NO.41 アイシング・その1 応急処置(2002.6.8)

 さて、今回はアイシングについてです。アイシングですが、「応急処置」と「慢性障害・疲労回復」の2回に分けて取りあげたいと思います。今回は、試合や練習などで打撲、捻挫、突き指などのケガをしたときの応急処置について紹介します。次回は、いわゆる「試合後のアイシング」について取りあげます。

 

応急処置・RICE(ライス)について

 RICE(ライス)とは捻挫や打撲などの応急処置法のことです。「R.I.C.E」は下記の4つの応急処置の頭文字からとったものです。試合や練習などで、捻挫や打撲などのケガをしてしまったとき、以下の要領で応急処置を行うとよいそうです。

(1)est(安静)

 運動を中止して、ケガをした部分を固定し動かさないようにします。動かすと、血液循環がよくなって腫れや痛みが増したりします。ケガをしたらとにかく動かさないで安静にして下さい。

(2)Ice(冷却)

 ここでの処置がいわゆる「アイシング」と呼ばれるもので、RICEの中でも最も大切なポイントです。患部を冷やすことで血管を収縮させて炎症や内出血を抑えます。また、一種の麻酔効果が生じて、痛みを軽減します。

 また、実際に冷やし始める前に、患部を特定して下さい。例えば捻挫ならば、内側なのか外側なのか、どの靱帯なのかということです。部位を特定できたらその部分の中心を包み込むように、またできるだけアイスパック(氷嚢)が皮膚に密着するように当てます。

(3)Compression(圧迫)

 アイスパックをあてたら、その上から患部をバンデージ(スポーツ包帯)などを巻いて圧迫し、内出血や腫れが起こるのを抑えます。圧迫具合はきつすぎず、緩すぎずが大切です。

 腫れはケガをしてから5、6時間経った頃が最も激しくなるため、応急処置後も継続して圧迫し続けることが大切です。

 

(4)Elevation(挙上)

 患部を心臓より高い位置に挙げておきます。これは患部に流れる血液量を減らし、内出血や腫れを抑えるためです。足などをケガした場合はその患部の下に毛布やタオル、カバンなどを置いて心臓より高い位置に保って下さい。

 

 

 このようにRICEの応急処置を行ったら、そのまま約20分間程度、安静にして冷やして下さい。それで応急処置は一段落です。しかし、痛みや腫れが治まってもまたぶり返すので、ケガをしてから24〜72時間は断続的にアイシングをする必要があります。断続的にといってもどれくらいの間隔で冷やせばよいのかということになりますが、例えば2時間に1回というペースが目安になるようです。もちろん腫れや痛みが激しいときは、もっと間隔を短くして頻繁に行った方がよいそうです。

 また、ケガをしてアイシングをしている時は、お酒、お風呂(シャワーは可)、運動は厳禁です。いずれも血液循環が活発になり、患部の内出血を助長してしまいます。患部のマッサージなども同じ理由で控えた方がよいそうです。私は大学時代、柔道部の合宿でケガをしたままお酒を飲んだため、患部がぱんぱんに腫れて夜も眠れないほど痛い思いをしたことがあります。ケガをしたときは絶対に絶対にお酒を飲まないようにした方がいいですよ。

 

アイシングの極意は氷の温度 

 アイシングといっても、患部を冷やす冷却用具はたくさんあります。氷、湿布薬、コールドスプレー、コールドパック(ゲル状の冷却剤が入っているもの)などなど。では、この中でアイシングに一番理想的ものはどれでしょうか? 実は「氷」です。しかも0の氷水が最も優れているそうです。湿布薬は消炎鎮痛剤として役に立っても基本的に応急処置には向きません。またコールドスプレーも一時的な痛みを緩和するには役立ちますが皮膚の表面しか冷却できないのでこれもアイシングには不適切なようです。ではなぜ、0の氷がアイシングに最も適しているのでしょうか?

 実は0の氷が一番熱を奪う効率が高いからです。0の「氷」が0℃の「水」に変わるとき、つまり固体が液体に変わるときに非常に大きなエネルギーを必要とします。このエネルギーを融解熱といいますが、この融解熱が大きければ大きいほど周りの熱をたくさん奪い、その結果、冷却効果も高くなるというわけです。「氷の温度は冷たければ冷たいほどよい」というものではないのです。温度がマイナスの冷たすぎる氷は、冷却効果が0の氷より高いわけでもなく、逆に凍傷にかかったりするので気をつけて下さい。アイシングに使う氷は、0の氷、つまり溶けかけの氷か、あるいは水を混ぜた氷水状態のものがよいそうです。この状態の氷水では凍傷にかかることはありません。また、コールドパックなども使えますが、コールドパックは冷凍庫に入れたままにすると冷えすぎることがあるので気をつけて下さい。

 

