胡椒飯

 まずは「料理珍味集」を紐解いて見ましょう。出版は宝暦14年です。作者は博望子。手持ちのものは5巻1冊の合本でサイズは小本です。各巻46種全230種の料理が載っています。

    

 胡椒飯は1巻目の2つ目にあります。まず原文を読んで見ましょう。(変体かなは現代かなに、難読漢字は普通字に直してあります)

 胡椒飯
米一升に胡椒粉小匙に二はい醤油末の
かさに一はい一所に交仕入飯にたく。しるは
鰹出し醤油からくなきやうに加減して
青きざみ昆布みじかく切入こうとうは大根
おろし陳皮唐がらし山葵。

 はい、訳分かりませんね。では現代風に直してみましょう。

米一升に胡椒の粉小匙2杯。(小匙の大きさは不明。少なくても現代とは違うはず)
醤油は末のかさに1杯。(末のかさは不明)
全部一所に混ぜて普通にご飯を炊きます。
掛け汁(ご飯に掛ける出し汁)は鰹出しで醤油は辛すぎないように加減してください。
薬味は短く刻んだ青昆布(意味不明)。こうとう(吸い口)には、大根おろしや陳皮(みかんの皮を干したもの)
や唐辛子、山葵など。

 こんな感じです。でも小匙や末のかさなどがわかりませんね。でも良いんです、その程度で負けちゃいけません。料理というものはアレンジが重要です。本に書いてあるのをそのまま作っても面白くともなんともないですね。特に味付けなんか自分の好みで好きにすればいいんです。
では、実際に作ってみましょう。

1)まず、お米は2カップを基準にします。
2)お米を研いで、炊飯器にあった水を加えしばらくおきます。
3)粗引き胡椒(できるだけ粗引きがよい)小匙(現代の5ccサイズ)1杯。
  胡椒の量は好みにより調整してください。ですがあまり量を加えると辛くなりすぎますので1杯くらいが限度だと思います。
  和風の鰹ダシの素小匙1杯。醤油小匙2杯を加えます。
4)普通に炊きます。炊き上がったら出来上がり。
5)このままで十分美味しいです。出し汁を掛けたい方は、胡椒の量は控えめのほうが宜しい様です。

 思わず蹴りを入れたくなるくらい簡単ですね。胡椒の香りが食欲をそそる一品です。
昔の方もなかなかハイカラなものを食していたようで・・・