とダイナミックプロROOM
「とダイナミックプロ」的作品

無頼・ザ・キッド
(その1)

「マンガくん」
1977.1/10創刊号(小学館)
小学館の少年誌卒業・青年誌未満向け雑誌。この後改名を重ね「少年ビッグコミック」 〜「ヤングサンデー」に至る。他には藤子不二雄・赤塚不二夫・ジョージ秋山・吉森みきお ・柳沢きみお・石森章太郎・本宮ひろ志・水島新司(いずれも当時の表記)。

表紙は「永井豪」表記であるが、トビラには「永井豪・ダイナミックプロ作品」 (単行本もコレに準じている)。初回は12ページ目・単行本ではイラストが 挿入されている所にさいとう・たかをプロダクションと似た形のスタッフクレジット があった。以後も、最終ページなどに連載終了まで続く(後に同誌で連載された 『へんき〜んタマイダー』にはない)。

コレが初回のクレジット。

「原案・構成」永井豪・石川賢、「脚本」高円寺博、 「作画」永井豪・石川賢・五十子涼(おそらく五十子勝)の他、背景担当者 の各氏に至るまで並んでいる。名前は捩られているが、田中正仁・のなかみのる ・新宅よしみつと思しき人たちも。

他の回でも、石川賢・よしかわ進・パンチョス石綿・安田達矢といった ピンでも活躍する面々が描いている場合もあり、プロダクショ ンシステムをフルに活用していたようだ。

確かに主人公・無頼万次郎一つとっても、各エピソードでタッチの 付け方や表情付け、ポージングなどに作画担当作家の個性が出ている。 徹底的に絵柄を統一するよりも、一定のお約束さえ守れば自由という 方針だったのだろう。

※とはいえ、初回のトビラ絵はいかにも豪ちゃんタッチだが、その他の絵柄を見分 けようにも、五十子氏などはかなり達者で、豪風・賢風も描き分ける ので特定が非常に難しい。石川氏にしても、無頼以外のキャラを見な いと(特にお得意の敵役)、判別しにくい。そういう意味では女の子 の描き方でよしかわ進は良く分かったりする(「ガンファイト・アス レチック」の回とか)。

また後に小説『真デビルマン』『凄ノ王伝説』を物する高円寺博(永井泰宇) がシナリオを担当、初回の舞台設定の説明から殺しあう街中への描写辺りは、 後につながる構成力を見せている。(高円寺氏は執拗にデータチックな 描写が好みのようで、その辺は一貫しているのがよく分かる)



マンガくんコミックス(小学館)
(初版発行/1巻・1978.1/5 2巻・3/5 3巻・5/5 4巻・8/5 5巻・9/5)
まさか、とは思うが念のため。タイトルは実在のガンマンにして 映画でも有名な『ビリー・ザ・キッド』のもじりね。そこに語感が 似ているとはいえ、「無頼」と当ててくるところ、実にネーミング 上手な豪ちゃん節が光る。

コレが最初の単行本。カバーがコートされてないので傷み易いのは、 小学館初期単行本の宿命だなや。 1、2、3巻表紙、特に2巻の無頼を底でぐっと押さえて三角構図に 群像を描く手法はいかにも石川賢担当、といった趣だ。

コレ以後、朝日ソノラマと角川書店から再版されるが、その都度 表紙は描き下ろし。角川版にはオールカラー口絵1ページまで挟ま っている。「永井豪」名義に統一されたため、他作家の絵がないの は少々残念だが。

※朝日ソノラマサンワイド版にのみ、3巻末に短編 『マリコ・ワイルド』(原作・川又千秋)収録。しかしサンワイド もヤマトも3巻表紙だけ無頼の髪が黒くなってるのはなぜだろう?

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