Go-21トピックス

このページは現在社会で注目を集めている話題をとりあげてそれについてのコメントを掲載して行きたいと
考えています。会員各位の投稿も期待しています。
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2008年01月20日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   08.01.16
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             改革とマネー
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 新年明けましておめでとうございます。

 米国のサブプライム問題の影響は依然続いています。日本のバブル崩壊時の住
 専の不良債権問題の際は、 政府の公的資金注入により金融システム不安への
 対応がなされましたが、今回は中東や中国勢のマネーが大手米銀に資本注入さ
 れるという新しい動きが顕著に見られました。前回号にて示唆させていただいた通
 り、マネーの動きのスピード差はあったとしても、マネーそのものが消えるというこ
 とはありません。 ある市場で流出したマネーはまた異なる市場に流入する。短期
 的な動きに一喜一憂するのもマーケットの楽しみ方の一つでしょうが、グローバル
 なマネーの動きの流れを感じ、 その新たな潮流を見い出すことも醍醐味と思いま
 す。 さて、このサブプライム問題による米銀へのネガティブな影響は根深い状況
 ですが、幸いにも邦銀への影響は軽微。メリルリンチにみずほコーポ銀が出資等
 の報道もありましたが、 失われた10年(20年?)で苦渋な経験をした本邦金融機
 関がこの機に攻めに転じることができるか、このあたりも興味深いところです。
 それでは、本年もよろしくお願い致します。                     【編】

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 ■改革とマネー
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 昨年12月、米財務省は連邦法人税改革についての報告 "Approaches to Improve
 the Competitiveness of the U.S. Business Tax System for the 21st Century"を公
 表した。改革案の主要なポイントは、以下の通りである。

 1)Business Activity Tax(事業活動税)の導入
 2)法人所得税率の引き下げ
 3)国際取引に対する二重課税回避の為の税制見直し

 普段はあまりニュースになる話でもないが、米国の法人税制は取引や投資のグロ
 ーバル化への対応、 特に各国の税率に引き下げ競争の流れに完全に取り残され
 ている状況であり、事実、法人所得税率がOECD諸国の中では2番目の高さとなっ
 ていることがそれを顕著に表している。米財務省の中においても、これが米国企業
 の国際競争力を劣化させているとの懸念が認識されており、 上記改革案取り纏め
 の背景もかかる懸念が根底にある。

 しかし、法人税率引き下げるには財源の確保が必要である。そこで、この手段とし
 て欧州諸国のVAT(付加価値税)と同様の性質を有するBusiness Activity Tax
 (BAT)の導入が有効との考えが報告書の中で示されている。米財務省の試算は、
 税率5〜6%程度のBATを導入することにより、法人税率は現行の35%から31%
 まで引き下げることが可能であり、 また、BATを導入し法人税率を引き下げるこ
 とは設備投資促進にもつながり(※1)、GDPを2〜2.5%押し上げるというものであ
 る。

 また、上記法人税率引き下げとBATの導入に加え述べられているのが、国際取引
 に対する二重課税回避に関わる税制改革である。二重課税というのは、例えばあ
 る一つの取引を海外で行った際に、取引を行う海外と本店の所在する国の二つの
 国から課税されるというものであるが、 多くの国では自国企業の競争優位性を確
 保するために税制上の救済措置(外国税額控除制度等)を設けていたり、或いは、
 二国間での租税条約締結により、二重課税が企業の取引になされないようにして
 いる。

 現在米国では 「全世界主義(米国法人の国内帰属所得だけでなく国外帰属所得
 についても米国にて課税する方式)+外国税額控除制度」(日本も同様の方式)を
 採用しているが、 当該制度においては二重課税の軽減は可能であっても、完全な
 排除は難しい場合がある。 これに対して、殆どのEU諸国は「属地主義(国内帰属
 所得のみ国内で課税する方式で、 理論上二重課税そのものが発生しない)」を採
 用しており、この点も検討べき事項の一つとして取り上げられている。

 さて、上記に長々と記述した米国税制改革案の内容詳細については、 筆者が読
 者に対して伝えたい本質的なポイントではない。重要なことは、(1)既に欧州諸国
 は、EUという強大な経済共同体のもとで、次々とグローバル化への対応を進めて
 きているということ (規制、税制、会計、労働、金融等々)、(2)実際に昨今のユー
 ロ高やポンド高に象徴されるように、 世界のマネーは米国や日本からユーロ圏へ
 と流れている、そして、(3)米国はそのEU経済圏の勢いに圧倒されているとともに、
 それに対して強い危機意識を抱いてきているということである。
 税制面で言えば、上記米財務省の報告書の中においても、EU型を志向すべきで
 なはいかという考え方が強く見られる。

 税制に限らず、会計制度においても同様のEU志向型の傾向が見て取れる。 米
 国人が 世界で最も洗練された最先端の会計基準であると疑わなかった米国会
 計基準は国際会計基準と歩調を合わせざるを得ないのが実情である。 昨年、
 米国証券取引委員会(SEC)は、米国外企業が米国にて上場する場合に、国際
 会計基準ベースで作成した財務諸表をそのまま用いること (つまり米国会計基
 準ベースの財務諸表への組み替えを求めないこと)を認めた。 現在ではさらに
 話が進んでおり、将来的には、米国上場企業に対しても国際会計基準での財務
 諸表作成を求めるという方向性が示されている。 要すれば、そう遠くない将来に
 おいて、米国会計基準は国際標準の看板を下し、 単なるローカル会計基準とな
 るのである。

 以上、米国の状況について記述したが、翻って日本はどうであろうか。上記税制
 の話の中で、米国の法人税率はOECD諸国の中で二番目に高い状況と説明した
 が、OECD諸国の中で最も高い法人税率の高い国こそが日本なのである。企業
 がグローバルに取引を行おうとするには、法人税制或いは投資税制の面では正
 直全く魅力のない国である。会計基準面でも日本の会計基準はローカル会計基
 準の域を出ていない。そもそも海外企業が日本で上場をしようとすれば、わざわ
 ざ日本語での財務諸表も作成せねばならないのであるから、 そのようなインセ
 ンティブは到底湧かない。 資金の流れが滞れば、経済・産業はなかなか活性し
 ない。が、日本においては、米国が最近感じ取ってきているような危機意識が薄
 いというのが実情であろう。 今回はたまたま税制や会計の話に焦点を充ててみ
 たが、もちろん論点をこれらのみに絞る必要はない。規制改革、労働市場改革、
 環境政策等、 グローバリゼーションの流れに的確に対応可能なスピード感ある
 改革を進め、 マネーが潤滑に日本列島を経由するような手立てをもっと危機感
 を持って講じていくことが必要であろう。                     【編】

 (※1) 設備の先行投資を伴う事業活動を行う企業にとっては、BATは設備購入
 時点でBATのCreditを創出し、その後収入が生じた際に当該Creditと相殺するこ
 とができる(つまり税金支払のタイミングが繰り延べられる)。 一方、従来の法人
 税制のもとでは、設備購入時点で企業は損金算入することができず、税務上定
 められた所定の年数に亘る減価償却という形で損金認識が可能となる。
 従い、BAT制度は法人税制と比べて設備投資を主体とする企業にとっては税金
 の繰延効果をもたらすこととなる。






2007年10月07日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   07.09.22
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            マネーは消えず
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 久し振りにレポートが届きましたので紹介します。

 この夏、金融市場を大きく揺るがしたサブプライムローン問題。決して突如として
 現れた話ではなく、今年に入って3度目の波であった。 1度目は、2月の下旬に
 延滞率が上昇していた低信用者向けの住宅ローン(サブプライムローン)の債務
 返済不履行が、その貸し出し専業業者を襲い、その殆んどが破綻することとなっ
 たというもの。 これについては、専業会社の買収、整理、合併等のビジネス再編
 という一見合理的なプロセスを経て話が収まった。 続いて、3月下旬にサブプラ
 イムローンの証券化ビジネスで潤ってきた大手金融機関が損失を被るという懸念
 による波。これは、その決算発表により影響はさほど大きくないという思惑が台頭
 したことで収束した。 そして、第3波。6月末大手証券会社の子会社のヘッジファ
 ンドがサブプライム担保証券の運用で大きな損失を被ったことが判明し、各方面
 への悪影響が懸念されるに至った。
 
 ファンドはレバレッジを利かせて(資産を担保に小資本で証券会社や銀行からの
 借入により)投資を行なうことから、ファンドの損失の影響は証券会社や銀行にも
 及ぶ懸念が生じ、さらに、ファンド或いはファンドに貸付を行なっている証券会社
 や銀行はこの投資を金融商品化し、内外の投資家に切り売りしてリスクを分散し
 ている為に、一体どこの誰がどの程度損失を被っているのかよく分からない話と
 なってしまったのが実情である。この「もやもや」としたところが、金融市場におけ
 る不安感を一層増長したとも言えるだろう。
 
 ファンドの著しい台頭、資金のグローバル化といったあたりが98年に起こったLT
 CM破綻ショックによる金融不安当時の環境からは大きく異なっていると考える
 向きもいるだろうが、本質なところは10年前と大きく変わっているとは思えず、詰
 まるところは「バブル」だったのである。過剰流動性により行き場を失ったマネー
 が溢れ、マーケット全体として「リスク」に対する感度が鈍り、そのリスク分析のプ
 ロである格付会社も含めて、投資資産に対する適正評価ができていなかったとこ
 ろに、一気にその揺り戻しがかかったということである。
 