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 ということで今回はアイシングについて取りあげました。アイシングなんて適当に冷やしておけばええやと思ってましたが、意外と奥が深いんですね。氷は冷えてるものほど効果的だと思いこんでましたが、まったく違いました。驚きです。次回は慢性障害や疲労回復のアイシングについて取りあげます。具体的には試合後の肩のアイシングなどについて調べたいと思っています。

 

 

参考文献:「スポーツアイシング」山本利春・吉永孝徳 著(大修館書店)

 

 

 

NO.42 アイシング・その2 運動後の処置(2002.6.29)

 今回は、運動後におこなわれるアイシングについて取りあげます。主に投球後のアイシングについて調べてみました。しかし、この分野ではまだはっきりわかっていないことも多くて、何が正解ということもないみたいです。とりあえず、現在一般的にいわれていることをまとめてみました。

 

運動後のアイシングについて

 運動により筋肉の収縮が繰り返されると筋肉が硬く緊張した状態になり、血行が悪くなって筋肉中に疲労物質(乳酸など)がたまります。また激しい運動により、筋肉繊維は小さな損傷を受けて炎症を起こしてます。運動後の筋肉はそういう状態にあります。運動後のクールダウンは、疲労物質を取り除いたり炎症を抑えるなど回復力を高める目的でおこなわれます。アイシングも、そのコンディショニングの一環として取り入れられているわけです。運動後のケアを怠っていると、知らず知らずのうちに筋肉の疲労が蓄積され、筋肉中の収縮力が弱まったり、筋肉本来の弾力性が失われたりして、結果的に肩やひじを痛める原因にもなります。

 

投球後のアイシング
効  果

▼炎症を抑える

 投球後の投手には、繰り返しておこなわれる投球動作によって関節内の腱や靱帯、その周辺の筋肉に微細な損傷を受けています。その損傷によって、炎症反応がおこっているわけです。損傷を受けた細胞は周囲の正常な細胞まで悪影響を及ぼし損傷の範囲を広げてしまいますが、アイシングをすることで細胞を一時的に冷凍保存状態にして損傷が広がることを防いでいるのです。

▼疲労回復

 アイシングのもう一つの効果は血行促進です。血行をよくして疲労物質を取り除き、疲労回復を図るわけです。運動後の筋肉には疲労物質である乳酸などが蓄積されている状態です。一度冷やすことで血管は収縮しますが、その後冷やすのをやめると、今度は収縮した血管がリバウンド効果で拡張し、血流がよくなって筋肉内に蓄積された疲労物質や老廃物を取り除いてくれます。その結果、疲労回復が早くなるというわけです。

 

方  法

 投球後のアイシングは、捻挫や打撲などのような急性障害ではないので、前回紹介した応急処置の4つの処置(安静-冷却-圧迫-挙上)は必要ありません。「冷却処置」、つまりアイシングするだけでかまいません。冷やす時間は、いろいろ意見があるようですが20分くらいでいいそうです。肩関節は非常に複雑にできていて、炎症も関節の深いところで起こっていることが多く患部を限定しにくいようです。したがって、肩のアイシングはピンポイントで冷やすことが難しく、痛みのあるところの周囲を広い範囲で冷やす方法が基本です。高校野球やプロ野球で登板後の投手が使っているアイシング専用のサポーターがありますが、それを利用すると便利です。アイシングをするタイミングですが、できるだけ運動直後におこなうのがいいそうです。が、これもまたいろいろ意見があって、別に運動直後でなくても効果があるという話も聞きました。このあたりのことはよくわからなかったのですが、家に帰ってからだと忘れそうなので、なるべく運動直後にやった方がいいかもしれません。とにかく大切なのは、早くても遅くても投げた後はきちんとアイシングをする習慣をつけるということですね。

 

投球後のクールダウン

 投球後のクールダウンですが、みなさんはどのようなクールダウンをしていますか? キャッチボールにストレッチ、ジョギングなど。最近はコンディショニングの一環として、これにアイシングを入れて総合的なクールダウンをしているようです。あまり詳しくはわからなかったのですが、クールダウンのキャッチボールをした後に20分ほどアイシングをします。そのあとに軽くジョギングなどをして体を温めてから、ストレッチという具合です。アイシングで一度冷やしてから、その後に温水やジョギングで温めることで血管のリバウンド効果を利用し、さらに血行をよくして疲労回復を図ろうということらしいです。この辺のことはちゃんと調べられなかったのでよくわからないのですが、大学時代、野球部の友達に、試合後は肩に冷水と温水を交互に浴びればいいと教えてもらったことがあるので、それも血管のリバウンド効果を狙った疲労回復の方法なのでしょう。クールダウンの流れですが、どれが正しい順番なのかというのは、いろんな意見があってまだちゃんとわかっていないみたいです。というわけで、このあたりの記述はあまり参考にしないで下さい。いつストレッチをしようが、ジョギングをしようが、アイシングをしようが、とにかく個人にあったクールダウンをみつけることが大切なのかもしれませんね。

 

 

