公演/日付/会場
感 想
パンドラの鐘
99/12/15
シアターコクーン
「パンドラの鐘」は脚本の出来が良いだけに後から観る方が不利というか、
新鮮味に欠けてしまうのではないかと思っていたのですが、要らぬ心配でした。
ストーリーの展開は分かっていても、なお、グイグイと引き寄せられます。
特に後半の迫力には絶句。演出もさることながら大竹・勝村両氏の熱演にも
拍手を送りたいですね。
会場の「涙」は、野田版の比ではありませんでした。
ただ、それだけに感傷にどっぷり浸ってしまって、平成11年を生きる日本人へ
メッセージ突き付けるという点がちょっと弱まっているような気も....。
いずれにせよ、どちらが良いとかいう話ではなくて、つくづく「両方観て良かった」
と感じました。
パンドラの鐘
99/12/08
世田谷パブリック劇場
野田秀樹と蜷川幸雄のジョイント企画ということで話題の「パンドラの鐘」ですが、
私は野田演出版を先に観ました。
とても良くできた脚本で、本流となるストーリーは言うまでもないことですが、
開演前に流れている音楽から些細な台詞にいたるまで、
きちんと意味づけされていることに感心させられます。
同時に、キャストのキャラクタを十分に活かした演出....私の今年のベストプレイは
これで決定かと思う一方....
さて、蜷川演出版ではどうなっているのか....とても楽しみです。
ウーマン・イン・ブラック
99/11/01
PARCO劇場
初日だったこともあってか、上川隆也ファンのお姉さま方に囲まれての観劇でした。(^^;)
さて、芝居の方は....前半は斉藤晴彦のちょっとコミカルな雰囲気や
上川隆也の爽やかな雰囲気を味わう余裕もありますが、
黒服の女が登場して以降はピリピリした緊張感に包まれて、
なかなかイイ感じのホラーになっております。特にカップルにはお奨めか?(^^;)
ラストにはいかにもモダンホラーの芝居ですといったオチがついていて、
劇場を出てからも恐怖感を持続(お持ち帰り)できます....
特に小さなお子様をお持ちの方は。
罠
99/10/13
PARCO劇場
失踪した妻が帰ってきた....と思ったら、「妻だ」と名乗る女は見たこともない別人だった....
それなのに身分証も周囲の証言もその女が「ダニエルの妻」ということを裏付けていた。
これはダニエルを陥れるための「罠」なのか....?
初めのうちはダニエル(大沢樹生)の大根な演技にどうなることかと思ったのですが、
脚本が良く出来ていて観る者を飽きさせません。
そのうち、ダニエルは次々に罠にハマっていき....ラストシーンでは
あっと驚く黒幕が判明して終わり....
と思ったら、最後の最後に大どんでん返しが待っていました。
「罠」にハマっていったのは主人公ではなく、我々観客だったのですね....
終わってみれば大沢樹生の大根な芝居も狙いだったのか....。
これまでのところ、今年観た芝居の中で1番の秀作。
短篇集
99/09/21
博品館劇場
大学教授もつとめる女流作家が、才能ある女子学生を見い出し育てていく。
師弟の関係にあった2人だが、やがて女子学生が才能を開花させるにしたがって
ライバルのような関係へと変化し、そして....。
追う者と追われる者の立場を交錯して見せる芝居の中に、
この世に生を受けた者の宿命でもある「老い」の哀しさが垣間見えます。
ありがちな芝居なんだけど、どこか心の底の方をちょっと揺さぶるようなエンディングは
圧倒的な「切なさ」を余韻に残します。
当初ノーチェックだった芝居なので、なんか良い拾いものをした感じ....
で、思わず☆も4つに....あっ、ちょっと甘いかな、限りなく4に近い3つにしておこう。(^^;)
明日に向かって
99/09/19
茨城県民文化センター
自殺志願者を思い止まらせるべく、「生きる」とは何か、「生きる」ためには
明日に向かってどうしたらいいのか....という大きなテーマに挑んだ作品でしたが、
いまひとつ説得力というか迫力を欠いてしまったような気が....。
劇団亀様にはここ2年いい作品を見せてもらっていたので、期待していたのですが
残念。
パートナー
99/09/09
紀伊国屋劇場
会社が倒産してしまったキャリアウーマンと夫と離婚した世間知らずな女性....