 特に米国は極端な国である。右に向かい始めると右に一気に流れていくし、それ
 が今度は左に向かい始めるとこれまた一気に左に流れていく。米国の買収マー
 ケットも、 これまでは投資家から大量の資金を集めたファンド(海外ファンドも含
 む)が一大プレーヤーとして台頭し、買収案件のかなりの割合についてファンドが
 関与していた状態であったが、この夏、とりわけ8月以降はパタリと動きが止まっ
 てしまった。今回の件を機会にファンドも投資基準等を見直さざるを得なくなり、ま
 た、銀行や証券会社も自身のバランスシートを使っての投資や貸付を行なうこと
 には極めて慎重となるに違いない。ファンド勢が体制を整えてマーケットに出て来
 れるにはまだ数ヶ月はかかるだろうし、 姿を再び現し始めたとしても投資基準は
 厳しいものになっているに違いない。また、買い手(投資家層)が少なくなっている
 ため、売り手サイドもしばらくは様子見とならざるを得ない。結果として、これまで
 フル回転で循環していたマネーの流れの動きは鈍るとともにそのボリュームも大
 きく減少するということになろう。
 
 サブプライムローンという問題のみに着目すれば、 米国住宅市場の冷え込み、
 国内消費の落ち込み、 米国経済のファンダメンタルズの悪化というような、ごくあ
 りふれた話のみで終わってしまうだろうし、 また、先週のFRB(米国連邦準備制
 度理事会)が FOMC(連邦公開市場操作委員会)にて0・50%の利下げを決定
 した前後より「グローバルな問題」から「米国固有の問題」という方向に話が回帰
 してきている感もあるが、 どうも上記の資金の流れの停滞というところがジワリと
 経済活動に影響を与えてこないかというところも気になるところである。

 そういった一抹の不安はあるものの、楽観的な見方ができる材料も数多く揃って
 いる。アジア経済は、10年前のアジア危機の頃とは状況が異なり、 アジア各国
 ともには高成長を続けている。ユーロ圏も極めて良好で、アメリカ経済等は蚊帳
 の外という状況。日本の金融機関も不良債権問題をほぼ一掃して堅固な基盤を
 築きつつある。サブプライムローン問題が起こったとはいえ、マネーが消えてなく
 なったわけではない。 一時的に行き場を失った投資マネーが、ひとまず堅調な
 商品マーケットへと流れて、 原油にいたっては1バレル80ドルを超えるといった
 状況となっているが、今は次なる優良投資先を模索している時期ともいえよう。
 次なる優良投資先?そろそろ日本の出番が来てもよいころか・・・?     【編】






2006年11月19日

               Go-21トピックス
                   06.11.19
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その10
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休憩・休日がきちんと取れない・・・
 
 
これまでのことを整理します。

 ●確かめること
  ◇休憩や休日について就業規則等できちんと規定されているか?
  ◇休日が勤務割振表等で事前に指定されているか?
  ◇代休について、就業規則や労働協約などで規定されているか?
  ◇休日振替は、次の条件が満たされているか?
   @就業規則等に休日振替の規定をしておくこと
    労働契約上の根拠なく、一方的に休日を労働日とすることは認められません
    ので、振替規定が必要になります。
   A振り替えるべき日を特定すること
    事前に振り替えるべき日を指定しなければ、休日労働の扱いとなります。また
    出来る限り接近した日に振り替えなければなりません。

 ●対処法について
  ◇就業規則等の規定を確かめましょう。絶対的必要記載事項ですから、当然規
   定があるはずです。週によって休日が異なるときには勤務割振表等により事前
   に確認できるように申し入れましょう。
  ◇1週間で1日の休日か4週間を通じた4日以上の休日が与えられていない場
   合労基法違反になりますので、労働基準監督署や労働センター等に相談しま
   しょう。
  ◇休日労働を命じられても、就業規則等に休日労働を命じることのできる根拠規
   定が定められていない場合、法定休日について36協定がない場合は拒否でき
   ます。
  ◇休日出勤が多く休日が取れない取れない場合、時間外労働協定(36協定)で
   休日出勤の限度日数を」定めましょう。
  ◇労働時間短縮を進める上で休日の増加は有効な手法です。







2006年11月12日

               Go-21トピックス
                   06.11.12
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その9
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休憩・休日がきちんと取れない・・・
 
 
A代休と休日振替

  ・仕事の都合などで休日に働かなければならなくなった時の措置として「代休」と
   「休日振替」があります。

  ・「代休」は、休日に労働をさせた代償として、別の労働日を休日として与えること
   をいいます。代休を与えても休日労働をしたことになりますから、労基法の35%
   割増賃金を支払う必要があり、時間外・休日労働に関する協定(36協定)も必要
   になります。
   代休付与が賃金計算期間内でなければ、賃金全額払い原則に違反します。労
   働者が希望した日に代休を取得することは、就業規則等に規定があってはじめ
   て可能となります。

  ・「休日振替は、労働義務のない」日として定められた休日を事前に労働義務の
   ある労働日に変更し、その代わりに他の労働日を休日に振り替えることをいい
   ます。これについては、就業規則の規定が必要となります。
   休日振替を行うためには、振替日を事前に労働者に通知しておく必要がありま
   すが、1週1日又は4週4日の法定休日の要件を満たせば、休日が労働日に変
   更されても休日労働になりませんので、割増賃金の支払いや労働協定の締結
   も必要とはなりません。

   振り替えたことにより、労働日となった休日の週が何曜日から何曜日までを1週
   間とするかは、就業規則等の定めによります。それがない場合は、日曜〜土曜
   となります。振替の結果、週法定40時間を超えた場合は、時間外労働として割
   増賃金の支払いが必要となります。

  ・休日が安易に変更されると労働者の生活に大きく影響したり支障が生ずること
   があるので、雇用者は十分な配慮が必要です。

 B4週間以内に振り替えること
  労基法第35条で定められている基準を下回らないよう、振替休日を行う場合も、
  4週4日以上の休日を確保しなければなりません。

 C少なくとも前日の勤務終了時刻以前に通知すること
   休日振替を所定休日以前に繰り上げて実施する時は、繰上げによって休日と
   なる日の前日までに通知します。






2006年11月05日

               Go-21トピックス
                   06.11.05
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その8
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休憩・休日がきちんと取れない・・・
 
 
2.休日

 @休日についての労働基本法の規制
  ・労基法では、使用者は、労働者に対して毎週少なくとも1回の休日を与えるほか
  4週間を通じ4日以上の休日を与えなければなりません。
  この最低限の休日は法定休日と呼ばれ、所定休日(就業規則などで職場で定め
  られている休日)と区別されます。

 ・休日は、週のいずれかの曜日に決められるのが週休制の本来のあり方ですが、
  法律はそこまでは規制していません。しかし、行政監督上、週休制の趣旨に鑑み
  て、就業規則において休日を出来るだけ特定させるよう指導するという方針がとら
  れています。

 ・労基法の休日原則については、農業、畜産・水産業労働者、管理監督者、監視・
  継続労働従事者(行政監督庁の許可)について適用除外とされています。
  また、災害等非常事由の場合の例外があります。

 次回につづく








2006年10月29日

               Go-21トピックス
                   06.10.29
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その7
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休憩・休日がきちんと取れない・・・
 
 
皆さんは自分の職場できちんと休憩や休日が取れていますか?今回からこの
 問題について考えてみたいと思います。

 基本的なこと

 1.休 憩

  @休憩の長さ
   休憩については、使用者は労働時間が6時間を超える場合においては少なく
   とも45分、8時間を超える場合においては少なくても1時間の休憩時間をを労
   働時間の途中に与えなければなりません。

  A一斉付与の原則
   休憩は、原則として一斉に」付与されなければなりません。但し、労使協定に
   よって適用の除外ができます。

  B休憩時間自由利用の原則
   ・休憩時間というのは、休息のために、労働から完全に解放されることを保護
    されている時間です。労働基準法(労基法)は、 休憩時間を労働者の自由
    に利用させなければならないとしています。

   ・昼休みの電話当番や手待ち時間は、使用者の指揮監督下に入って労務を
    提供する時間ですから、休憩時間ではなく、賃金支払いの対象となる労働
    時間となります。
    電話当番などに当たった場合は、労働者が完全に労働から解放されるだけ
    の時間を別の時間帯に休憩時間として設けなければいけませんし、一斉の
    原則にも反することになります。

   ・休憩時間中の外出も原則として自由で、それを規制している場合は合理的
    な理由が必要となります。
    但し、行政解釈は、事業所内で自由に休息できれば、許可制自体を違法と
    することはできないとしています。しかし、許可するしないの運用においては、
    制限の合理的理由に十分留意すべきであって、近所への外食や買い物ま
    で規制すべきではありません。
   

  次回につづく





2006年10月22日

               Go-21トピックス
                   06.10.22
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その6
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■職場でいじめられたら・・・

  いじめに関する裁判例

  1.職場における自由な人間関係を形成する自由
   会社が職場の内外で、労働者の行動を継続的に監視し、他の従業員に接触・
   交際しないように働きかけるなどした事案について、労働者は「職場における自
   由な人間関係を形成する自由」があると判示した。(最高裁判決平成7.9..5労
   判680号)

  2.故なく肉体的、精神的苦痛を与えて人格権を侵害する行為
   国労マーク入りのベルトを着用して就労していた組合員に対し、本来業務を外
   して用便に行くことも容易に認めず、手を休めると怒鳴るなどして就業規則全
   文の書き写しをさせたことは、合理的教育意義のないところで見せしめをかね
   た懲罰目的からなされたものと考えられ、 「故なく肉体的、精神的苦痛を与え
   て人格権を侵害するもの」と判示した。(最高裁判決平成8.2..23労判690号)

  3.いじめが原因の精神疾患について、労災認定がされた例
   横浜市内の健康食品製造販売会社が転籍を拒否した従業員2人を他の従業
   員から隔離し、仕事を与えず、数ヶ月にわたって読書のみを命じたために2人
   は鬱病になったとし、平成15年8月、労働基準監督署は2人の申請に基づき、
   労災の認定を行った。


 しかし、学校だけでなく職場での「いじめ」がなくなる日はやってくるのでしょうか?