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 今回と前回、2回に分けてアイシングについて調べましたが、コンディショニングという面でもう少し掘り下げて調べてみたかったです。結局今回も中途半端なものになってしまいました。アイシングについては、まだわかっていないことも多いみたいなので、厳密に言うと違うことを書いてるのかもしれませんが、ま、だいたいこんなものだと思って下さい。

 今回は投手のアイシングについて取りあげましたが、もちろん他の野手もアイシングをすることが大切です。故障を抱えているならなおさら毎回のアイシングが重要になってきます。私も「全力投球でないにしても、捕手は投手とほぼ同じ回数投げているのだからアイシングはした方がよい」と言われて昨年から試合後と練習後にアイシングを始めましたが、そのおかげか昨年1年は非常に肩の状態がよかったです。今年に入ってからアイシングを怠っていたため、今はまた慢性の肩痛に悩んでいます。個人的な意見ですが、やはりアイシングは習慣づけておいたほうがいいですよ。

 

参考文献:「スポーツアイシング」山本利春・吉永孝徳 著(大修館書店)

 

 

 

NO.43 野球心理テスト(2002.7.27)

 お待たせしました。野球占いにつづく第2弾「野球心理テスト」。あなたの普段の行動から、いろいろなことを分析してみましょう。かなり適当に書いてるので、信憑性は低いです。気楽に一喜一憂して下さい。

 

あなたは野球で出世できるか?

 以下の質問に答えて、下の診断表であなたの野球選手としての出世街道を診断しましょう。

  

質 問

 大事な決勝戦の前に、あなたは夜中に2時間も素振りをして備えました。ところが無理をしたため翌日に風邪をひき、試合では充分なプレーができず、散々な結果となりました。この悲惨な結果をあなたはどう考えますか? 以下の答えの中から最も当てはまるものを選んで下さい。

A. 不運だ。ついてない。

B. もともと実力がなかったから仕方ない。

C. 毎週の練習内容が悪い。もっと監督がいい指導をするべき。

D. 普段から努力をしていないから、急にがんばったところで無理。

E. 今日はたまたま相手も調子がよかったから仕方ない。次はいい結果が残せる。

診 断

Aと答えた人

何事もほどほどにというあなたは、自分一人で何かをしようとするのではなく周囲の人と協力して目的を達成するタイプ。自然と周りから頼りにされ、リーダーになっていく人物です。このまま順調にいけば、選手からヘッドコーチへ、そして監督、オーナーという出世街道が約束されます!

Bと答えた人

心優しいあなたは、他人を押しのけてまで出世しようという願望の少ないタイプ。実力があっても、最初からあきらめることが多いため、せっかくのチャンスを逃してしまうことも多いはず。このままでは万年2軍生活が待っています。もっと自信を持って意欲的に取り組めば、チャンスをものにできます。

Cと答えた人

ちょっと他力本願なところがあるあなたは、一番大切なところで人に頼ってしまいがち。まずは言葉だけでなく自分から積極的に行動をおこしましょう。また、やる気のあるときとないときの差が激しくムラがあるので、モチベーションを一定に保つ必要があります。もともとバイタリティーのある選手なので、バランスさえとれればチームを引っ張っていく中心選手になるでしょう。

Dと答えた人

合理的で責任感のあるあなたは、物事を現実的にとらえ与えられたことをきちんとこなすことができる仕事人タイプ。運に頼らず、努力によって結果を残せる人です。ただ、その誠実さから慎重になりすぎたり、固く考えすぎたりという部分があるので、一度スランプに陥るとなかなか復活できません。ある程度柔軟な考え方が、あなたの世界を広げてくれるはず。

Eと答えた人

好奇心旺盛で人付き合いも活発なあなたは、野球以外の趣味も多く、多方面で様々な才能を発揮できるタイプです。ただし、いろんなことに手を出しすぎて、自分の思っていた結果を出せないこともあります。まずは的を絞って、長期的な目標を立てて取り組むとよいでしょう。

 

あなたのバイタリティーは?

 今度はあなたの今のバイタリティーをチェックしましょう。以下の質問に「はい」と「時々ある」と「いいえ」で答えて下さい。すべて答えたら「はい」を3点、、「時々」を1点、「いいえ」を0点として合計点を出して下さい。

質 問

はい
時々
いいえ
1

 試合中、ベンチで座る場所がないときは10cmの隙間でも無理矢理つめてもらって座る

 

 

 

2

 占いで「凶」と出た日はあまり出歩かない

 

 

 

3

 メンバーが新しいグラブを買ったら、デザインやメーカーよりも値段が気になる

 

 

 

4

 テレビでCMに入るとすぐにチャンネルを変える

 

 

 

5

 グラウンドに異性がいても平気で着替えられる

 

 

 

6

 街で人だかりができていてでも、見に行こうとは思わない

 

 

 

7

 いま履いているスパイクは外側がすり減っている

 

 

 

