2009 冬
遠藤治

山茶花ははじめから草臥れてをり
リンク掃くひともスケート靴を履き
智にはたき情に箒を使ひけり
マネキンに面と胴ある師走かな
歳晩の手足の長き花やしき
おほいなる年の瀬といふふくろもの
虹彩の窯変したる冬の月
一月の名もなき風の強さかな
温室のドアを開ければ熱帯魚
温室の樹々の国旗をみな知らず
赤猫の尻尾にも似て室の花
葉牡丹は泡のごとくに崩れけり
やや暗きバス系統図日脚伸ぶ

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