詰中将棋第12図解説


第12図 「魔法の鏡」

7十一金 9十一玉 8十二猪 同玉 7十二金 同玉 10十二飛 8十一玉 8十二馬 7十玉  7八鹿 「6十一玉 7十一馬 5十一玉 6十二馬 4十一玉 5十二馬 3十一玉 4十二馬 2十一玉 3十二馬  3十玉 3九と 2十玉 2九と右 1十一玉 2十二馬 1十玉 1九と左 2十玉 2九と左  3十玉 3十二飛 4十一玉 3十一馬 5十一玉 4十二馬 6十一玉 5十二馬 6十玉」=A手順 
6八鹿  「7十一玉 6十一馬 8十一玉 7十二馬 9十一玉 8十二馬 10十一玉 9十二馬 11十一玉 10十二馬  10十玉 10九と 11十玉 11九と左 12十一玉 11十二馬 12十玉 12九と右 11十玉 11九と左  10十玉 10十二飛 9十一玉 10十一馬 8十一玉 9十二馬 7十一玉 8十二馬 7十玉」=B手順
7八鹿  「A手順」 6七鹿 「B手順」 7六鹿 「A手順」 6五鹿 「B手順」 7五鹿 「A手順」 6三金飛車  6四豹 同金飛車 同飛 同鹿 「B手順」 7四鹿  「6十一玉 7十一馬 5十一玉 6十二馬 6十玉」=C手順 
6三鹿 「B手順」 7二鹿 7八馬 同鹿  「A手順」 6七鹿 「B手順」 7六鹿 「A手順」 6五鹿  「B手順」 7四鹿 「A手順」 6三鹿 「B手順」 7二鹿 「A手順」 6二白 同奔 同鹿 「B手順」  7三鹿 「A手順」 6四鹿 「B手順」 7五鯨 同奔 同鹿 「A手順」 6四鹿  「B手順」 7三鹿 「A手順」  6二鹿 「B手順」 7一白 同飛 同鹿 「A手順」 6二鹿 「B手順」 7三鹿  「A手順」 6四鹿 「B手順」  7五鹿 「A手順」 6五鹿 「B手順」 7六鹿 「A手順」 6七鹿 「B手順」 7八鹿 「A手順」  6八鯨  同白 同鹿 7十一玉 6十一馬 8十一玉 7十二馬 9十一玉 8十二馬 10十一玉 9十二馬 11十一玉  10十二馬 10十玉 10九と 11十玉 11九と左 12十一玉 11十二馬 12十玉 12九と引 迄 1009手

解説
 遂に出来た。千手超え詰中将棋。作意未確認の伊藤宗看の中将棋作物の第五十番を除けば、今のところは最長手数記録となり そうだ。
 全体的には、それ程難しくない手順である。が、玉方7八馬捨てのタイミング、一度だけ右辺へ逃げずに中央で 折り返す破調があり必ずしも単調ではない。即ち、玉方1四飛が消えることで、1筋の飛の効き筋が消えてA手順が早く詰む。 (1九と左のところ1九と引迄となる)1二馬を捨てて1一白の効き筋を通すことで前途A手順を再び成立させるようにする のだが、そのとき攻め方2三金飛車も同時に消えるので、玉方はC手順で粘る。(7十一鹿〜7八豹が成立しなくなる) 結局7二鹿となったところで7八馬と捨てるのが最善で、後は、攻め方8四白駒、9三鯨、10四白駒、を順次捌き、11三鯨を 捌いて玉方の12二白駒を消せば、左辺に追って詰みになるという訳です。
 普通詰将棋で合駒を使用しない最長手数作品は、添川公司氏の「桃花源」767手。この手方を詰中将棋に応用すれば相当の 長手数になると思ったのが作図のきっかけだった。 しかし、どうしても馬鋸部分がうまくいかず、仮にうまくいったとしても添川氏の物マネになってしまうので気がひけた。(*1) そこで、「桃花源」の折り返し部分だけを取り出して、右辺でも同じ折り返しを行い、中央で鹿鋸を行うこと を思いついた。そのため、左右対称的な手順が繰り返されながら鹿がゆっくりと中央の6筋7筋を上下に動いていくという、 あたかも現実と鏡の世界を行き来するような妖しげな雰囲気が醸し出されたようだ。 ユーミンの曲より「魔法の鏡」と命名した。

(*1)念の為、うまくいかないことを証明した訳では決してありませんので。誰かやってみては如何。また、本局のような 機構以外でも長手数作品は充分可能です。特に詰中将棋で鋸系統は、私の第7図や第10図を見てもおわかりいただけるかと 思いますが、多往復化が容易です。うまい趣向と組み合わせれば、3千手以上のものも出来る可能性があります。