| 3式中戦車(チヌ) 97式中戦車の最終発展型が、この3式中戦車である。
1式中戦車からの改良点は、この異常に巨大な砲塔に搭載された3式75mm戦車砲U型である。これにより、漸く重大な懸案であったM4シャーマン75mm砲型とカタログスペック上は、ほぼ同じ火力を持つ事となったのである。
しかし、実際にはM4シャーマンに大きく劣る性能しか発揮できない代物であった。
まず、最大の欠点であったのが、急ごしらえの戦車であったことである。本来はより大型で強力な4式中戦車、ドイツのタイガーT型に匹敵する可能性があった5式中戦車などを生産するはずであったのが、これらの開発の遅れのため様々な不具合に目をつぶって制式化された代物なのである。
よって、足回りの脆弱さ、電気系統の欠陥等、道具としての完成度が著しく低かったのである。
はっきりいえばまともに動かせない戦車であったといえよう。
更に装甲も僅か50mm程しかなくM4シャーマンに1500mm先から打抜かれてしまうものであった。
一番の問題点は、折角の75mm砲も威力不足であったことであり、M4シャーマンの正面装甲を打抜くためには、100mまで近付かなければならないのである。
しかも、生産開始が1944年頃からの生産で鉄など資源が枯渇し、終戦までに150輌程しか生産できず、本土決戦にさえ間に合わなかった。
だが、もっと余裕のある時期、いわば開戦前に開発していれば、もう少し使えたのではないだろうか。
1941年当時、ドイツ軍は、75mm砲装備のソ連軍T34中戦車に苦戦しており、これらの情報は入手していたと思われるのである。
そして、生産開発に必要な要素は全て開戦前には揃っていたのある。
主砲の3式75mm戦車砲は、実は90式野砲という1931年には生産が始まっていたものであり、
しかも、上記で述べた威力不足の大きな原因は、旧式の砲弾によるものもあり、新型徹甲弾及び成形炸薬弾(旧軍では対戦車弾、略してタ弾と称していた)をしっかり造って入ればM4シャーマンまでは何とかなったと思われる。
重量増による機動力の低下については、まだ100式ディーゼルエンジンが完成していなかったものの、当面97式の170hpエンジンを使用して急場をしのぐ事で対応すれば良かったのである。
まさに、軍参謀本部の先見性がなさ、漫然と成行きに任せ戦争を始めた事実を象徴しているような戦車である。
そして、できるのにやらないという弊害は現在にも通じるものがあるのではないだろうか。
なお、学研より「帝国陸軍
戦車と砲戦車」という本が発行され、ここに211号車以降は本来の3式中戦車の砲塔に直接5式7糎半戦車砲(5式戦車と同じ砲)に換装されることとなっていた。
この砲が装備されれば、火力だけならM4シャーマンまでは充分対抗できたであろう。
しかし、実際には、200両にも満たない3式中戦車の生産量と高射砲としての4式7糎半高射砲の生産量を考えると、実現は困難であったであろう。
諸元
重量:全備重量18.8t
乗員5名
寸法:全長5.73m、全幅2.33m 全高2.61m 最低部地上高0.40m 履帯幅0.33m 砲塔リング径1.70m
エンジン:統制型100式V型12気筒空冷ディーゼル240馬力/2000rpm
装甲:(車体)前面50mm、側面25〜20mm、後面20mm (砲塔)前面50mm、側面20mm、後面25mm
武装:三式75mm戦車砲*1 九七式車載重機*1
最大速度:39km/h
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