 以上
 





2006年10月15日

               Go-21トピックス
                   06.10.15
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その5
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■職場でいじめられたら・・・

  C裁判所を利用する

   具体的な方法は、弁護士に相談して欲しいのですが、主なものは以下の通り
   です。

   A.いじめをやめさせる仮処分(差し止め請求)
    机やロッカーを使用させないなど、一定の行為を強制するいじめの場合、そ
    の行為をやめさせるための仮処分を提起します。
    また、仕事を与えない、役職や能力に全く見合わない単純労働をさせるとい
    ったいじめの場合、就労請求の仮処分が考えられます。

   B..慰謝料請求
    いじめという不法行為に基づく被害の損害賠償を請求します。

  D精神的に苦しい場合

   精神カウンセラーなどの専門家のアドバイスを受けてみましょう。行政によって
   は相談窓口があるので、そこに相談してみることも一つの方法です。







2006年10月08日

               Go-21トピックス
                   06.10.08
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その4
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■職場でいじめられたら・・・

  B会社ぐるみのいじめの場合

   会社を辞めさせたいためにいじめをしてくる場合、ともかく納得しないままに退
   職願いを出さないこと。

   退職願いを出すと後で退職の無効を争うのは非常に困難になります。また、い
   じめや退職強要をやめるよう内容証明郵便などで通知することも出来ます。
   弁護士に依頼して出すと効果的な場合もあります。

   その上で、労働組合に相談して交渉してもらう、裁判所の利用を考慮する、退
   職もやむを得ないなら、有利な条件になるよう交渉してみることです。

   いじめ目的の業務命令や措置で精神疾患などに罹った場合、労働保険による
   給付が受けられるかどうか、労働基準監督署に相談すべきでしょう。








2006年10月01日

               Go-21トピックス
                   06.10.01
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その3
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■職場でいじめられたら・・・

 1.次の事項を確かめてみましょう。
   貴方をいじめているのは誰か。
   ポイント @上司や同僚のいじめで会社の意図は感じられない。
         A会社ぐるみのいじめである。
   いじめられた他に何か不利益を蒙ったか。
   ポイント
@給料を下げられた。
         A配転させられた。
         B有給休暇をもらえない。
         C退職を示唆された。

 2.対処法
   @いじめの内容を記録:いじめがひどくなったら、いじめの加害者、内容、発生
    日時を記録する。また、それに対する会社や上司の対応についても記録して
    おく、出来れば録音も。
   A上司や同僚のいじめの場合は、実際には、法的手段が取りづらい場合も
    多いので、仕事と割り切り相手が何を言っても取り合わない。人間関係を改
    善出来る可能性があるなら努力してみる。相手に弱みを握られるミスをしない。
    あるいは、
    「貴方のやっていることはいじめだやめて欲しい」とはっきり言うことで、それ
    がさらなるいじめを抑制することがある。
    または、
    責任の取れる立場の上司に相談し話し合ってみる。会社としても人間関係の
    悪化で仕事に支障が出ることは望まない筈。


 次回につづく
 





2006年09月24日

               Go-21トピックス
                   06.09.24
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その2
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■貴方は職場でいじめられていませんか?

 どの累計であっても、悪質ないじめは人格権の侵害となり、違法行為となります。
 また、そのことを関係者がきちんと理解することが問題解決の前提となります。
 
 しかし、いじめといってもさまざまな状況が考えられますので、その違法性につい
 ての判断は難しいと思われますので、一般的には社会通念に照らして判断する
 ことになります。

 ただ、それが会社の業務命令や措置がいじめと思われる場合は次の点が判断の
 ポイントとなると思われます。

 @業務上の必要性に基づいているかどうか?
 A一見必要性があるように見えても、退職強要や組合活動の妨害など隠された不
  当な動機によるものか否か?
 B会社の業務命令や措置がいじめで、精神的な」苦痛から疾病になった場合、労
  働災害としての認定基準に当てはまれば労災保険給付の対象となります。

 次回につづく





2006年09月17日

               Go-21トピックス
                   06.09.17
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        身近な労働問題を考えてみよう
                         その1
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■貴方は職場でいじめられていませんか?

 今回から、身近な労働問題について考えてみたいと思います。
 私は、サラリーマン生活を離れて随分と経つのですが、最近、職場のいじめが問
 題になっているようで、いじめの問題は子供の世界だけではなさそうです。

 ●職場のいじめとは

 職場のいじめの例を挙げてみますと
 ・挨拶を返さない、電話の伝言を伝えてもらえない、文書を保存していたFDを消さ
  れてしまった。
 ・本来の分担とは異なる雑用や極端に過大な仕事を1人だけに強要された。
 ・村八分を上司に相談したら「コミュニケーションを取れない貴方はいじめらて当
  然といわれてしまった。
 ・職場の上司から、特定の社員が優遇され、ある者は過大な仕事を命じるなど不
  公平な扱いを受けた。・・・etc

 職場のいじめというと、これまで「本人がいじめられやすい性格だから仕方ない」
 とか、当人同士で何とかしろ」とか言われて、会社の問題というより、あくまでも個
 人の問題として考えられる傾向にありました。しかし、近年は職場環境の変化に
 より、その程度が酷くなっているようです。これは、もはや職場のいじめが個人の
 問題としてだけで片付けられなくなっているといえるでしょう。

 職場のいじめは概ね次の2つのパターンになると考えられています。

 @ストレスなどの解消

 業績不振などの原因で職場の中には過剰なストレスが溜り、その結果人間関係
 のもつれが多くなってきます。
 そのため、性格的に弱いとみなされた人、後ろ盾のない人、孤立しがちな人、意思
 疎通が苦手な人などがスケープゴートにされてしまうケースがあります。

 能力のある部下が高い評価を与えられないよう、業務の完成直前に配置換えをし
 たり、稟議書の中にミスを見つけても本人にわざとそれを告げず、上司の前で恥
 をかかせるなど、特定の人間が(主に上司)が特定の人間(主に部下)をいびりぬ
 く場合もあります。

 また、上司や同僚と性格的に合わず、意見の食い違いなどで、職場の少数派とし
 て村八分の状態に追い込まれてしまう場合もあります。

 Aリストラ手段としてのいじめ
 
 会社の方針に異を唱えたので、会社としては解雇したいが合理的な理由がない、
 業績不振で退職勧奨したが、本人が承諾しない、」といった場合、仲間はずれに
 する。雑用ばかりさせる等精神的に追い詰めて、自発的に退職するよう仕向ける
 ことがあります。これは意図的な会社ぐるみのいじめといえるでしょう。

 会社として公式・非公式の指示・命令がある場合は、責任の所在も比較的k明確
 になりますが、会社から全くの指示がない場合で、管理職が会社の方針を察した
 り、同僚が、自分自身の保身のため、あるいは会社の暗黙の了解を得たと考えて
 行う場合もあり@のパターンとの中間のケースもあり得ます。

 身に覚えのある方はどちらでしょうか?

 次回につづく





2006年09月03日

               Go-21トピックス
                   06.09.03
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          メタボリックシンドローム
                         その3
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 ■将来を見据えた生活習慣の改善

 ウエスト周囲径の基準値に対しては若干の疑問が残りますが「メタボリックシンド
 ローム」という名前がつくことで、これまで放置されてきた複合型のリスク症候群
 に対する危機感が高まり、予防策が取られるようになったことは良いことです。

 この病態の改善策としては、何よりも生活習慣の改善が」第一といわれます。
 ウォーキングなど20〜30分以上の運動を週2回は実行する運動習慣の徹底、減
 塩と野菜摂取量の増加といった食生活に見直し、 そして適正体重の維持などが
 友好な手段なのだそうです。

 ごく当たり前なことですが、長年の生活や食のスタイルを変えることは非常に難し
 いことです。 でも、重篤な病気を発症する前に何とか予防と対策を講じたいもの
 です。

 しかし、そうはいっても難しい。頑張らなければ!





2006年08月27日

               Go-21トピックス
                   06.08.27
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          メタボリックシンドローム
                         その2
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 ■内臓脂肪の数値に疑問?

