中華人民共和国/遼寧省/吉林省/黒龍江省

中国東三省国境の旅

Dong san sheng guojing
(2008.7.8〜20)


2008年の初夏に東三省の遺跡と中国と北朝鮮の国境を見てまわりました。



女真人の部族をまとめ遼を押しのけてこの地に金国をたてたのがワンヤン部の部長阿骨打(あこだ)である。金は淮水以北まで勢力を拡大したが、やがて蒙古により亡ぼされ女直人は満州の地に多数の部族に分かれ残留することになる。

上京会寧府博物館の前に立つ金太祖完顔阿骨打の像

金が蒙古と南宋により南北から挟撃され1234年9代120年で亡んだ。その後、女直は多くの部族に分かれ満州に残留し元・明に服属していたが、明の衰退にあわせるかのように1616年ヌルハチが部族を統一し汗の位についた。女直は後金として約400年をへて勢力を復活させた。


上京会寧府遺跡

金の都城遺跡はハルビン市阿城区にある。遺跡は市の郊外に開けた田園地帯にあり、にんにくの栽培が盛んであるようだ。都城は一周11千メートルに城壁に囲まれ、南側は皇城、北側は居民区と南北に二分されていた。

博物館内の模型

城壁の跡

土手の上を拡大するとでのんびり草を食む羊がみえました

太祖の陵墓
1123年に建設開始された金太祖完顔阿骨打の陵墓の遺跡である。主要な建物は玉帯橋、門殿、新道、陵台(宝頂)、寧神殿及び地下宮殿が確認されている。

金太祖完顔阿骨打陵墓址

1068年生まれた太祖完顔阿骨打は遼との戦いのさなか1123年病没し埋葬された

地下陵墓内


皇城のなかはこんなようであったか?


ハルビン周辺

哈綏高速
牡丹江かから哈綏高速でハルビンへ向かう。路面の傷みがひどくバスは路面に出来た穴を避けながら進んだ。車内の揺れもひどい。座席の上でバウンドしながら、おもわず「はずむ高速道路」だと叫んでしまった。

バスの中ではずみながらスケッチしました。道路の傷み具合やトラックの積載の状況が表現したつもり

パーキングには荷物を満載したトラックが多数停車中

パーキングで停車中のトラックはどれも巨大な積荷を積んでいた。道路が傷みが激しいのも納得

阿城というところ
上京会寧府遺跡のある付近はにんにくの産地である。にんにくを収穫したばかりであった。畑にこぼれたにんにくを拾う人影が印象に残った。ミレーの落穂拾いを思い起こさせてくれた。

ニンニク畑と民家


ハルビン

ハルビン駅

駅のにぎわいも7年前見たような雑踏のせわしさはない

駅前広場のお店

こんなところにも出店がでている

雨のスターリン公園

中央大街からスターリン公園に行くとき渡った交差点も地下道が出来ていた

聖ソフィア教会の内部

中央大街は相変わらずにぎわっていた。聖ソフィア教会の周りはずいぶん変った。


今回の「国境の旅」でまわった東北三省は高句麗、渤海、遼、金と清などが勃興をくりかえし民族のエネルギーがたぎる溶鉱炉のようであった。国境はそれらの力のおよぶところである。力が対峙することで境が生まれ破れることで争いが起こり境が動く。彼らに力があったからこそ高度な文明や文化をも支配する強国になり得たのである。国境とは力のぶっつつかりあいである。

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