診 断

合計が21〜18点の人

実年齢は若くても、精神的にはかなり老化現象が進んでいます。いまのあなたは、新しいことにチャレンジしたり、冒険しようという意欲があまりおこりません。小さな障害でも乗り越えようという気力が感じられず、このままいくと即引退の危機がせまっています。今すぐ若い子に混じって千本ノックを受けて、心と体をリセットして下さい。

合計が17〜8点の人

ちょっと疲れ気味のあなたは、普段若々しく振る舞っていても、時折オバサンくさいところが見え隠れしています。グチっぽくなったり、お金のことで急にシビアになったり、他人の目を気にしなくなってきたら要注意!若さをアピールするために、まずは形から入ることが大切。今度の練習は、中学・高校生の時のセーラー服で出かけて下さい。

合計が7〜0点の人

あなたは若さに満ちあふれ、毎日のびのびと楽しい時間を過ごしているはずです。何事にも積極的で、スポーツはもちろん、学校や会社でも意欲的に取り組めます。ただしそのやる気や自信が過剰に発揮されすぎて場外ホームラン気味なことも多々あります。少しは落ち着きを持って周りと接することが必要です。あなたの近くにいる「人生に疲れ切ったおじさまたち」をじっくり観察してみて下さい。

 

好みのユニフォームの色は?

 あなたのチームのユニフォームは何色ですか? またあなたの好んで着るTシャツの色は何色ですか? 好みの色はその人の性格をも表すともいわれています。好みの色だけでその人の性格までわかるはずもないですが、ま、一度試しに下の表でチェックしてみて下さい。

 一般的に赤が好きな人は明るくて外向的な性格の持ち主だそうです。その他にも、楽天家、感情の表現がストレート、考えるよりまず行動、目立ちたがり屋、スポーツ好きという面も持っています。

 空想家で内気なタイプ。そして、よくあれこれ悩む性格です。また物質的なことや金銭的なことよりも、まず心の満足感を第一に求めていく人です。人を当てにしやすい一面もあります。

黄色

 行動力と冒険心があり、いつも現状に満足しない積極派。一度決心したことは必ず貫こうとする強い意志の持ち主ですが、ときどき欲求不満に悩まされたり、周りの人と意見を衝突させることもあります。

 現実家タイプ。愛情も細やかで社交性もあります。また、上下関係や義理人情を大切にするなど、保守的な考え方の持ち主でもあります。

 芸術家肌で、個性的なものを求める人が多く、平凡なことを嫌い、いつも周囲から注目されていたいと行った欲求が強い人です。ただし、飽きっぽくひとつのことを続けていくことが難しいこともあります。

ピンク

 思いやりのある愛情深い人で、困った人を見るとすぐ手を差し伸べたくなる博愛主義者。ロマンチックな人が多いようです。

 なかなか本心を表に出さないタイプ。他人に厳しく自分に甘い、という面もあります。表面的には服従する姿勢を見せながら、内心では反発しているというタイプ。男性が女性に白い服を着せたがる時は、今までの女性に失望しているときだそうですよ。

 

性格診断

 最後は性格診断です。こんなことで人類の性格を4分割にできるはずもありませんが、ちょっとした目安として興味のある方はお試し下さい。下の質問にそれぞれa〜dで答えて下さい。そしてaを8点、bを5点、cを3点、dを1点として合計点を算出して下さい。合計点が出たら下の診断表を見て下さい。

質 問

1 メンバー4人で慰安旅行に行くことにしました。あなたはどのタイプ?

 a. すぐにパンフレットを集める

 b. 旅行までに恋人ができたら断る

 c. 行きたいけど、人に任せる

 d. 後で断るつもりだが、とりあえず話を合わせておく

2 練習後に監督が冷たいかき氷をおごってくれます。たべるならどのシロップをかけますか?

 a. ブルーハワイ

 b. イチゴ

 c. レモン

 d. メロン

3 夏の練習では日焼けをしたくありません。あなたはどの対策をとりますか?

 a. 日陰のみを選んで瞬間移動で歩く

 b. 真っ白になるまで日焼け止めを塗る

 c. 帽子やかぶりものをかぶって日光をさえぎる

 d. 家にこもる

4 長期休暇で海外旅行にいくことにしました。あなたはどこに行きますか?

 a. 活動的な大都会ニューヨーク

 b. 香港でショッピング

 c. お洒落でハイセンスなパリ

 d. ハワイでのんびりリゾート

 

診 断

合計点が

6〜10点の人

 基本的に誠実で良心的な性格のあなたは、チームの中でもよく周りのことに気がついて行動を起こせる人です。また控えめで慎重なところもあり、何事があっても冷静に対処できる人物です。しかし消極的で繊細な部分も持ち合わせているあなたは、試合でのエラーをいつまでも気にしたり、ちょっとしたことでクヨクヨすることも多いはず。また辛いことがあってもあまり感情を表に出さないことがあり、一人で思い悩むこともしばしばあります。しかしあなたの優しい性格は周りの人も十分理解しています。あまり深く考えず、気楽に生きた方が周囲の人とバランスのよい人間関係を築けるでしょう。

