通潤橋


通潤橋は、熊本県の山都町(旧矢部町)にあります。
嘉永7年(1854)の竣工だそうです。
水不足の村を救うためにかけられました。

橋の真ん中から放水するのは、通水管の中にたまった砂利やごみを排出するためだそうです。

通水の時のようすを、資料から、原文のまま引用します。

轟川べりに組み立てられた足場がとりのぞかれ、いよいよ通水することになりました。
保之助は礼服を着て、短刀を懐にして橋の中央に坐りました。
万一この工事が失敗であったらその場をさらずに腹かき切って死ぬ覚悟でした。
工事を見届けに来た藩の役人達も、集まった他村からの見物人も、保之助のようすを見て、
はっと襟を正しました。
役人の合図で、取水口の水門が開かれ、水はどんどん流れ込んできました。
「わあー」という喜びの声が、村人の中から上がりました。
吹上口からほとばしる水は、白糸台地へ向かって流れだしました。
保之助は、今こそ長い間苦心を重ねた難工事が出来上がったと、涙を流して喜びました。
そして、水門をほとばしり出る水を手でくんで、おしいただいて飲みました。


保之助(やすのすけ)というのは、村の惣庄屋(そうじょうや)で、この橋の建設者です。

資料には、建設時の苦労のようすも書かれているのですが、あんまり引用するわけにもいかないので、
興味がある人は、ぜひ実物の橋を見て、資料をもらってください。
資料は、町役場でもらったと記憶しています。

放水は土日、祝日を中心に、年間の予定が立てられてるので、山都町のホームページ等で
確認してください。
以前は予約して臨時に放水してもらうことができ、有料で、1996年の訪問当時は5000円でしたが、
文化財保護の観点から、予約放水は行われなくなっています。


参考資料:
通潤橋周辺の史跡 (矢部町教育委員会 発行)



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