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Pavel Steidl Guitar Recital



お絵描きBBSより〜さきえちゃん作

 
2002.10. 19(土曜日)19:00 開演  

トッパンホール



プログラム
       

吟遊詩人の歌Op.13より

メルツ作曲

ソナタとギリビッツィより

パガニーニ作曲

幻想曲Op.19

レニャーニ作曲

休憩



シャコンヌ
 
J.S.バッハ作曲

前奏曲集より第1,2,3番

オブロフスカ作曲
そして君もイタカに行く
「オブロフスカ賛歌」

シュタイドル作曲

3つのユモレスク
(ラック&ロール、ユージェニー、エリーゼの為のランバダ)

シュタイドル作曲

アンコール

鐘の音

最後のトレモロ〜バリオス
愛の歌〜メルツ




パヴェル・シュタイドル、ギタ菌さんからコンサートに誘われるまで彼のことは全く知らなかった。経歴を見ればパリコンの覇者であり実力者であることはわかるのだがいかんせん知名度という点では極めて低い。演奏に触れてみて彼のずば抜けた音楽性、テクニックに圧倒された。何よりも聴衆を楽しませる術を心得た実にファンタスティックなギタリストだった。
前半は19世紀ギター〜ニコラウス・ゲオルグ・リース(1830年作)で演奏され、後半はモダン〜製作者分からず〜に持ち替えて演奏された。
この日のコンサートで演奏以外でもう一つ印象的だったのはプログラムである。演奏者自身の手によるプログラム原稿というのを案外見たことがないのだが、この日のプログラムは正に彼自身の言葉で綴られているようで読んでいてとても楽しめた。彼の知性というか音楽や芸術に対する豊かな天分がここでも示されていてとても好感が持てる。
いよいよステージに登場。最初のメルツでもうすっかり彼の虜になってしまった。感情を素直にそして豊かに表情にあらわしながら演奏していくシュタイドル。彼を見ていて自分も演奏中は自分の顔のことは忘れようと思った程だ。それにしても彼の頭を見ていると僕より4歳も若いとはとても思えない。(^_^;)

絶妙なフレージングとアゴーギク、豊かな音楽の起伏・・等、賞賛に値する美点は数多くあるのだが彼の演奏に相応しい言葉がなかなか見つからない。僕の陳腐な語彙で感想を書くのが憚れる。彼の演奏を前にしたら何も言葉はいらない。パガニーニの曲がこんなに楽しい音楽だったのかと初めて感じた。
テクニックでは特に左手のスラーと人差し指でグリッサンドしながら正確に半音階を刻むスケールに感心させられた。半音階で見せる滑らかな左手の動きと美しいスラーの音は見事としか言いようが無い。またさりげなく左手をグリッサンドしながら右手が実に正確に半音程のスケールを刻んでいく見事な技術にはほれぼれさせられた。
後半、最初のシャコンヌで19世紀ギターからモダンに持ち替えたせいなのか演奏にも幾分気負いがみられ32分音符の早いパッセージの途中で僅かに流れが止まってしまった。但しその後の演奏では、アルペジオの和音部等に随所に彼の工夫が生かされていてとても楽しめるシャコンヌを聞かせてくれた。ただ彼自身としてはかなり不満だったのだろう。曲毎の演奏終了時に見せるチャーミングな(ギターを椅子に立たせてお辞儀したりする)ポーズがここでは見られず彼の表情にも落胆が見て取れた。しかしその後すぐに立ち直りアンコール終了まで息も付かせぬ名演奏のオンパレード。これこそ言葉で描けない世界。生のステージの醍醐味というのは彼のような演奏家にこそ相応しい。
この日、アウラでhisayoちゃんと二重奏の練習をしてから一緒にトッパンホールに来たのだが、彼女もすっかりシュタイドルのファンになってしまったようだ。一方僕は彼の自作曲で使われたホーミー(倍音を使ったボーカルテクニック)にすっかりはまってしまい、今や暇さえあれば自分でもホーミーの高音が出せないか口ずさむ日々を送っている。簡単そうに見えてなかなか難しい・・音が出るのはいつのことやら・・(~_~;)