2002 / DECEMBER


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<CD> TANGO YABA WENDO / FRANCO

今年の個人年間ベストを考えていて、RCには取り上げておきながら、こちらのサイトの方には未掲載だったアルバムがあることに気が付いた。間もなく日本に入って来そうだという情報もあることなので、遅ればせながらここでジャケットだけでも改めて載せておこう。
今年春に、フランコの新しいCDが10種近く出ているのを見つけたのだが、何故か1枚だけが未復刻音源満載で驚いてしまったというCDがこれ。RC11月号にも書いた通り、中でもザクザクしたギターの感触が溜まらない1曲目が秀でている。(12/28)


<LP/CD> GHANA SOUNDZ: 
             AFRO-BEAT, FUNK AND FUSION IN 70'S GHANA

イギリスのコレクター/音楽評論家にして、フェラ・クティの音源リサーチャーとしても知られる Miles Cleret が、過去2年間に4度ガーナを訪れて行った音源発掘の成果に基づく、70年代のガーナのアフロ・ビート/ファンク集。当時のガーナといえばハイライフを連想するが、その一方で隣国ナイジェリアと同様に、ファンキーなサウンドも流行していたことを示す楽曲集となっている。しかも、いずれのトラックも単なる激レア音源であるばかりでなく、かなりの名演揃いとなっている。冒頭(1)の、まるでトニー・アレンのドラミングにフェラ風のヴォーカルとエレピが絡むアフロビートは最高の出来だし、(2)のウフル・ダンス・バンドの大迫力のホーンズは、アフロビート+ハイライフといったサウンドが素晴らしい。(3)や(5)の濃密かつファンキーなサウンドも文句ナシで、(8)のマヌ・ディバンゴの 'SOUL MAKOSSA' のコピーもなかなかの仕上がりだ。
なお、LPは12曲、CDは14曲収録で、来年には米盤と日本盤も計画されている他、続編のリリースも予定されている。(11/24, 25)

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<CD> NEPA (NEVER EXPECT POWER ALWAYS)
        / TONY ALLEN WITH AFROBEAT 2000

今年『HOME COOKING』という傑作アルバムを発表した、元フェラ・クティ・バンドの屋台骨ドラマー、トニー・アレンの85年作(録音は84年、ロンドン)。ダブの要素やジュジュの感覚を導入したりしていて、クールな雰囲気は70年代よりも後年のサウンドに近く、確かに彼の転換点が感じられる一枚と言えるかも知れない。89年録音も1曲追加収録。(12/16)

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<CD> SAMORY / ABDOULAYE DIABATE & KOUTIALA ORCHESTRA

マリのアブドゥライ・ジャバテの新作。待望のコバルト盤。ジェンベを中心に各種パーカッションに牽引される強力なアコースティック・アンサンブルは、名盤『BENDE』に通じる素晴らしさ。その一方、トラック(6)のサンプリングには、いかにもコバルト的な「遊び」も感じる。(11/24)

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<CD> BOUADE / KOUTIAKAN

これもコバルトからのマリアン・ポップの新作。やはり、バラフォンやパーカッションによる硬質なアコースティック・アンサンブルが聴き所となっている。(11/24)

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<CD> KASSI KASSE - MANDE MUSIC FROM MALI
        KASSE MADY DIABATE

マリのベテラン・シンガーの新作。ストレートなマリのグリオ系作品としてはしばらく振りの快作だが、同じアコースティック主体のサウンドなら、正直なところコバルトからの現代的なもの(上記の2作)の方に惹かれる。
キューバを代表するベース奏者であるあのカチャイート・ロペスが、ほぼ全曲でゲスト参加しているのが不思議だ。(11/24)

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<CD> THE MUSIC IN MY HEAD 2

イギリス在住の小説家/音楽ライターのマーク・ハドゾンによる、ウエスト・アフリカン・ポップの編集盤で、98年作に続く第2集。セネガル(エトワール・ドゥ・ダカール、ユッスー・ンドゥール、チョーン・セック、バオバブ、スーパー・ジャモノ、アミナタ・フォール)、マリ(レイル・バンド)、ギニア(ケレティギ、22バンド、ウースマン・クーヤテ、バラ・エ・セ・バラディンズ)、ギニアビサウ(スーパー・ママ・ジョンボ)という4カ国の有名どころ全12組の代表曲を集めている。既CD化曲は多いが、ケレティギの(6)は必聴の傑作曲だし、スーパー・ママ・ジョンボあたりは、意外とオリジナル盤が見つけにくいだろう。
仏語圏西アフリカのポップが最も革新的だったのは、70年代後半から80年代前半。この編集盤を通して聴くと、その最も熱かった時代のサウンドが眼前に蘇る、内容の濃い一枚である。(11/24)

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<CD> 1 GIANT LEAP / VARIOUS ARTISTS

PALMPICTURS からリリースされたサントラ・アルバムで、全体を覆う緊張感溢れるサウンドが見事。セネガルのバーバ・マール(絶好調!)と南アのマホテラ・クイーンズというアフリカ勢の参加に注目して聴いたのだが、他にもポップス・モハメッドやウガンダのグループ、南アのモセオ(素晴らしいヴォイシング!!)など多数の参加もあった。
いや、そんなことよりも、インドやアフリカのエスニックなビート、現代的なシンセサイザーのトーン、それに卓越したヴォイスの数々が理想的に融合した、グローバル・ミュージックの傑作と言いたい。時折、デイヴ・ギルモア風のギターが入ってピンク・フロイドっぽくなるところもプラスだ。
アーシャ・ボスレー、スピーチ、ネネ・チェリー、エディ・リーダー、マイケル・スタイプ、などなど、大物がずらっと居並びつつも、トータル・サウンドをまとめたプロデュースには敬服。
それにしても、マホテラ・クイーンズを使った「Ma'Africa」や、ウガンダのプリミティヴ的なサウンドを取り込んだ「Passion」には、かなり驚かされた。DVD版も観たくなった。(11/24)

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<CD> TONGOGARA / ANDY BROWN AND THE STORM

エル・スールに独占入荷して以降、随所で話題になっているジンバブウェのグループの最新作。この国特有の弾けるビート、ンビーラから移植されたメロディーとリズム、それにチウォニーソ・マライレの参加もあって、かなり爽やかな印象の作品となっている。
未完成(未熟)な部分もあるが(特にシンセの音がダメ)、うまくメジャーと契約できれば相当受けるだろうサウンドだと思うし、今ひとつ煮え切らない最近のT・マプフーモに比べても上出来かとも感じさせられる一作。
エル・スールにはこれを含めて近作3種が入荷中。(2003/01/13)

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<< comment>>

12月に入ったら完成させようとページを作り始めたら、すぐに仕上がってしまった。なので、わざわざ12月になるのを待つのもおかしいし、これらを11月のページに移すのも面倒なので、少し先走り気味だけど、12月の新譜のページを本日アップデイトしてしまった。多分12月には日本に届く新譜が少ないような気がするので、バランス的にはこの方が望ましいだろう、、、というのは勝手な自己弁護。(11/25)


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