50代のおばさん2人が第2の人生として選んだ仕事は「結婚相談業」
というお話でしたが、最後まで感情移入しきれず....。(^^;)
いつでもどこでも誰とでも
99/09/02
シアタートップス
ある日突然、自分の彼と付き合っているという女たちが部屋に訪れて、
なんとその彼は実は妻子持ちだったと告げられる。
やがて女たちは、その彼への復讐をもくろむが....というお話。
作・演出がラサール石井ということで、女が男を懲らしめるドタバタコメディかと
思いきやさにあらず、コメディタッチながら今時の女性たちの気持ちが描かれていて
なかなかでした。
犬を使う女
99/08/19
シアターコクーン
まず、久々に「つかこうへい」を観たような気がしました。
主演のともさかりえ、本格的舞台は初めてということで頑張っていましたが、
うーんイマイチだったかな、誰かの真似っぽいというか、
他人に言われたままの動きというか....。まぁ、好き嫌いの問題なのかも。
オレアナ
99/08/18
PARCO劇場
大学教授と女学生のセクハラを描いた芝居ということでしたが、
人と人との「意志疎通の欠如」が招く悲劇といった感じ。
私にはジョン(長塚京三)=従来の社会通念、キャロル(永作博美)=現代の若者、
キャロルの言う「私たちのグループ」=カルト教団とした方が現在の日本にハマる
という気がしたのですが....。
やや唐突な感じの結末が、観客に衝撃と余韻を残して、なかなか良いです。
神宮外苑花火大会
99/08/10
神宮球場
昼間は雨が降っていましたが、私の普段の行いが良いおかげ(?)で、
夜は雨も上がって暑さも和らいだ花火日和。
浴衣、人混み、珠屋....そして、江戸前鮨をつまみながらの花火はいいですねぇ。
東儀秀樹ライブと武富士ダンサーズもよかったなぁ....。
D/J
99/06/30
青山円形劇場
松尾貴史に惹かれてなんとなく買ったチケット....もっと不条理な感じ、
あるいは重箱の隅をつつくような感じかと思ったのですが、素直に面白い芝居でした。
シチュエーションコメディのような展開の妙はなく話の流れは単調ですが、
矢継ぎ早に飛び交う台詞は、軽妙にして巧妙....ポップなコメディとして
完成度が高かったように思いました。
ART
99/06/15
サンシャイン劇場
それぞれ親友だと思っている3人の男たち。
その中の1人が1枚の絵画を買ったことから始まる「すれ違い」....やがて
男たちは3人の関係について本音で語りだす....。
すれ違い方が面白いからコメディということなのかもしれませんが、
人間関係の成り立ちを突き詰めていくと....そこには
「笑う」しかないような現実だけが残るのだとしたら
ちょっと怖い....なぁんて感じさせられました。
マトリョーシカ
99/05/12
PARCO劇場
当初、幸四郎・染五郎父子の「バイマイセルフ」を再演する予定だったけど、
新作にしたとのこと。
なるほど、設定は違うけど、全く「バイマイセルフ」を書き直したという印象。
もちろん今回の方が前より良くなっているんですけど、高麗屋+三谷幸喜なら
もっと面白いものができるはずと思ってしまうのは期待のし過ぎでしょうか?
温水夫妻
99/03/10
PARCO劇場
三谷幸喜久々の新作。出演者も唐沢寿明、角野卓造、戸田恵子、梶原善と強力です。
で....作品の内容ですが、昨年末の「アパッチ砦の攻防」のチラシに三谷氏は「ある評論家が三谷幸喜の芝居は笑えるが笑い以外には何も残らないと書いていた。コメディ作家にとってこれほどの賛辞があろうか。」という意味のことを書いていたのですが、今回の芝居を見ていて、やっぱり「笑い以外には何も残らない」と書かれたのは悔しかったのではないかと感じました。
本作にどんなメッセージが込められていたかは観てのお楽しみ。ただ、得意のシチュエーション・コメディというより小道具に頼った笑いが多かったのはちょっと不満。
第2章
99/02/11
PARCO劇場
本作は同じくPARCO劇場で公演された「ロマンティック・コメディ」(主演も今回と同じ浅野温子&西岡徳馬)の続編に当たる作品。
ロマンティック・コメディの出来がいまひとつだったのに対し、今回はなかなかの出来とお見受けしました。特に今回は浅野温子さんが良かった(前回は舞台初挑戦だった)。脚本も今回の方がはるかに感情移入し易くなっていました。
オペラ座の怪人/劇団四季
99/02/10
赤坂ミュージカル劇場
初めてオペラ座の怪人を観たのはロスでした。その後、日生劇場で四季のオペラ座の怪人を観て、今回が3回目。
ロスで観たときは当然すべて英語、観光旅行程度が精一杯の私の語学力ではすべてを理解することは出来ませんでしたがそれでも感動しました。日生劇場のときもそれなりに楽しめました。それに比べて今回は全然良くない....こんなのがロングラン?....という感じ。
四季は札幌JRシアターのコーラスラインが公演中止になりましたが、理由は不況のせいだけではないのでは....?
とにかく、ファントムの「嫉妬」や愛する女性を諦めざるを得ない「切なさ」が全く伝わってこない。
あのファントム(出演者表によれば青山明氏)はただ歌っていただけだ。「愛」など無かったのではないか....。
怒りを禁じ得ないのは、私が失恋の痛みを幾度となく味わっている故か?(^^;)
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