 メタボリックシンドロームの診断基準は下表の通りですが、ウエスト周囲径がこの
 数値達すると、内臓脂肪の面積が男女ともに100平方センチメートル以上になり、
 内臓脂肪蓄積型の肥満と推定されます。

 ただし、ウエスト周囲径に関しては、医療関係者からも賛否両論が出ています。
 確かに身長や筋肉の」付き方などもともとの体格を考慮せずに判断するのは強
 引かもしれません。それにもかかわらず分かりやすいため男性85cm以上、女性
 90cm以上という数値だけがひとり歩きしているようです。

 正しい内臓脂肪量を知るにはCT画像を撮る必要があるのだそうです。そこで、内
 臓脂肪か皮下脂肪かを手っ取り早く判断するには次のようにすると良いそうです。

 軽く膝を曲げて仰向けに寝て、へその周りの肉を厚くつかめたら皮下脂肪型、皮
 膚だけなら内臓脂肪型。また、腹をへこませてウエスト周囲が10cm以上細くなれ
 ば皮下脂肪、10cm未満なら内臓脂肪の可能性があるそうです。

 メタボリックシンドローム診断基準(日本内科学会)

 ◆立ち姿で軽く息を吐いた状態のウエスト周囲径(へその高さの周囲)が

 ●男性 85cm以上
 ●女性 90cm以上 かつ

 @最高血圧が130mmHg以上か最低血圧が85mmHg以上のいずれかが、または
  両方である。
 A空腹時の血糖値が110mg/dl以上である。
 B中性脂肪が150mg/dl以上かHDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg
  /dl未満のいずれか、または両方でsる。

 この内2つ以上の項目に当てはまる場合。


 次回につづく





2006年08月20日

               Go-21トピックス
                   06.08.20
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          メタボリックシンドローム
                         その1
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 我々にとって大切なものは確かにお金ではありますが、その前に健康こそが大切
 なものであると思われます。今回から健康に関するリスクマネジメントとして、最近
 注目されているメタボリックシンドロームについて考えてみます。

 ■内臓型肥満は要注意

 近頃、新聞、雑誌などにメタボリックシンドロームという言葉が頻繁に登場するよう
 になりました。これは、内臓の周囲に脂肪がつく「内臓脂肪蓄積型」の肥満徴候が
 がある人で、高血圧・高脂血症・高血糖のうち、 2つ以上に該当するケースを指す
 新しい疾患の概念です。

 平成17年に日本動脈硬化学会や日本糖尿病学会など8学会が合同で診断基準
 を作成し、日本内科学会により発表されました。

 内臓に脂肪が蓄積した状態や高血圧・高脂血症・高血糖は、初期のうちは日常生
 活にほとんど支障はありませんし、痛みなどの切迫症状も現れないので、そうと診
 断されても多くの人が特別な対策をとらずに放置してしまいます。

 しかし、この病態が長く続くとそれぞれの症状は確実に進行し、複合的に血管を
 痛めつけて、心筋梗塞や脳梗塞などの重篤な病気に発展する恐れがあります。

 本人がことの重大さに気づいた時には、突然の心臓発作に見舞われるといった事
 態になる可能性があるのです。

 厚生労働省の調査によれば、 現在40〜74歳のうち、おおよそ940万人がこのメタ
 ボリックシンドローム
に該当する病態を持っていて、 その予備軍は1020万人にも
 のぼるのだそうです。

 次回につづく





2006年03月05日

               Go-21トピックス
                   06.03.05
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             資格あれこれ7
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■日本茶インストラクター検定

ワインやお酒が苦手な人には日本茶の検定試験もあります。最近は、お茶ブーム
といわれカテキンなど健康面の効用が注目されています。

この日本茶インストラクターというのは、日本茶の銘柄、産地、味、効果、成分など
に関する幅広い知識が問われるものです。初級コースである日本茶アドバイザー
は2005年の受験者数が1000人を超え、合格者は480人以上となっています。 さら
に高度なレベルを持つ日本茶インストラクターは受験者数1000人に対し、合格者は
200人強となっています。そしてさらに上を目指したい人には日本茶マスターという
資格もあります。

試験の内容は、筆記に加えて見た目やにおいでお茶を判定したり、実際に味を見
て日本茶の品質クラスを判定したりする課題もあります。







2006年02月26日

               Go-21トピックス
                   06.02.26
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             資格あれこれ6
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■焼酎アドバイザー

ワインの専門家として「ソムリエ」という立場の人がいます。それに対して焼酎には、
焼酎アドバイザーという検定があります。きき酒師などさまざまな資格認定制度を
運営している日本酒サービス研究会・酒匠研究会連合会が設定しているもので、
飲食業などのビジネスに役立つ検定資格として、設定されているのが特徴です。

そのため、受験者の約9割が飲食関係、ホテル、旅館、酒販店、流通業者、生産メ
ーカーなどで占められています。

試験内容は、基礎知識・保存方法などを問う筆記試験のほか、季節別プロモーシ
ョンの考案の仕方、効果的なメニューの作成法などの企画関連問題、また実際の
ティスティング試験もあります。







2006年02月19日

               Go-21トピックス
                   06.02.19
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             資格あれこれ5
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■ファーブル検定

ファーブル検定は、日本アンリファーブル会の監修により、2003年からはじまったも
のです。

昆虫を通して、自然や生命への理解と愛情を深めることを大きなテーマとしています。
「新しい学びを提案」ということで、昆虫と自然についての知識、好奇心、観察力など
を総合的に問いかけ、暗記力を問うのではなく、検定の問題は全て記述式で、答案
作成にあたっては、本で調べたり、実際に昆虫を観察したり、友達や両親の体験を
聞いたりしてもかまわないという形式になっています。

それぞれコース別に「かぶとむしマスター」「クワガタマスター」など10コースがあり、
マスターコースの上級のゴールドマスターもあります。

昆虫オタクの方に如何でしょうか?







2006年02月12日

               Go-21トピックス
                   06.02.12
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             資格あれこれ4
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■ナマハゲ伝導士

ご当地検定の中でも変わっているのが、東北の伝統行事である「ナマハゲ」をテーマ
にした「ナマハゲ伝導士」です。

男鹿市観光協会が行っています。今なお多くの謎が残され、伝統的な文化行事となっ
ているナマハゲの意味を知ってもらい、知識を広めるために始められました。

貴方もナマハゲ文化の継承者になれます。






2006年02月05日

               Go-21トピックス
                   06.02.05
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             資格あれこれ3
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■京都・観光文化検定

この検定は、毎年1万人近くが受験するご当地検定人気トップの検定です。

現在の「検定ブーム」の中心役ともなったのが通称「京都検定」と呼ばれる京都・観
光文化検定です。京都商工会議所が主催・設定しているもので、2004年から始まり
前回は試験が行われる京都に全国から9800人以上が受験しています。

出題範囲は、京都に関すること全般で、歴史・史跡・神社・寺院・庭園・美術・伝統工
芸・伝統文化・花街・祭と行事・京料理・京菓子・ことばと伝統・地名・自然・観光学な
ど幅広いのです。文字通り京都通の認定になります。

受験生に対して、事前にセミナーなども開催されており、「京都検定問題と解説」、「京
都・観光文化検定試験テキストブック」などの学習書も発行されるほどです。

2級・3級試験では択一式で100問出題されるのですが、やはり、歴史の重み、観光資
源の豊富な京都ならではの内容になっています。





2006年01月29日

               Go-21トピックス
                   06.01.29
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             資格あれこれ2
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■忠臣蔵通検定

年が明けてしまいましたが、12月14日は有名な赤穂浪士の討ち入りの日でした。
忠臣蔵は、日本人にとって最もポピュラーな時代劇で、歌舞伎にもなっています。

この忠臣蔵通検定は財団法人・中央義士会が設定していますが、第1回目は4年
前に実施されました。第1級クラスは結構マニアックな難問がありますが、2005年
からは、やや難易度を下げた第2級試験が行われるようになりました。

この検定試験に合格すると「忠臣蔵講師」の認定証がもらえます。

この検定の狙いは、1702年(元禄15年)の赤穂浪士討ち入りから303年が経過しま
したが、改めて一般の人に忠臣蔵をしってもらうためだそうです。

試験は国内約10箇所で行われ、内容は、四者択一と一部記述式の全50問で四十
七士や歴史的経験など忠臣蔵にまつわる一般的な知識を問うものです。

お好きな方はトライをお勧めします。






2006年01月22日

               Go-21トピックス
                   06.01.22
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             資格あれこれ1
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従来このページでは、JAPAN ECONOMIC REPORTをメインに紹介して来ましたが
更新頻度が低くなっていますので、Go-21トピックスも扱いたいと思います。

昨日、横浜にある資格専門学校に昔世話になった先生を訪ねたのですが、何とこの
学校があったはずのビルから消えてしまっていました。この種の学校も結構厳しい状
況にさらされているのでしょうね。

さて、これらの学校は税理士や社労士という所謂士族がメインですが、そうではなく
て、ユニークな資格を紹介したいと思います。

■時刻表検定 (情報の宝庫「時刻表」のプロになる)

この資格は既に10回以上の検定試験が実施されており1回に2500人以上が受験す
る人気資格になっていますのでご存知の方は多いと思います。

内容は、時刻表に網羅されている全ての情報を問う問題で、文字通り「時刻表の隅
々まで」の事項が出題されます。 試験会場には時刻表や電卓なども持ち込み可で
す。列車に関係する事項はもちろん、バス、船、航空機や地名、名称、諸規則、運賃
料金に関することから切符、主要駅の概要に至るまで、時刻表が「情報の宝庫」であ
ることを再確認することになります。

資格のランクは、第1種:(博士・1〜2級)第2種:(3〜5級)と細かく等級が分かれて
いて180点以上をマークすると本当の専門家として「博士」というランクが得られます。






2005年12月11日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   05.12.08
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           資金の流れの変化
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何度か本誌にて言及したことがあったような気がしますが、日銀により毎月集計・発
表される「貸出・資金吸収動向」は、銀行の貸出状況を見るうえで、 私が注意深くフ
ォローしている経済統計の一つです。

銀行は個人より主に「預金」という形で資金を調達して、これを原資にして企業に対
して資金を貸し出す。 しかし、企業の投資活動が活発ではなかったり、投資どころ
か負債の返済に躍起にならざるを得ないような状況においては、優良な大口借り手
がいつまでたっても現れません。資金繰りに窮している等、信用力の劣る企業から
の借入需要はあるかもしれませんが、そんな企業にお金を貸せるほど本邦の銀行
にリスクテイク余力はありません。

そんなこんなで、貸出残高も90年代後半より一貫して前年度比のマイナスが続い
ており、 特に99年から04年にかけては前年比マイナス4〜5%の減少というのが
常態化しておりました。 この間、何度か小さな景気回復局面はありましたが、それ
にもかかわらず、 貸出残高が一貫して減少してきたのは、ある意味「異常な状態」
でありました。

