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GGサロン・コンサート
金 庸太(G)&高橋康子(Pf)
 
ギターとピアノのデュオ曲を集めて

 2001.4.14(土曜日)18:00 開演  

GGサロン

Photography

コンサート終了後のスナップ

演奏者プロフィール

パンフレットより一部抜粋

作曲家西沢氏HP




プログラム

<第一部>

前奏曲
M.ポンセ作曲

幻想曲 ハウク作曲

幻想曲(アンダンティーノ、ヴィヴァーチシッモ)

カステルヌオーボテデスコ作曲
3つの協奏風舞曲
L.ブローウェル作曲


〜休憩〜

<第2部>

Le Vent Nouveau U<委嘱初演>
西澤健一作曲

アランフェス協奏曲

ホアキン・ロドリーゴ作曲


アンコール

グラナダ   アルベニス作曲(ピアノソロ)
哀歌  二橋潤一作曲(ギター&ピアノ)



桜も終り日中は初夏を思わせるような暖かさ。夕方から雲が多くなり小雨がぱらつく場面も合ったが幸い傘は差さずに済んだ。鎌田さんのレッスンを2時に早めていただき、レッスン後にギタルラに立ち寄ってからGGサロンに向かった。
5時ちょっと過ぎに現代ギター社に到着、GGショップで楽譜を物色。ディアンスのサウダージ3番の楽譜を見つけ早速購入。ようやく手に入れることが出来た。5月来日するLAGQのカネンガイザーのCDが店内に流れていた。ソロを聞いたのは初めてだがさすがに上手い。

5時半会場ということだったが実際に入れたのは40分頃。入り口前には会場を待つ人で狭い階段コーナーが埋まってしまった。元々それ程聴衆が沢山入れる会場ではないのが、殆ど満席で椅子を追加するほどの盛況ぶり。聴衆も年配の女性が結構多く見られた。金さんのファンだけでなくピアニストの高橋さんのファンもかなり来ていたようだ。10分程遅れてGG菅原編集長の短い挨拶の後、開演となった。
坪川さんのリサイタルで会った時も金さんはまだ風邪を引いて薬を飲んでおられたので少し心配していたが幸い元気にステージに登場した。ピアノ伴奏を勤める高橋さんが小柄なせいもあるが金さんはスラッとして長身が目立つ。

ピアノとギターのアンサンブルを聴くのは今回が初めて。最初の音が出てくるまで音量のバランスを心配していたが全くの杞憂に終わった。このソロ楽器同士の組み合わせについては音量の差は勿論のこと、最初のアタック後すぐに音が減衰してしまうという楽器の性質からも相性が悪いのではと想像していた。ピアノに伍した演奏をするのにはギタリストにかなりな力量が必要だが、金さんの技術の確かさを再認識した次第。ピアノ伴奏を務めた高橋さんもギターの特徴を良く掴みツボを心得た素晴らしい伴奏を聞かせてくれた。留学時代に知り合って一緒に演奏を始めたとの事だが、実際にコンサートツアーも一緒にこなしているだけあって、にわかデュオでは真似の出来ない息の合った演奏ぶりだった。おかしかったのは金さんがどちらかというとテンポの速いリズミカルなノリのキャラクターなのに対し、高橋さんはいかにもお嬢さんというおっとりした女性だったこと。、二人の対照的なキャラクターが聴衆にも伝わってステージをとてもリラックスした雰囲気に変えていた。二人のワンテンポずれた会話のやりとりや高橋さんが金さんの調弦をせかす目くばせ等見ていて微笑ましい。

オープニングのポンセはセゴビアがチェンバロとの二重奏で録音されたものをピアノ伴奏に置き換えたもの。
この組み合わせでこの曲を生で聴くのは勿論初めてだが、グランドピアノの蓋を閉じて(多分)弱音べダルを踏んでの演奏のせいか最初伴奏部がやや遅れ気味に聞こえた。ギタリストはピアノの音は良く聞こえるがピアニストの耳にどこまでギターの音が届いていいるのかが気になる所。ただ心配された両者の音量のバランスはギターが良く聞こえまずまずだった。
金さんは1曲ごとに曲の紹介をしながらの演奏。続くハウクの作品では、曲後半辺りから金さんのテクニックも冴え二人の演奏も乗ってきた。それにしても音量を落として弾いているとはいえピアノの立体感のある大音量に対抗して非力なギターを弾くのはかなりなエネルギーが要ると思うが金さんはしっかりとしたタッチでしかもとても綺麗な音色で良く楽器を鳴らしていた。
今度は同じ幻想曲でもテデスコの作品。2楽章形式のこの曲も初めて聴いたがギターのラスゲアードとそれにこたえるピアノが印象的だった。それにしても曲間で調弦する金さんに「調弦早くしてください」と急かす高橋嬢の一言には笑えた。おっとりした雰囲気の彼女のキャラクターはコンサートをとても暖かい雰囲気に変えていたと思う。
前半最後はブローウェル。最近ではアサド兄弟のデュオで聴いたが、ピアノとのデュオではギターコンチェルトのような趣で適度に早めなテンポが心地よい。伴奏の高橋さんのピアノも徐々に(というよりこらえきれずに?)音量が増してきたが、金さんもそれに良く応えていた。ピアノとギターという異質な組み合わせも自然な響きとして聴こえてきて全く気にならない。退場する二人を送る拍手が長く続く。