合計点が

11〜17点の人

 あなたの性格は平均的な順応力、行動力を示していて、周囲の人とも素直に無理なく対応していけるタイプです。一見バランスのよい性格に見えるので、周りの人からはなんでもてきぱきとこなせる万能タイプの人間と見られがちですが、その反面、傷つきやすくもろい部分も持っています。見かけはタフでもその内面では弱いところがあり、顔には出しませんが深く悩んでいていることもあります。また、周囲の環境に影響されることも多く、まわりが暗い雰囲気だとそのままあなた自信も沈んでしまうということがあります。試合でチームが劣勢の時はもろに影響されてしまうので、うまく気持ちを切り替えていく方法を身につけるとよいでしょう。

合計点が

18〜24点の人

 いわゆる「気分屋さん」のあなたは、浮き沈みの激しい性格かもしれません。陽気で明るいときもあれば、急に落ち込んで暗くなってしまうこともあります。ときには自分で自分のことがよくわからなくなることもあります。その場の状況や気分によっても、別人のようにコロコロ変わることがあるため、へたをするとわがままな人と思われてしまいます。周囲の人を振り回すような態度をとっていると、いつか痛い目にあうので要注意。なるべく浮き沈みの差が少なくなるように心がけて下さい。

合計点が

25〜32点の人

 いつも明るくのんびりした性格のあなたは、「なんとかなるさ」という楽天家タイプ。思ったことはっきり口に出し、イヤなことはイヤ、いいことはいいと自分の感じるままを主張できる性格でもあります。このタイプの人が悩んだり苦しんだりすることはあまりありません。人見知りをしない社交的な面もあり、また常に新しいことに興味を持ってチャレンジしていく意欲も持っています。自由奔放な天才肌ではありますが、あまり一人で独走態勢にはいると、周囲から勝手なお調子者と思われることもあるので注意が必要です。

 

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 いかがだったでしょうか。参考書を片手にわりと真面目に書いてしまいました。性格判断といっても、人間はいくつもの性格の要素を併せ持っていて、「あなたはこういう性格」というふうに1つの枠に収めることはできないそうです。また、「自分はこういう性格だ」という思いこみや、「あなたはこういう人」という他人の評価をそのまま信じ込んでいることも多いそうです。性格というのは実にあやふやなもので、心理テストを受けた時の環境に影響されたり、日にちをおいてテストを実施すると違う結果が出たりということも多々あるようです。そういうことを考えると心理テストは自分の性格を知るというより、自分の心の状況を知る一つの目安にすぎないのかもしれませんね。そんなわけで、こういう素人作成の心理テストに翻弄されないようにお願いします。次回は夏の全国大会があるので、8月下旬頃に更新予定です。

 

参考文献:「おもしろ心理テスト」浅野八郎・著(日東書院)

 

 

 

 

 

 

NO.44 クイックモーション(2002.9.8)

 今年の全国大会でもたくさんいい投手を見ましたが、ちゃんとクイックモーションを使っている投手はそれほどたくさんは見かけませんでした。私が知らないだけかもしれませんが、女子野球でクイックを使っている投手は少ないように思います。また、女子野球では盗塁の成功率はほとんどが捕手の肩の強弱によると思うのですが、当然投手のクイックやけん制技術も関わってくると思います。そこで今回は投手の「クイックモーション」について基本的なことを取り上げてみました。

 

クイックモーションとは?

 投手の投げ方には、振りかぶって投げるワインドアップ、ランナーがいるときに振りかぶらずに投げるセットポジション、そしてセットポジションからより素早く投げるクイックモーションの3つがあります。
 クイックモーションはランナーに盗塁をさせないための投法です。セットポジションから素早くモーションを起こすことで、投手の投球動作にかかる時間を短くしてできるだけ捕手に早くボールを渡し盗塁を阻止したり、またクイック動作によりランナーのスタートを切りにくくしているのです。

 

技 術 

 クイックモーションは簡単に言うと、まず、左肩をセットしたときのままにして投球動作を開始し、踏み出す足を高くあげずに低く滑らすように出していきます。重要なのは、踏み出す足の使い方ですね。足を高くあげてるとランナーにスタートを切りやすくさせてしまいますし、なおかつ大きいモーションで投げている間に1〜2歩は多く走られてしまいます。盗塁においては1〜2歩の差がアウト・セーフを分けることになるので、クイックを使えるかどうかも重要になってきます。

 

 もう少しだけ詳しく説明すると、セットポジションで構えて踏み出す足をあげる瞬間に両膝をしめ、同時に少しだけ左肩を3塁方向へ入れます。イメージで言えば両膝の間にある空気をつかんで、キュッと内股になる感じだそうです。歩幅はやや小さめで滑るように出します。また、セットに入ったとき、親指が下で人さし指と中指が上にくるようにすればスムーズにテイクバックに入れるそうです。