ところが、今年になって急速にこの状況に変化が現れてきています。 05年の2月
から直近に発表された10月迄、 この貸出残の前年比減少幅が一貫して縮まって
いるのです。過去5年間殆ど動きがなかったことを考えると、 これもまた急速な変
化と言うことが出来るでしょう。先月10月の銀行貸出残高(月中平均残高)は、前
年比マイナス0.7%迄縮小し、また、特殊要因調整後残高では前年比プラス0.9
%という数字を示しています(但し、 後者の調整後数字の前年比は、ややイレギュ
ラーな式であり、「プラス」という数字にあまり過敏に反応すべきではありません)。

銀行のリスクテイク能力のアップを通じた信用創造の作用は、 企業業績の改善と
相まって確実に景況感にプラスの影響を与え、現在の底堅い株式相場を支える要
因の一つとなっていると言えるでしょう。

                               ・          ・           ・

日本株が好調であるにもかかわらず、為替は円安に振れています。日米金利差や
米国投資法がテーマの一つといえます。但し、(1)FRBは利上げを継続実施する
スタンスではありますが、最近一部のFOMCメンバーから利上げの行き過ぎに対
する警戒感が示唆されており、また、「金利差」というテーマがの為替水準訂正トレ
ンドが長続きしたというケースもあまりないこと、(2)米国投資法の期限も程なく切
れること等も考えると、これらテーマでの円安も年内一杯のような気はしています。

特に米国投資法については、米国多国籍企業にとってみれば、絶好の税制上の恩
典措置であり、この機に本国宛配当を実施しようと考えるインセンティブは間違いな
く高まっていると思います (特にこの11月〜12月にかけて駆け込み的に行われて
いるのではないかと)。

ところで、米国金利が高いということは、裏を返せばインフレ懸念を潜在的に抱えて
いるということ、即ち、ドルの信用低下が意識されているということ。こういう時には、
エネルギー等の実物資産へとマネーが流れていきますので、これが昨今の原油高
の要因の一つとなっています。一方、原油もここ最近は調整局面。
原油高の行き過ぎ感から、今度はGOLDへと資金が流れています。よく言われる話
ですね「マネーは世界を駆け巡る」と(お金に「色」はないのですが・・)。

【編】

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■用語解説:米国本国投資法(Homeland Investment Act)
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2004年に成立。米国の多国籍企業の利益や配当金等の送金を米国本国に対して
行う場合、通常は米国内で課税所得として取扱われ35%の税率が適用されますが、
2005年度に限り、5.25%になるというもの(要すれば、海外受取配当金の益金不
算入のようなコンセプト)。この税制面での優遇措置により、米国に資金を還流させ、
米国内での投資を促進させようというのが狙いです。

【編】





2005年09月04日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   05.08.28
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              リスクテイク
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ここ最近、景気の回復期待の高まりから「株高債券安」という教科書的な動きが強ま
っています。8月9日の政府・日銀による脱・踊り場宣言、12日に公表された4−6月
期GDPの堅調な内容。その後も各種経済指標において脱・踊り場を示す兆候が現
れつつあります。

今週は、30日に7月の労働力調査、家計調査、商業販売統計、31日には、鉱工業
生産、毎月の毎月勤労統計等の発表が予定されています。家計調査関連では夏の
ボーナスも含めた家計の所得や消費の動向が要注目です。

政治関連では30日に9月11日開票の衆議院総選挙の公示が行われます。劇場型
選挙と言われる当選挙は良くも悪くも国民の選挙への関心が高まっています。

少子高齢化、年金、膨らむ財政赤字・・・これからの日本において構造改革を進めて
いくことは不可避であることは、殆どの国民は感じています。次の焦点は、改革をい
かにどのようなスピード感を持って進めていくことができるか。そして、その課題実行
を担っていけるのは誰なのか。

自民党は、「郵政民営化」を「改革」の象徴として、党を分裂させてまで、選挙に出る
ことになりました。
「自民党をぶっ壊す」という大きなリスクと裏腹な関係にあった公約。結果、「リスクを
とってまでも信念を貫いた」ということについて国民は肯定的に受け止めているようで
す。

公示後は、公職選挙法に基づいて選挙報道等のスタイルも大きく異なってきます。
果たして、風は誰に吹くのか。。

選挙の動向待ちの感はありますが、現世論調査から大きく振れることがない限り国
内のファンダメンタルズを反映し、投資家のリスクテイク能力もアップ。 中国経済の
減速懸念や急激に進む原油高等の外感も抱える中、一本調子の上昇は考えにくい
ものの、トレンド自体は続くものと思われます。  【編】






2004年10月31日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.10.24
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      景気と物価の乖離〜日銀の悩み?
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今年に入り、長期金利も一時上昇しましたが、その後じりじりと修正され、10年物国
債で1.5%付近での推移。結局、落ち着くところに落ち着いており、膠着感が強まっ
ている状況です。先ず、今週の相場材料は以下の点。

(1)9月鉱工業生産指数速報(28日)
   市場のコンセンサスは7−9月期生産指数が5四半期ぶりに前期比マイナ
   ス(但し、小幅マイナスにとどまると思われる)となり、生産活動のピークア
   ウトをうかがわせるだろうというもの。ここから数字が大きく振れるようであ
   れば、それに応じて相場が動く余地はあります。

(2)10月東京都区部コア消費者物価指数(29日)
   石油製品価格は上昇するもコメ価格の反落により前年同月比小幅マイナ
   スとなる見込。前回号でも指摘の通り、相場には織り込み済みでしょう。

(3)日銀「経済・物価情勢の展望」(29日)
   所謂、「展望レポート」と言われているものです。金融政策(量的緩和政策)
   舵取りの一つの基準とされる消費者物価指数の動向。この2005年度消
   費者物価指数の大勢見通しが注目点。市場のコンセンサスは「+0.1%」
   程度。本件を巡っての観測報道は今月に入り、チラホラと出ており、先週
   の日本経済新聞においても1面トップで報道しています。穿った見方をす
   れば、市場がサプライズせぬよう、意図的に情報がリークされている可能
   性もありますが、その思惑通り、「+0.1%」程度であれば織り込み済とな
   るはず。金融政策変更への「時間軸」が短くなったという印象は生じないで
   しょう。

さて、この物価指数を景気回復の重要指標、金融政策の舵取りの目安と日銀政策
委員会のメンバーが考えている点は上述の通りですが、日銀政策委員もそれなり
の悩みを抱えています。

以下、これに関連する部分を金融政策決定会合議事録より抜粋すると−−−

−−−複数の委員は、物価動向と景気動向との乖離が改めてはっきりしてきたの
ではないかとの認識を示した。これらの委員は7〜9月中には、消費者物価の前
年比がプラスになる可能性も視野に入れていたが、その後の展開をみると、その
可能性はかなり小さくなっており、景気回復に物価が反応し難い姿が鮮明になっ
てきているのではないか、との見方を示した。−−−

−−−ひとりの委員は、景気と物価の乖離の状況は、政策運営にとって重要な意
味を持つものであると述べた上で、景気回復に物価が反応し難い姿となっている
中で、何らかの歪みが経済に蓄積していくようなことはないのか、といった点につ
いても、今後しっかりとみていく必要があるとの認識を示した。−−−

「景気があがれば物価が上昇する。」−これぞ伝統的な関係であり、物価の動き
を注意深く見ていれば、採るべき金融政策も見えてくるとは、今は昔。物価の動き
のみにとらわれることなく、より多面的に景気をウォッチしていかねばなりません。

【編】




2004年09月12日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.08.29
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            原油 vs コメ?

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日銀は、現在の量的緩和政策について、現実の消費者物価指数の前年比上昇率が
安定的にゼロ%以上となる迄続ける事をコミットしています。従い、同消費者物価指
数(CPI)は、日銀の金融政策に直結してくる注目指標の一つと言えます。

原油価格が高騰する中において、石油製品の動向が気になるところで、確かに同製
品の指数は前年比でプラス傾向が続いていますが、足下の原油価格下落を勘案す
れば、先行きの大きな懸念事項という迄には至っていないように思います。

一方、今年の猛暑の影響も有り、2004年産のコメについては、平年の収穫量を上
回る豊作。先日の日経新聞記事によれば、スーパー店頭での人気銘柄が今年初比
で3割安となっているとの事です。この2004年産が市場に多く出回る秋以降は、コ
メ価格の下落圧力を原油価格高騰によるインフレ懸念を打ち消すものとなり、結果と
して、引き続き、CPIは前年比小幅マイナス程度にて推移、金融政策に変化をもたら
しそうな気配は無さそうです。 【編】

====================================
■資金需要の低迷〜デフレ脱却の高いハードル
====================================

今年はやや景気に対して楽観的な見方へとスタンスを変更したわけですが(というよ
り、JEREP執筆開始から昨年迄が悲観的過ぎたかもしれません)、やはり景気に力
強さは感じられません。

以前より私がチェックをし続けている指標として、日銀が毎月発表する「貸出・資金吸
収動向」があります。景気の先行指標として「設備投資」が挙げられますが、設備投
資の動きが拡大してくると、資金需要が増し、必然、銀行の企業向け貸し出しが拡大。
良い金利の上昇の好循環がスタートする事となります。

銀行の貸出残高は、依然前年比マイナスの状態が続いてきましたが、ここ3ヶ月、
このマイナス幅の縮小の動きが見られています。という事は、資金需要が拡大、景
気回復の前兆!?

