと終わりを意識した弾き方をした方が良かったのではないかと思う。あれっと思う間に終わってしまったという印象が残ったのは自分だけだろうか。
アンコールは、バリオスのトナディーリャ?トナディージャに聴こえたが、初めて聴く曲。
彼女はこうしたスペインの香りのする曲が向いているように感じた。

アンダンテのように聴衆との距離が少ない場所で演奏をするのは演奏する側も結構神経を使うと思うが、演奏姿勢は終始落ち着いた堂々としたものだった。アンダンテの社長も回を重ねる毎に(アンダンテでは3回目)貫禄がついたというコメントがあった。
余談だが、この日は隅田川の花火大会。コンサート終了後、坪川嬢は久しぶりに会う友人達と最寄の蕎麦屋で打ち上げするのが恒例らしい。
家から遠いのが難点だが奏者がよく見えるアンダンテのコンサートはGGサロン同様貴重な存在。
また機会があれば来て見たい。
アンダンテに以前頼んでおいた楽譜(ディアンスのリブラソナチネと、ピアソラのタンゴの歴史)を今回手に入れることが出来たのも大きな収穫だった。コンサートのチケットと一緒に用意しておいてくれていた。GGサロンでは楽譜の予約は受け付けてくれないがアンダンテはこうした配慮をしてくれるのが嬉しい。

使用楽器について

ホセ・オリベのプレスマだが、中古で小柄な彼女にはやや楽器が大きく遠達性等不満がある為
現在マルセリーノ・ロペスのトーレスモデルを注文中とのこと。