 こうすることで、左足も自然と地面をするように運ばれ、また身体も開くことがないそうです。左肩が開かない分、ワインドアップの時とそれほど変わらない球威球速で投げられるそうです。

 つまり、大切なのはクイックモーションだからといって、やみくもに素早く投げてはいけないということですね。クイック投法といっても、きちんとしたフォームでなければ、身体が開いてしまって腕の力だけで投げてしまうことになります。これではコントロールも球威もつかず、逆に打たれてしまうというわけです。

   

 

クイックモーションの副産物

 クイックモーションは、ランナーに対してだけでなく、バッターに対しても有効な投法です。セットポジションの普通の投球フォームにタイミングを合わせているのに、急にクイックで投げられるとバッターはタイミングを取れずに振り遅れたりします。ただし、クイックではモーションが多少小さくなっているので球威が少し落ちると言われています。甘いところに行くと打たれる危険性も大きいので、投げるにはコントロールに細心の注意が必要です。

 このようにクイックは、ランナーやバッターを攻める重要なピッチング技術の1つです。ただし、クイックを使えるようになっても同じような投球テンポで投げていれば、ランナーに読まれて走られてしまいます。1球1球、間合いを長くしたり、牽制球を入れたり、クイックで投げたりしてランナーを走りにくくさせる必要があります。

 

 

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 と、いうわけで今回はクイックモーションについてとりあげました。投球練習の時にワイドアップ、セットポジションに加えてクイックモーションも練習してみてはいかがでしょうか。クイックモーション。これをマスターすれば一人前。うちの投手陣にはぜひとも読んでほしい記述なのですが、たぶん読んでないでしょうね…。そもそも、うちのチームの野球知識不足を解消しようとはじめたページなのにあんまり役に立ってないような気もしますね。強制的に読ませて感想文でも提出させますか。

 

参考文献:「21世紀の野球理論」デイリースポーツ社・編 他

 

 

 

 

NO.45 トレーニング(2002.10.5)

 最近はうちのチームの極々一部で密かにマッチョブーム。そんなわけで筋トレについて調べようと思ったのに、時間がなくてきちんとしたものが作れませんでした。今回はトレーニングの簡単な紹介という形にして、いつか筋トレについてはちゃんと調べてみたいと思います。

 

野球とトレーニング

 まず、野球をする上でなんでトレーニングをせなあかんねん、ということですね。どんなスポーツでもそうですが、基礎体力という土台があってこそ、技術や戦術というモノが活かされてきます。どんなに技術力ばかり磨く練習をしても、それにともなう肉体がないとスキルも上達しません。「より速く走る体」「より遠くへ投げる、より速く投げる体」「より遠くへ飛ばす体」があってこそ、技術力もアップするのです。また、トレーニングには「ケガの防止」のための目的もあります。野球では肩や肘など特定の部位を酷使するので、ケアと同時にトレーニングでその部位を強化する必要もあります。一流の選手になるためにはタフな体も必要と言うことですね。

 さて、「体力」というと、何時間も走っていられるような持久力的なモノをイメージしてしまいますが、他にも筋力や瞬発力、敏捷性などといったさまざまな要素があります。それでは野球をするときに必要となってくるのはどんな要素でしょうか? 

野球に必要なのは持久力? 瞬発力?

 野球に必要なのは、持久力でしょうか? それとも瞬発力でしょうか? 試合時間の長い野球では持久力が必要と思われがちですが、野球に必要なのは瞬発力です。試合時間が長いといっても、1時間や2時間ずっと動いているわけではありませんし、味方が攻撃の時はベンチで休むこともできます。投手に限っていえば、数イニング投げなければならないので持久力も必要ですが、野手の「投げる」「打つ」「捕る」「走る」という動作は、瞬発的動作になります。瞬発力とは、瞬間的に発揮される筋力で、「パワー(筋力)×スピード」という形で表現されたりします。中学時代にソフトをやっていた頃は、問答無用で1時間くらいランニングさせられたため、野球には持久力が必要なんだと思いこんでいましたが、実際必要なのは瞬発力のようです。確かに成長期は心肺機能が発達する時期なので、そういう意味で走り込みも効果があるのだそうですが、成長しきった今は、瞬発力を高めるなら何時間も走り込りこむよりも、目的の部位を筋トレによって鍛えた方が効果的ということですね。もちろん、走り込むのも必要だとは思いますが、やみくもに走るのではなくてちゃんと何を鍛えるのか目的を持って取り組んだ方がいいようです。

 

アウターマッスルとインナーマッスル

 野球には、筋トレも重要ということがわかっていただけたと思いますが、次に筋肉について少しだけ紹介します。
 筋肉は、インナーマッスルとアウターマッスルの2種類に分けられます。 アウターマッスルはインナーマッスルにかぶさる大きな筋肉で、体の表面にあり、大きな力を出せます。普段私たちが筋トレで鍛えている筋肉はこのアウターマッスルと呼ばれるものです。インナーマッスルとは体の深部に位置する小さな筋肉です。インナーマッスルの役割は関節の固定です。