というわけではなく、この銀行貸出残高のマイナス幅の縮小は、個人向貸出の増加
によるもの。そして、個人向貸出増は、住宅金融公庫による貸出残高の減少による
ものであり、全体的に家計サイドの資金需要が伸びているというものではありません。
一方、企業向け貸出残高は、引き続きマイナス5%前後のマイナス。資金需要に盛り
上がりの動きはありません。 【編】






2004年06月20日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.06.13
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           オプション取引って
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■オプション取引って(1)〜ズバリ権利の売買取引


「オプション取引」とは何でしょう?

例えば「プットオプションを買う」「コールオプションを売る」「コールオプションを行使
する」等という言葉がマーケットでは使われますが、「オプション」を「権利」に、「プッ
ト」を「売る」、「コール」を「買う」と読み替えてみましょう。−−「売る権利を買う」「買
う権利を買う」「買う権利を行使する」とちょっと分かり易くなりますね。
そう、「オプション取引」とは「権利の売買取引」なのです。

一定の期日内に一定の価格で売る(或いは買う)権利を売る(或いは買う)。この「一
定の期日」を「オプション終了日」、「一定の価格」を「ストライクプライス」或いは「行
使価格」等と言います。そして、権利の購入(売却)代金を「オプション料」「プレミア
ム」等と言います。

では、株価指数(日経平均)オプション取引について具体例で考えてみましょう。

「現在の日経平均株価が12000円である時にAさんが9月限でストライクプライス
13000円のコ−ルオプションをプレミアム500円を支払いBさんより購入。」−−
これを上記にて説明しました通りに言い換えると・・

「現在の日経平均株価が12000円である時にAさんが9月がオプション終了日と
なる13000円で買う権利をBさんから500円で購入した。」−−ちょっと分りやす
くなりましたでしょうか。

続いて、「AさんとBさんの損得勘定」についてお話したいと思います。【編】

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■オプション取引って(2)〜損得勘定はどうなる?
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上記にて例示した「現在の日経平均株価が12000円である時にAさんが9月限で
ストライクプライス13000円のコ−ルオプションをプレミアム500円を支払いBさ
んより購入」、即ち、「現在の日経平均株価が12000円である時にAさんが9月が
オプション終了日となる13000円で買う権利をBさんから500円で購入」する取引
の損得勘定を見てみましょう。

9月迄に日経平均株価が13000円より超過すればAさんは権利行使を行い、13
000円で買うでしょう。何故なら、市場価格よりも安い価格で購入できる分、オトク
だからです。でも、500円のオプション料を支払っていますから、Aさんがこのオプ
ション料も加味して真に得をするのは、株価が13500円超となった時です。従い、
得をするまでのハードルは高いわけですが、最大損失額は当初支払ったオプショ
ン料が限度となります。行使するか否かの権利を持っている側の強みです。

一方、Bさんは株価が13500円超となった時にAさんに権利行使されると損をして
しまいます。市場価格よりも低い価格で売らなければならず、その売却損が当初
貰っていたオプション料でもカバーできなくなる為です。つまり、一定のオプション
料という確実な収入を得るものの、損をする時は損失が無限大となり得ます。

初心者がヘッジ目的ではなくスペキュレーション目的(投機目的)で行う場合は先
ずはオプションの買いから入るべきです。オプション料を支払わねばなりませんが
、それ以上の損失は発生しません。オプション料=一種の保険料、或いは、入場
料と考えてしまえば怖い事はありません。一方、オプションの売りから入る事は何
らかのヘッジ対象がある時(ヘッジ目的)でなければちょっと推奨できません。それ
と、最初は最低取引単位で始めましょう。欲張りは厳禁。また、手数料もかかりま
すので、御留意下さい。先ずはキチンと勉強し、その仕組みを理解する。これが最
も重要なコトなのです。 【編】






2004年06月06日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.05.30
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           夏場の個人消費
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GDPへの寄与度の大半を占める個人消費。ここの回復無しには日本の景気の本
格回復は無いといっても過言ではありません。さて、夏場に向けての個人消費の
動向。よく挙げられるトピックスを検証してみましょう。

(1)夏のボーナス
28日付けの日経新聞によると、主要企業の夏のボーナスが昨年夏の実績対比で
2.35%増加し、2年連続の増加となったとあります。昨年は、厚生年金や健康保
険の保険料がボーナスにも課される事となった為、ボーナス増加の恩恵を感じ難
かったと思いますが、本年は素直に景気回復の恩恵を実感できるサラリーマンが
増えるでしょう。ただし、新聞報道は、「主要企業」にしか焦点を当てていないので、
中小企業の状況も踏まえると、楽観できるというものでもありません。

(2)気候
冷夏だと景気も冷えるというのが、よく言われることですが、気象庁が先週発表し
た平均気温の3ヶ月予想では「東日本は平年並み、西日本は平年並みかやや高
い」とのこと。天候と景気との相関は、なんとなくイメージも沸きやすく読者受けす
るので、エコノミストのレポートではよく分析がされますが、換言すればその程度
の話に過ぎず、天候が景気を左右する決定打とはなり得ないということを留意し
ておく必要あります。そして、気象庁の予報は当たらないという点も留意の要有り
かと。。

(3)オリンピック
DVDレコーダー等、デジタルAV機器関連企業には追い風となるでしょう。とはい
え、所詮海外で行われるイベントに過ぎず、内需の起爆剤にはなり得ないと考え
ておくべきです。

(4)株高による資産効果
昨年の底値圏から回復してきているという点は実に好材料でしょぅ。とはいえ、
現状では水準訂正がされたに過ぎず、力強さには欠ける状況。

上記を総合すれば、緩やかな改善傾向は持続していくでしょうが、内需を好循環
させるエンジンにはならないでしょう。そして、結局は、外部環境に強い影響を受
ける事となります。具体的には、(1)米国にて、年度後半に減税効果が剥落し、
景気が減速しないか、(2)中国向けの投資の加熱にドライブがかかりすぎてバブ
ルが破裂しないかというあたりが最大のポイントとなります。  【編】






2004年04月25日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.04.18
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           内需上向きへの動き
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先日公表された4月の日銀金融経済月報。景気の現状判断並びに先行き見通しは、
着実に上方修正されてきております。

例えば、「国内需要が底堅さを増している」という表現。「内需低迷」というのが慢性
化してきた中において、内需上向きの情勢が示唆されたのは、実に7〜8年ぶり(9
6年後半の景気回復局面以来)となります。

また、景気の先行き判断について、3月の月報においては「当面、雇用・所得環境
に目立った完全は期待しにくい」という表現だったものが、今回は「生産活動や企
業活動からの好影響が、雇用・所得面へ徐々に及んでいくと考えられる」と一転し
てポジティブな表現に変わりました。久しぶりの「ダム理論」の登場です。

好調な企業収益。大企業の連結純利益が過去最高を更新というニュースもよく聞
かれます。このあたりを日銀もそれなりに評価してきているのでしょう。

さて、企業業績を評価する際に、従来のように当該企業単体の収益だけではなく、
その子会社・関連会社も含めた企業グループ全体の収益、即ち「連結利益」とい
うものを見ていくというのがごく当たり前の時代になりました。しかし、この「連結純
利益の拡大=日本経済に好影響」というダイレクトな図式が必ずしも成立するわ
けではないという点は留意しておく必要があります。

例えば、この連結純利益の拡大は海外子会社の業績が好調というのが主要因で
あり、企業グループの核を成す日本の本社は実は赤字であるというケースも多々
あります。このような場合、設備投資も日本の国外で行われ、又、日本の税収も
増える事なく、財政再建にも寄与しません(海外子会社から即座に本社に配当を
引いてくれば別ですが)。

まぁ、何はともあれ、疲弊しきってしまった日本経済においては、先ずはマインドの
アップが一番のクスリですね。  【編】

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■用語解説:「ダム理論」
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(2000年の幣誌記事より)
別に誰が名付けたわけではないのですが、日銀が景気の動き、とりわけ「企業所得
と家計所得」との関係を捉える時に、ダムの水位と下流への放流の関係に喩えなが
ら議論する事があります。つまり「ダムの水位の上昇、すなわち企業収益の増加が
明確になるならば、下流への実際の放流、すなわち家計所得の増加、ひいては消
費の増加に繋がっていく可能性が高まる(日銀HPより)」という関係です。   【編】






2004年03月28日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.03.21
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   ラスト・ワン・マイル〜デフレ脱却の出口まで
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42.195キロを走り抜くマラソン、「ラスト・ワン・マイル」が最も苦しいところです。
決して最後まで予断を許しませんし、先日の女子マラソンのオリンピック選考にお
いても、ここを制する事が出来たか否かで明暗がくっきりと分かれるものとなりま
した。

先日16日の日銀総裁の会見。「デフレという長いトンネルの出口に近付いたとい
う実感はあるのか」という記者の問いに対して、以下のように「ラスト・ワン・マイル」
という表現を用いて答えています。

「日本銀行としては、デフレ克服というのは実体経済の持続的な成長軌道への復
帰ということと一体でなければ実現できないと思っている。また、実体経済の持続
的な成長軌道への復帰ということは、経済の構造改革、特に民間部門の経営上
の構造改革がしっかり伴い、経済が新しい付加価値創造力を身に付けながら前
進できる状況まで持っていくということが一番大事であり、それとともにデフレ脱却
の道というものも次第に開けてくると思っている。−−−−(中略)−−−−
しかし、物価面の動向は、先程お話したとおり、川上段階の物価が上がっても川
下段階の物価への波及は世界経済全体としても過去のパターンに比べれば遅
れるという変化がある。また、日本経済の場合には、おそらく他の先進国よりも大
きな需給ギャップを解消するという宿題を引きずりながら動いているということも
あるので、消費者物価指数が──特殊要因とか一時的な要因を含んでいるとは
いえ──、ゼロ近傍まできていると、数字の上では残りの距離が短いように見え
るが、私自身は、まだ残りの距離──ラスト・ワン・マイル──を本当に克服しき
るまでには、相当な苦労がいると覚悟している。かたちの上ではデフレをコーナー
に追い込んだように見えていても、決して手を緩めるわけにはいかない。現在の
緩和姿勢を断固続けるという作戦で臨みたいと思っている。 」

