練習招き猫
メンタル面から見たゴルフの効用〜人前で落ち着いて演奏する為に
ううっ・・ちょっと長過ぎたか
私がゴルフを始めたは15年ぐらい前。当時の上司から君は酒も飲めないしマージャンもやらないんだからゴルフぐらいやった方がいいよと言われ、会社帰りに秋葉原近くの確かつるやという専門店でフルセットを購入したのがキッカケ。最初は嫌々だったがやってみるとそれなりに面白く、気分転換には良いスポーツ。ただプレー費用が高いのとゴルフ場が遠いのが難点でここ数年プレー回数は激減している。 ギタリストではイエランセルシェルが、ギタリストになろうかプロゴルファーになろうか迷ったという話を聞いたことがあるが、ギタリストのゴルフコンペなんて話は聞いたことが無いので余りやっておられる方は多くないのかもしれない。 まあそれはさておきなんだか判りにくいタイトルになってしまったが、ゴルフをやってギター演奏に役に立ったと思えるのが実はステージで上がりにくくする方法を学べたことである。 自分は学生時代、人前で演奏するのは正直言って苦手でかなりストレスが溜まった。自分の出番の前の緊張感やステージ上で、上がって手が思うように動かなくなって冷や汗をかいた経験等、うまく弾けたことの方が圧倒的に少なかった。 練習の成果を本番で発揮するというのはギターに限らず、難しいとは思うが、ゴルフを始めるようになって、自分を客観的に見る訓練が出来たことは確かだと自分では思っている。 以下に具体的な例を挙げ説明したい。 |
あがるということ 初めて会社のゴルフコンペに参加した時のことは、おそらく一生忘れられないだろう。 その訳は生涯最悪の日として脳裏にしっかりと刻まれているから。 場所は千葉県大原御宿CC。西武系のゴルフ場できれいなパブリックコース。遠いのが難点だが。 実はコンペ前に八千代CCで筆おろしを済ませ、まあスコアは別としてそれなりに回れるだろうと甘く考えていた。 初参加という事で他のコンペ参加者からスモークボールを打ってみろと言われ打った所、自分としてはナイスショット。しめしめこれならいけると内心ほくそえんで打った出だしの1番ホールのティーショットがスライスし右手の土手の中腹で止まった。結構キツイ傾斜面だったが、確か距離のあるミドルホールだったので5番アイアンを握り、力んでフルスイングした所、ボールのすぐ下をクラブヘッドが通過し空振り。背後で後ろの組のメンバーが大声で笑っているのが聞こえた。 カット頭に血が上りまたフルスイングした所、今度は少しかすったもののボールはころころと下に数10センチ転がっただけ。 見かねたキャディさんが「お客さん、クラブ短いのに換えたら」とか言って7番アイアンを渡され、今度もフルスイング。 またまた空振り・・・。こんな調子で1番ホールだけで16打。同伴者の部長にギブアップした方が良かったねとか言われ次のホールから同伴者やら前後のパーティのメンバー達から、アアダコウダと言われ放題、親切だが本番では全く迷惑なアドバイス、忠告、指導に加え下手くそ、止めちまえ等罵詈雑言の数々を頂き、正直言ってスコアを正しくカウントできた自信はなかったがハーフで100以上叩くという最悪のデビューを飾った。 以来ゴルフコンペに参加するとその時の悪いイメージがなかなか抜けず毎回下位をウロウロしていたが、コンペとは別の機会に割合良いスコアが出てからは、コンペでもようやく優勝することが出来た。 まあ前置きがえらく長くなったが、ゴルフとはメンタルな要素が大きくプレーに影響を与えるスポーツだということを言いたかった訳で、ギターという楽器もメンタルな部分が演奏に大きな影響を与えるという点で大変似通っていると思うのだ。 脱力の重要性 舞台に上がると普段ステージ経験を積んでいない(慣れていない)人が(アマチュアなら殆どだと思うが、)緊張し〜心拍数が上がる→自分が考えているよりテンポが速くなる→普段より早いから指が追いつかなくなり自然とミスを誘発→ますます心にゆとりが無くなる〜という悪循環にはまり易い。 ゴルフのスイングも一緒でゆっくり力まずに振った方がボールはよく飛ぶし曲がりにくい。ちょっとした力みや気負いが指先のグリップを固くしクラブのフェース面を本来飛ばしたい方向とは違う方向に向かせてしまいミスを起こし易くしてしまうのだ。 3年前だったか大学のOB発表会でバッハのプレリュード・フーガ・アレグロを演奏したが、自分では全く意識していなかったが、ものすごく左手に力が入っていた為、フーガが終った時点で左手の握力がなくなってしまい、アレグロで左手が棒のように動かなくなってしまった経験が有る。一応最後まで弾ききったものの表現等には全く注意を向けることが出来ず大変不本意な演奏であった。 力を抜くというのは普段から意識して練習していないとなかなかステージでも出来るものではない。 ゴルフの場合、朝一番のショット(身体もほぐれていないから)では大ぶりをせず7〜8部のスイングで打つとよいようなことが本にも書かれている。ギターでもこうした意識や選曲に対する配慮があってしかるべきだろう。 いきなり難曲を弾いてがたがたになって最後まで立ち直れないなんて事は出来れば避けたいものだ。 気分転換の重要性 ゴルフの効用で、もう一つ重要な点は気分転換が必要なことである。 ゴルフは1ラウンド18ホールで、各ホール毎にプレーは完結する。ギターで言えば組曲や何楽章にも分かれている曲、また短い曲でもスコアを良く読むと大抵の場合、A−B−A形式とかいう具合に幾つかの部分に分けられる。 例えばゴルフでは、最初大たたきしても次のホールでパーやバーディで回ることは十分可能だ。 ギター演奏でも第一楽章でミスがあっても次の楽章から気持ちを切り替えて良い演奏が出来れば、全体としては大きな傷にはならないものだ。 ホールとホールを移動する間に気分転換を図る為、わざと速く歩いたりキャディーと話をしたり、タバコを吸ったりと、ギター演奏中にはそんなことは出来ないが、一つ参考になるのは、胸を張って歩くことである。これはゴルフの場合スイングにも影響する重要な点で背中が丸くなるとボールとの距離やスイング面の角度等が変わってしまう為、ミスショットが出やすくなる。 ギターをステージで演奏する時でも、自分に自信を持つことは重要だ。その為には自信の持てる練習を普段から行う必要があるだろう。演奏姿勢に大きな影響を与えるという意味で気をつけなければいけないのは、椅子の高さと足台の高さである。案外無神経に演奏を開始してしまうが本当に今座った椅子の高さが自分にとって好ましいものなのかどうか、足台も同様だが確認した上で演奏を始めるべきである。 ゴルフの練習場では自分は一番下手だと思って練習しなさい。その代わりコースに出たら自分が一番上手いと思ってプレーしなさいというアドバイスを先輩から言われたことがある。ギター等楽器練習、演奏でもそうした意識は必要なのではないだろうか。 まだまだ続く・・・ゴルフもギターも奥が深い。 |