↓ちょっと違うけど、こんな感じです。

 

 たとえば投球動作の時に腕は肩関節から離れようとする力が働きますが、それに対してインナーマッスルは肩関節に腕を引きつけておくために働きます。簡単に言えば肩と腕をつなぐ靱帯のような役割をしているわけですね。厳密には多少違うかもしれませんが、詳しく書くとかなり難しくなるので、ま、だいたいこんなものだと思ってください。
 これらのアウターマッスルとインナーマッスルのバランスが悪いと肩の故障の原因となります。筋トレといっても、アウターマッスルだけを鍛えていてはダメということですね。アウターマッスルと同時にインナーマッスルも鍛えて下さい。インナーマッスルのトレーニング方法はいろいろ専門書が出てるので、おこづかい出して買ってくださいね。 

筋トレは毎日しなくていい?

 最後に少しだけ、筋トレについて書いて今回は終わりにします。
 筋トレは毎日しなければいけないか、とうことですが、実は筋トレは2〜3日に1回行えばいいそうです。筋トレによって筋肉繊維が破壊されますが、筋肉はその破壊された筋肉繊維を再合成するときに、次にまた同じくらいの負荷がかかっても大丈夫なように、より強い筋肉を作ろうとします。その結果、筋肉がついて筋力もアップしていくわけですが(超回復)、筋肉繊維が再合成をするのには24〜72時間ほどが必要になります。鍛える部位によって、再合成にかかる時間は異なるのですが、だいたい2〜3日と考えていいそうです。毎日同じ部分を筋トレをしていると、筋肉繊維の再合成がうまくいかず、逆に疲労が蓄積して故障の原因になったりもします。すなわち、週に2、3回の割合で筋トレすればいいということですね。私は毎週日曜日がチームの練習なので、火曜日と金曜日に筋トレをしてました。そんな目安で試してみてはいかがでしょう。半年くらい続いたんですが、最近は忙しくてさっぱりやってません。おかげで腹がたるんできました。筋トレは継続してなんぼなので、一日20分の筋トレメニューでいいので続けてみてください。

 

 

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 今回は筋トレについて、ほんの一部だけ取り上げましたが、できたらもう少しマニアックなところまで調べたかったです。「うちのチームは成長してきているがいまひとつ何かが足りない」あるいは「技術的に伸び悩んでいる」・・・と思っているなら、いまさらですが筋トレを試みてはいかがでしょう。社会人チームでは毎日練習があるわけではないので、各自の日々の努力にかかるということになりますが、うちの連中はやれと言っても絶対しないでしょうね。そういえばうちの監督が昔から「基礎体力が大事」ということをいってましたが、我がチームの筋トレしてる一部のメンバーは、「腕のたるみをなくす」とか「体脂肪を減らす」とか「腹を引っ込める」という目的やってるので野球のための筋肉を鍛えているかどうかは「?」です。変に鍛えてすぎてムキムキマッチョになってるのが私を含めて何人かいます。みなさんは野球のための肉体改造をしてくださいね。

 

 

 

 

 

 

NO.46 盗塁(2002.11.30)

 誰も待ってないでしょうが、お待たせしました。なんとか今月中に更新できました。といっても、今回はこのホームページをたちあげる前に作っていたプリントのものを再利用しているので、ウチのメンバーはたぶん知っている内容です。うまいことデータが残っていて良かったです。今回はとりあえず、盗塁について基本的なことをまとめてます。

 

盗塁とリードについて

 ここではリードと盗塁について説明します。あなたがランナーのとき、ただなんとなくリードをするのではなく、ピッチャーをけん制して心理的な攻撃をしかけましょう。ランナーはピッチャーに自分の存在を意識させ、バッターへの集中力をなくすようにいろいろ動きます。ピッチャーはランナーを気にすることで、四球を出したり甘い球を投げたりします。ランナーの動きだけでも攻撃のチャンスを広げ、ピッチャーのリズムを崩すことができるわけです。ピッチャーがバッターだけでなくランナーとも勝負しなければならない状況をつくりましょう。

 

リードのとり方

 野球ではソフトボールと違って、ピッチャーが投げる前にリードが取れます。ピッチャーがセットポジションに入ったらベースを離れ数歩リードをとります。どのくらいリードをとればいいかは個人差がありますが、自信のない人はピッチャーからけん制球を投げられてもスライディングをせずにベースに戻れる距離がいいかもしれません。大切なのはいわゆる「2次リード」です(右図1)。ピッチャーが投球モーションをおこしたら(下図2を参照)さらに数歩のリードをとってください。これが2次リードです。簡単にいえば、ピッチャーが投げる前にまず1次リードをとり、投げたらさらに2次リードをとるということです。そして、ピッチャーの投げたボールがキャッチャーミットにおさまるのを見たらすぐにベースへ戻り、バッターが打てばそのまま進塁します。これがリードの一連の動きです。