                     ・    ・     ・

確かに足元の景気は緩やかに回復していますが、先行きについては、国内景気
を支えてきた外需拡大効果が一巡する(例えば、夏場以降の米国減税効果の剥
落等により)との懸念が強く、慎重な姿勢は崩せません。

また、物価についても、原材料価格の上昇・商品市況高騰により企業物価指数は
強含み傾向にありますが、この川上段階の物価が川下段階の物価である消費者
物価指数に直ちに波及していく可能性は以下の点を考えると極めて限定的です。

(1)消費者物価指数のウェイトの大半はサービス価格が占め、そのサービス価格
   を決定付ける労働コストは抑制され、インフレ圧力を相当程度吸収すると思わ
   れること
(2)家計部門が疲弊するなか(15日に日銀より発表されたデータを見ると、2003
   年1年を通じて現行統計開始以来、家計部門がはじめて資金不足に陥ったこ
   とが明らかになっています)、原材料価格の上昇を消費者向けの価格に転嫁
   するのは極めて難しい状況にあること、
(3)実際、新型のパソコンやデジタル家電等、一部の新製品については高い価格
   でも好調な販売がなされているが、その裏で多くの製品、すなわち、既存品の
   値下がりは激しい状況にあること、等々

かかる状況を勘案すると、川上物価が川下物価へ波及する迄は当面時間を要す
るものと思われ、この時間的距離「リードタイム」の長さを企業が乗り越えていく事
ができるかというところについて、「ラスト・ワン・マイル」とはいえ、注意深く見極めて
いかねばならない段階にあると言えるでしょう。 【編】


「JAPAN ECONOMIC REPORT編集部 Copyright(C), 1998-2001」
URL<http://www.jerep.com/>






2004年03月21日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.03.14
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     ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)
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政府がここ最近力を入れている従来とはちょっと変わった景気浮揚策のお話でも。

先月より、国際線の日本到着便の機内や海外でのテレビコマーシャルで、小泉総
理自らが出演して「ようこそ!ジャパン」と呼びかける訪日観光プロモーションが放
映されています。名付けて「ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)」−−02年の
訪日外国人は約524万人、これを政府(国土交通省)は2010年に1千万人に増
やそうというキャンペーンを始めているのです。

日本人の海外渡航者数は02年に1千6百万人強(最も昨年はサーズ等の影響で
1千3百万人に落ちたと言われてます)ですから、日本は観光資源を豊富に有して
いるにも拘わらず、現時点では訪日者数が相対的に極めて少ない状況となってい
ます。

このキャンペーンの成功のカギを握っているのが中国です。03年の中国からの
出国者数は2020万人に達しますが、その内、日本へは50万人強ですし、観光
旅行は僅か。中国人の観光ビザが認められて数年、その間わずか8万3千人強
です(一方、日本人の中国への渡航者数は300万人を越えています)。

日本より中国への渡航者数は更に加速するでしょうし、3千万、4千万人もそう遠く
ではないでしょう。その10パーセントでも取り込めれば達成できるのです。

問題は何かと申しますと、旅行会社が限定されているという点とビザ取得の難しさ
並びに旅行費用の問題です。現在、中国人の日本への旅行を取扱える旅行会社
は日中とも限られた業者しか出来ません。日本へのビザも厳格で諸条件をつけら
れ、入管では厳しくチェックされます。

又、旅行者は1人約65万円の保証金を納めなければビザが下りませんし、出発
3週間も前に手続を始めないと間に合いません。旅行会社を限定したり、ビザの
取得が厳しいのは旅行中の失踪や不法滞在者の問題を抱えているからです。

指定業者が限られているため競争原理がない上に旅行先の日本の物価自体が
中国に比して高い為、旅行費用が異常に高くなってしまうのです。例えば、中国
から欧州ツアーは約13万円であり、日本への旅行費用とほぼ同額で販売されて
います。また、隣国韓国へは4、5万円ですから日本への観光旅行費用は格段と
高いのです。

日本への旅行を希望する中国人の方は大勢おります。ビザ拡大と失踪問題、不
法滞在との兼ね合いをどう折り合いをつけるかがこのキャンペーンの成否を握っ
ているのです。国交省と法務省との折り合いでいずれかは緩和されることでしょう。

さて、中国の観光客を取扱うことができれば、当分の間は安定的な旅行業経営が
できるのですが、挑戦してみようという方はいますでしょうか?  【DJ】


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2004年03月14日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.03.07
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         企業間格差に小さな変化
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財務省より発表された2月景気予測調査。業況判断BSIは、全般的には緩やかな
景気回復を示唆する内容となりました。このうち、大企業製造業は前回よりも悪化、
大企業非製造業並びに中小企業については順調に改善、即ち、従来より肝となっ
ていた「大企業と中小企業の格差」が縮小してきております。

同じく財務省より発表された昨年10−12月。こちらも収益面における製造業の失
速と非製造業の加速という現象が見られ、「製造業と非製造業の格差」の縮小を
示唆するものとなっております。製造業については、リストラ効果の剥落と原材料
価格の上昇により、収益が押し下げられた格好です。

「格差縮小」へと転じたとは言え、絶対的水準で考えるとその格差は今なお大きい
状況ではありますが、この小さな変化は従来の景気回復局面には見られなかっ
たものですから、注意深くウォッチしていった方が良さそうです。   【編】


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2004年02月29日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.02.22
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     景気、ピークアウトか持続的回復局面か
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10−12月の実質GDP成長率は前期比1.7%増、同年率換算7.0%増と8期連
続のプラス成長を示す形となりました。公共投資の寄与度が小さくなる一方で、個
人消費や設備投資が堅調。民需主導型の景気回復への道を進んでいるようには
見えます。

しかし、マーケットは反応せず。GDP成長率の発表は織り込み済みというところか、
或いは、90年代以降の回復局面において成長率が前期比年率で5%近傍に達し
た時に景気のピークを迎えるケースが多かったという経験則からか。−−

後講釈はいかようにでもできるわけですが、われわれ庶民の視点からみれば景気
回復のダイナミズムをとても感じる事が出来ないというところでしょう。

膠着相場の中でターニングポイントとなり得る直近の景気指標として注目すべきは
、3月の短観でしょう(発表は4月1日ともう少し先の話となりますが)。

特に、現在の循環的景気回復がピークアウトにあるのか、或いは、持続的景気回
復局面に有るのかという点において、大企業製造業業況判断DIの3月実績と6月
見通しの数字に着目したいところです(この大企業製造業業況判断DIのピークは
景気の山と一致する傾向が強い為)。ちなみに、日銀短観に類似する指標として、
「法人企業動向調査」なる景気指標がありますが、直近の同調査においては、DI
のピークアウトが示唆されている点も気になるところです。

そう考えると、3月中は膠着相場が継続、為替の動向も注目すべき点ですが、こ
ちらもドル買い介入警戒感と双子の赤字を背景としたドル安圧力との睨み合いで
大きく動きそうな感じでもなさそうです。「休むも相場」・・。    【編】

====================================
■用語解説:年率換算
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読者の方から以下のような質問を受けました。

「経済成長率が7%代とのことですが、設備投資、個人消費が回復しない現在、我
々地方の者は全く信じられません。そもそもGDPの算出は誰がどのようにしている
のでしょうか?以前聞いたことがあるのですが、国内総生産を算出することは不可
能なので、国内総支出で算出するのだとのことですが、本当でしょうか?具体的に
教えてください。」

この質問における「7%」というのは上記コラムにもある通り「年率換算」の数字。
この数字はこのコンセプトを理解すれば分かると思いますが、非常にブレやすい数
字なので、実体経済との乖離を感じる事も多々あります。今回は、この「年率換算」
について説明したいと思います。

                     ・       ・       ・

GDP統計が発表される時に「年率換算で」とか「瞬間風速で」という言葉を新聞等
で目にするでしょう。これらは、四半期毎の増加率を年間の増加率に引き直したも
ので、以下の式で算出されます。

「{(当期のGDP÷前期のGDP)×(当期のGDP÷前期のGDP)×(当期のGDP
÷前期のGDP)×(当期のGDP÷前期のGDP)−1}×100(単位%)」(つまり、
今回の10−12月期GDPでは前期比1.7%ですから、1.017を4乗して1を差け
ば「7%」となるわけです)

「当期のGDP÷前期のGDP」というのは「前期比でどのくらい伸びたか」という事
ですから、結局「前期比ベースで当期と同じ伸びが、仮に四半期連続で続いたら
、一年間でどのくらいの伸びになるか」という事を表したものとなります。

あくまで「仮定」の数字ですから、例えば今回の10−12月期GDPのように、年率
換算7%と、かなりのプラス幅の数字が見出しに出ていても、あまり驚かないで、
冷静に見る必要があるでしょう。  【編】






2004年02月22日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.02.15
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            川上物価の上昇
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1月の国内企業物価指数(速報値)は、前年同月比横ばい、前月比で+0.1%
上昇。前年比での下落が止まったのは3 年5 カ月ぶり、又、前月比では3カ月連
続の上昇となりました。この要因としては、(1)海外需要の増加、(2)デジタル景
気(薄型テレビの需要増加により非鉄金属価格が上昇)、(3)在庫率の低下、(4)
コメの不作、BSEの発生(特にこの要因が大きい)等が挙げられています。