ここで15分間の休憩。師匠と廊下で立ち話。言われて気がついたがピアノのピッチは普通はAが442だが今日のコンサートで使われているピアノは440に下げて調律されているのだろうか?絶対音感がない私にははっきりとその差はわからなかったが確かに弱音ペダルを使用しているとはいえピアノの音色がやや精彩を欠いた印象。この狭いホールでピアノの音量を抑えて弾く以上、そうした印象になるのは止むを得ないだろうけど。

後半ステージ最初の曲は若手作曲家西澤氏への委嘱作品(初演)。
曲の出だしはギターの開放弦を多用した和音がゆっくりと繰り返されそれにピアノの単音がハーモニーを作っていく。
ギターの音色とピアノがよく響き合う音を効果的に使用したなかなかニクイ作品。全体に二つの楽器の響きをよく生かして作曲されており西澤氏のセンスの良さが感じられた。西澤さん作曲のマリンバとピアノの作品を高橋さんが知っていてギターとピアノの作品を委嘱された経緯があるとの説明が高橋さんからあった。楽譜が出版されたら是非弾いてみたい。
いよいよ最後はアランフェス協奏曲全楽章。これまでの演奏で十分聞きにきた甲斐があったが、アランフェス目当てで来た人も多いだろう。
T楽章はやや二人のテンポのズレが感じられる箇所があったがまずまずの演奏。早いパッセージでも金さんの指はよく廻り技巧的な不安は殆ど感じなかった。
U楽章では金さんの美しい音がよく響いていた。カデンツアに入る前の最初のスケールで音を外した辺りからやや演奏者の不安が演奏にも現れてしまった。後で分かったことだが金さんは右手の爪を直前のツアーで欠いてしまい爪に修理材を塗ってのステージだった。アランフェスの演奏中に爪にまたトラブルが起きたらしい。アランフェス終了後、爪を修復する為、急遽高橋さんにピアノソロを依頼するというハプニングがありその時になって初めて知らされた。
V楽章は、金さんのそうした爪のアクシデントを知らなかったせいかどうしたのかなと思いながら聴いていたが、要所ではきっちりまとめフィニッシュもしっかり決めていた。さすが金さん。

という訳でアンコール1曲目は急遽高橋さんのピアノソロによるアルベニスのグラナダ。今までギターの為にずっと抑えて弾いていた彼女はここぞとばかりにピアノの蓋を開け(蓋開けちゃおっていう一言に観客が沸く)ピアノを鳴らしていた。
原曲を聞くことが出来とても楽しめた。聞けば金さんとのデュオコンサートでは今回のように全てのプログラムがデュオの作品ばかりというのは珍しくお互いソロでも何曲かやってアランフェス等も入れるという構成だったようだ。
金さんも高橋さんに普段彼女がヒナステラ等の作品をピアノソロで弾いているのでもっとやっていいよと炊きつけていた。
グラナダを弾き終え、舞台袖から金さんが再び登場。二橋潤一さんの哀歌が演奏された。とても心にしみるメロディーでピアノとギターの響きが美しい。こうした曲ももっと聴かせて欲しかったな。金さん贅沢言って済みません。

会場にはギタリスト中村創君や村治昇さん(佳織さんのお父さん)、坪川真理子さんに近藤謙太君、東京ギターカルテットの佐藤弘和さん、師匠の鎌田先生に製作家の今井先生らの姿が見られた。
めったに聴けない楽器の組み合わせと選曲で今日はとても楽しめるコンサートだった。久しぶりに終了後の打ち上げにも参加したかったが最後に会場で二人をデジカメで撮影させていただき今夜は失礼した。


演奏者プロフィール
(パンフレットより一部抜粋)

金 庸太(ギター)


13歳よりギターを始める。大谷環、福田進一氏に師事。93年名古屋ギターコンクール第一位。94年スペインギターコンクール第一位。95年渡仏。パリエコールノルマル音楽院にてA.ポンセ氏に師事。97年同音学院を審査員全員一致の第一位受賞で卒業。98年同音学院の演奏家ディプロマを審査員全員一致の主席で取得後、ベルギー王立アントワープ音楽院スペシャライズコースにてRブロックス氏に師事。A.ピエッリ、N.ボネ、G.ヴェルバ各氏にも師事しフランス、ベルギー、オランダ等で演奏活動を行う。
98年東京国際ギターコンクール第2位。2000年スペインのコスタ・プラヴァ第20回国際音楽フェスティバルに参加し2回のリサイタルを行い好評を博す。同年秋帰国、演奏及び教授活動を行う。



高橋康子(ピアノ)

1969年福岡市生まれ。3歳よりピアノを始め、エリザベト音楽大学、同音楽院主席卒業(凄い!)。
94年飯塚市音楽コンクール入選。同年ベルギー王立アントワープ音楽院に留学。
97年ベルギー王立ゲント音楽院室内楽コースでマスターディプロマ取得し、同音楽院で公式伴奏者として勤務。
ベルギーラジオオーケストラの公式伴奏者も務める。
99年ベルギーの若手クラリネット奏者フラッド=ヴェーヴェルブルヒとCDをリリース。
同年ベルギーのトップオーボエ奏者ヨーリス=ファンデルヒ、若手マリンビスト石原信輔氏とアンサンブルグループ
「Le feu du ciel」を結成。現在ヨーロッパ各地でソリスト、アンサンブルプレイヤーとして活躍中。プロ・アンサンブル
グループ「スカルディアーナ」メンバー。





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