ARP Chroma type Dual VCO


* Chroma VCO block構成図

ARP Chromaの VCOは従来の ARP VCOと異なり、4151 VFC(汎用 voltage to frequency converter)を VCOの Main chipとして使用しています。また antilog ampも従来のARP synthでよくあるNPN-PNP matched TRを用いる方法でなく一般的な Dual TR+OPAMP+tempco 抵抗による 常温の温度補償 antilog ampとなっています。

Chromaの Voice構成は 1っの Voice Cardに 2VCO/2VCF/2VCAで構成されている為 VCOもDual VCO構成となっており、VCO 1/2のpulse波を sourceとする CMOS GateによるARP定番の Digital RingModulatorを装備しています。

また VCO1を master、VCO2をslaveとする syncを備えています。Chroma VCOの他の synthにない特徴としては SAW波の波形は VCOの SAW波と1/2 levelのPulse波が MIXされて出力される点で Pulse Widthの変化によってnormal SAW波から 周波数が2倍の SAW波、Syncがかかったような SAW波まで変化します。

Chromaの VCOは基本的に Computer controlledを前提に設計されており、CV電圧、PWM電圧共に 0から5Vで動作します。また波形の select等は analog multiplexerによって selectされます。




*4151の構成

4151は comparater、one-shot multi、定電流源+SWで構成されています。通常の V-F converterの使用法では出力(3pin)の Pulse出力を利用しますが、ここではVCOとして使用するため下図のように、充放電capacitorの片方の端子を出力に用います。


* Chroma VCO構成図

* 動作 *

外部定電流源(antilog)からの電流は 積分器により積分され、コンデンサの両端子間電圧が上昇します。これが 4151の Vin端子につながっているので、このVinが VTHより高くなるとcompareterが ONし、one-shotを起動します。 one-shotは、4151の内部定電流源とIout間の SWを ONし、コンデンサを 逆方向に充電します。

one-shot ON期間中も 積分動作は内部定電流源と外部定電流源の両方で行われていますので reset型のようなデッドタイムはありません。この為 積分器の出力は完全な SAW波でなくRAMP波ですが、4151の Out(3番PIN open collectorと抵抗を介して接続することで one-shot ON時は出力電圧0となり SAW波に近づかせます。



* 製作した Chroma type Dual VCO 基板


Chroma VCOでは +12/-12/+5Vの電源を必要とします。  製作費は基板と電子部品で \1800 くらいかかりました。   panelはまだ作っていません。

 *主要parts代*
 ・4151 *2 .... \600
 ・4558 *2 .... \100
 ・082 *1 .... \050
 ・393 *1 .... \050
 ・CA3046 *1 ...\100
 ・4011 *1 .... \050
 ・4052 *2 .... \100
 ・C/R ....... \200
 ・半固定VR *2 \300
 ・基板 *1 .... \250

originalでは antilog ampに CA3086 TR arrayを用いていますが、手持ちが無いため CA3046 TR arrayで代用しました。 また antilog ampの温度補償の tempco抵抗は 1.87K という ARPの定番値のものが用いられていますが、この値のtempco抵抗をもっていない 為 2Kの tempco抵抗で代用しました。

originalは VCO wave selectで pink/white noiseも selectできるようになっていますが、 この DIYでは noiseは省略しました。  originalでは調整用の potは I-inの調整用のみとなっていますが、この DIY modelでは computer controlledにする予定はないので antilogの spanを決める potとoffset指定の potを追加します。

Chromaの antilog ampは電流が VFCから antilogに向かう電流吸い込み typeなので CV電圧が低い方が VCOの発振周波数は高くなり逆に CV電圧が高いと発振周波数が低くなる typeとなっています。Chromaは computer controlledなのでsoftで印加電圧を逆転すればすみますが、そうでない場合はantilogの前に反転ampを付け、CV電圧を反転させかつ、CV電圧5V時 antilogに印加する電圧が0Vになるよう OFFset電圧を与える必要があります。


* 上.. SAW波出力(4151 3番PIN+7番PIN(open collector))
* 下 ..4151 7番PIN出力(RAMP波)

 
* PWによる pulse波と SAW波の変化 1
1/2 levelの pulse波と1/1 levelの SAW波が mixされた波形。

 
* PWによる pulse波と SAW波の変化 2
* PWMするとSAW波が2VCO SAWのようにDetuneされる


  
* Sync時のSAW波の変化
* Syncも独特の波形が出現

  
* 発振周波数 UP時の RAMP波の変化とSAW波の変化

発振周波数(周期)が one-shot区間と同じになると源波形は三角波になってしまいます。 また発振周波数(周期)がone-shot区間より短くなるとこんどはRAMP波の傾きが逆転します。 それに伴って最終的な SAW波波形も変化します。

 
* 発振周波数 UP時の Sync波形の変化

* 参考文献
* Rhodes Chroma service manual
* 4151 data sheet

<1999/10/11>