この企業物価の値上がりが、デフレ終焉につながっていく為には、企業が原材料
価格の上昇を川下の消費者向けの価格にスムーズ且つ十分に転嫁することが出
来るかどぅかとぃぅところがポイントとなりますが、需給バランスが崩れ、企業が価
格設定の主導権を失ってしまっている中、なかなかそういう訳にはいきません。
96年や2000年にも、循環的な回復を受けて原材料価格が上昇した事がありま
すが、消費者向け価格への転嫁はほとんど進まず、結果として、企業業績悪化、
さらにはこれがリストラ(労働コスト低下、家計収入悪化、消費低迷)という悪循環
となって跳ね返ってきています。

上述した今回の企業物価指数の要因4つを更に簡便化すると、(1)各国がケイ
ンズ政策発動した事によりもたらされた世界景気回復、(2)コメの不作、BSE等
の特殊要因による相対的な需要拡大に大別できるかと思いますが、(1)につい
ては、財政出動に限度がある事、(2)については、最終需要の絶対的な伸びに
起因するものではない事等から、何れこの要因は剥落するものと思われます。
川上で物価が上昇したとはいえ、デフレ脱却への道のりはまだまだでしょう。【編】






2004年02月15日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.02.09
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       外国為替証拠金取引と業者選定
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最近、国民センターをはじめとする各地の消費生活センターには、外国為替証拠金
取引に関する相談が急増しております。2000年度には28件であった相談件数が
2002年度には724件に達し、さらに2003年度の上期においても前年同期比2倍
の勢いで増加傾向が続いているようです。

同取引は98年4月の外為法改正を機に取扱われ始めたもので、国内の低金利が
続く中、外貨の資産運用方法の一つとして個人投資家を中心に注目されているも
のですが、もともと規制改革の流れの中で生まれたこの取引は、監督官庁が明確
ではなく、直接規制する法律も存在していない為、取扱業者のコンプライアンス(法
令遵守)姿勢に依存せざるをえないという点が問題点として議論されてきました。
(このような背景を受けて金融庁は昨年12月2日に証券会社におけるガイドライン
を一部改正し、又、金融商品販売法施行令の改正も検討している状況で、投資家
保護の法整備も進捗してきている状況ではあります。)

相談事例の中で特に看過できない事例として、年金等で生計を立てている高齢者
からの相談。営業員の甘い言葉を信じて「虎の子」の資金を預けたものの、元本
の大半を失ったという相談も珍しくないようです。(以上、「国民生活センター」公表
資料等による)

では、この取引が個人投資家にとって「不条理な取引」であるかというと、決してそ
のような事はありません。市場原理に沿った極めてリーズナブルな取引形態であ
り、知識・経験豊富な個人投資家にとっては「よくぞ規制緩和してくれた」という非
常に有り難い運用ツールの一つと言っても過言ではないでしょう。従い、従来あま
り興味・関心が無かった方にとっても、「仕組みを知っておく」という事は非常に意
味のある事と思います。

上記を踏まえ、皆さんが業者を選定する際は以下のポイントを最低限おさえておく
のがよいでしょう。

●取引の仕組みをきっちりと知ること。人に頼らず判断できる迄理解すること。
 取引の仕組みを知れば、取引コストも自ずと理解できます。従い、「投資家の育
成」「知識の伝授」に真摯に取り組んでいる業者とつきあうこと。

●信頼できる業者は限られており、一般に推薦されている業者と取引を行うこと。
 決して電話勧誘に重点を置くような会社とは取引を行わないこと。ホームページ
 等で自社のコンプライアンス体制・投資勧誘方針等がきちんと開示されている業
 者と取引を行うこと。   【編】






2004年02月01日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.01.25
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         道のり険しい「改革と展望」
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経済財政諮問会議は16日の会合で「構造改革と経済財政の中期的展望(通称「改
革と展望」)」の2003年度の改訂案を正式に決定。これを受けて政府は19日に閣
議決定をしました。この「改革と展望」は2004年度以降5年間の経済運営を行って
いく上での指針となるものとなります。

さて、この「改革と展望」の中で、2005年度以降の実質成長率について平均2%成
長が続く見通しとありますが、現状の成長率の推移を勘案すれば、達成するにはか
なり厳しい数字と思われます。特に、「財政再建」が至上命題となっている現状にお
いては公的需要(公共事業等による)寄与度はマイナスとならざるを得ない筈であり
、これを乗り越え上記の成長率を達成するには、設備投資や個人投資が相当に回
復してくる必要があります。

また、あらためて実感してしまうのは、プライマリーバランス(国と地方とを合わせた
財政の基礎的収支)の黒字転化への道のりは険しいなぁという事。財政収支が黒字
へと転化するのは今後10年も先。そして、この時点においても、借金を除いた歳入
(税収等)で、借金の返済を除く歳出を工面できるに過ぎず、利息負担を考えると国
債残高が減るというものでもありません。プライマリーバランスの均衡というのが政
府の目標とはされてはおりますが、この目標を達成して初めて財政再建のスタート
ラインを切る事ができるというものに過ぎないのです。

大胆な規制緩和、税制改革、持続可能性の高い社会保障改革、抜本的な少子化対
策、こんな事を華麗にできればよいのですが、様々な利害関係者を抱える日本株式
会社の改革は困難を極めると思われます。  【編】





2004年01月25日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   04.01.12
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           感動市場拡大の予兆
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先月15日に公表された野村総研調査による生活者1万人アンケート。3年に1度の
頻度で実施されているもので、なかなか興味深いデータも多々含まれているのでこ
こに紹介しましょう。

まず、この3年間に日本人の生活価値観が大きく変わっているのが今回調査結果
の特徴の一つ。

前回調査では今後の生活設計で「今以上の収入を前提としている」が多数派を占
めていましたが、これが「今よりも少ない収入を前提としている」が多数派となり、
右肩下がりの生活設計が当たり前の状態になりつつある事がみてとれます。

一方、消費価値感に焦点を当てると、前回調査時に顕著であった「とにかく安いも
のを」という意識は弱まり、自らのライフスタイルや個性を重視したこだわりの消費
を積極的に行っていこうという姿勢が見られます。

今後の消費動向を占う上での注目の的(?)は「団塊の世代」。(1)住宅ローンから
の解放、(2)教育費負担からの解放、(3)退職金の獲得等々の要因により世帯年
収がピークで貯蓄額も大きくなる時期。徐々に貯蓄志向は弱まり、旅行に消費を振
り向けようとする意識が急激に高まっています。新しい「感動」を求めてというところ
でしょうか。

                    ・       ・       ・

さて、「感動」といえば、三菱総研より先月17日「2003年の感動に関するアンケート」
の調査結果(有効回答数17,400名)が公表されました。

調査結果によると、「もっと感動するために意識的に行っていること」があると答えた
のは38.6%。中高年ほどこの「感動探し」志向が高まり、60代では57.6%に達
します。「感動探し」の内容は50〜60代は「旅行に行く」がナンバー1。団塊の世代
への「感動」ビジネスの市場規模は今後大きく拡大していく事でしょう。

ちなみに、30〜40代の「感動探し」の内容として最上位にあるのは、「良好な家族
関係の維持」。子供を育てること、暖かい家庭を築くこと、これは大事。父親として
気持ちよく分かります。

そして、10代〜20代の「感動探し」最上位は「映画を見る」との結果。かなり受動的
な「感動探し」だなぁ、「旅に出る」とか「新しいスポーツにチャレンジ」とか、そんなも
のではないようです。これが今どきの若者なのか。。。フォローすると、「知識を増や
す、勉強をする」というのが同世代の「感動探し」の内容の第二位。堅実でもあるん
ですね。  【編】


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2004年01月01日

           JAPAN ECONOMIC REPORT
                   03.12.23
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          数字合わせの年金改革
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平成16年の年金財政再計算にあわせて実施される次期年金改革の骨格が17日
決定。総選挙の最大の焦点であったものではありますが、結局は5年毎の年金制
度改革と同様に「年金不信」を払拭し、「持続可能で安定的なものとする」という当
初の目的には程遠い結果となったと言わざるを得ないものとなりました。


先ず、保険料については、現行総報酬の13.58%(労使折半)となっている厚生年
金保険料率は、来年10月より毎年0.354%ずつ引上げられ、平成29年度に18.
35%で固定されます。健康保険料や介護保険料等も加えるとかなりの率まで負担
が高まる事となりますが、かかる負担率で個人・企業ともにやっていく事が可能なの
かの分析は見られず、数字合わせが先行した感は否めません。

次に、厚生年金の給付水準は、少なくとも現役世代の平均的収入の50%以上を確
保するという形となります。つまり、現在の給付水準は59.4%でモデル年金額が2
3.8万円(夫が厚生年金に40年加入し、妻が専業主婦の場合)ですが、これが約
20万円迄減額されることとなります。この試算にあたっては、現行の人口推計や3.
2%という年金積立金の運用利回り等を前提に行われているようですが、先々本当
にこの前提でよいのかという検証が十分にされているという感じは無く、ここも数字
合わせが先行しているような気がします。

そして、国庫負担割合を現在の3分の1から2分の1迄引上げる予定となっておりま
す。しかし、この財源問題については依然玉虫色。「消費税」という言葉がかろうじて
盛り込まれましたが、この消費税の見直しを含む抜本的な税制改革は07年度をメ
ドに検討ですから、言い換えれば「問題先送り」という事です。

選挙後短い時間でとりまとめなければならなかったとはいえ、数字合わせに終始し、
「理念」無き小手先の改革案となっているのは、残念なことではあります。 【編】


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