<図1>

盗塁のスタートの切り方

 盗塁のスタートを切るタイミングはわかりますか? ソフトボールのようにピッチャーの手からボールが離れた瞬間にスタートを切ったのでは遅すぎます。ピッチャーが投球モーション(投球動作)に入る瞬間がスタートを切るタイミングです。「投球モーションに入る瞬間」とは図2のように、ピッチャーが投げるために左足をあげたその瞬間です。左足があがればそのままキャッチャーに向かってボールを投げます。
 つまり盗塁の一連の動作として、まず「リードのとり方」で述べたように、ピッチャーが投げる前(セットポジションのとき)に数歩リードをとり、左足があがった瞬間に盗塁のスタートを切るというわけです。逆に図3のように右足をあげてプレートをはずせば、ピッチャーはファーストへけん制してきます(プレートは見にくいので、はずす動作をすればけん制です)。ピッチャーの左肩が開いてもけん制をしてくるサインです。ただし、プレートをはずさなくてもできるけん制があるので気をつけて下さい。盗塁に慣れてきたら、それぞれのピッチャーのクセを盗んで走って下さい。たとえば2球連続でけん制をしない投手は、1回けん制球を投げた直後は自動的にスタートが切れます。間合いが長いときはけん制を入れてくるという投手もいます。投手のクセを見抜くのも盗塁を成功させるひとつの手段です。また、ここでは右ピッチャーの場合のスタートの切り方しか取り上げていませんが、左ピッチャーの場合のスタートの切り方はもっと複雑です。これはまた左投手に多いクセも含めて、機会があればいつか取り上げたいと思います。

<図2>
<図3>

投球モーションに入る瞬間。すなわち盗塁のスタートを切る瞬間。

牽制球を投げてくる場合の投手の動き。

 
ウォーキングリード

 ここではもう一つのリード、ウォーキングリードについて説明します。はじめは走る気がない(盗塁する気がない)と見せかけて、ベースの近くにいます(図4)。そしてピッチャーが警戒を解いてランナーを見なくなったら、ピッチャーが投げる前(投球モーションに入る前)に気づかれないようにスルスルと歩きながらベースを離れます。そしてピッチャーが投球モーションに入ったら(上図2のようにピッチャーが足をあげた瞬間)、そのまま盗塁のスタートを切ります(図5)。歩きながらスタートを切るので加速をつけやすいのが特徴です。でもあまりやりすぎると「走る気はないと見せかけてもあいつは走る!」とバレるので、ブラックリストに載らない程度に使ってください。

 1塁から2塁への盗塁に慣れてきたら、2塁から3塁への盗塁(三盗)にも挑戦してみましょう。三盗はキャッチャーからサードに送球 する距離が短いので、なかなかセーフになりません。ショート・セカンドの動き、サードの守備位置、ピッチャーのけん制などに気をつけて盗塁をねらってみてください。盗塁に必要なのは、技術はもちろんですが、それ以上に「思い切りの良さ」です。勇気を持ってどんどん走りましょう。

<図4>

<図5>

 

フェイントで揺さぶれ!

 これは1塁ランナーがバッテリーにプレッシャーをかけるときに使います。まず、盗塁をする勢いでスタートを切りますが、スタートを切るフリをするだけで1、2歩走ったところで止まります。実際には盗塁せず、スタートだけのフェイクでバッテリーや内野手に揺さぶりをかけるわけです。これをされるとピッチャーやキャッチャーは一瞬ランナーの動きに気を取られます。とくにキャッチャーからはランナーの動きがよく見えるので、盗塁のフェイクをされると捕球を焦ってボールを落としたりします。左ピッチャーの場合もランナーがよく見えるので、こういうリードをされると投げにくいかもしれません。女子野球でも強いチームになると、そういう動きで相手をけん制しているので機会があれば観察してみてください。

<図6>

 また盗塁ではショートやセカンドが2塁ベースに入るわけですから、盗塁のフェイクはバッテリーと同時にショート・セカンドもけん制することになります。他にも、スタートのフェイクで盗塁の時はセカンドが入るのかショートが入るのか内野手の動きをみて、エンドランやバントをするときの相手野手の動きを事前確認するために使います。ただし盗塁のふりをして勢いよく飛び出してリードを大きくとると、ベースに帰れなくなってキャッチャーからのけん制球でアウトになることも多いので気をつけて下さい。

 

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 というわけで、今回はリードと盗塁のスタートについて取り上げました。野球は「盗塁」というワンプレーだけでも、けん制の駆け引き、配球の駆け引き、戦術の駆け引きと、さまざまな思考が絡んできます。こんなに奥の深いスポーツはないと思いますよ。戦術について論文ができるくらいです。盗塁についてはもっともっと科学的にいろいろな方面から取り上げられることも多いので、いつかもっと奥深くつきつめてみたいと思います。

 

 

 

NO.47 走塁(2002.12.31)

 今回は走塁についてまとめてみました。実は今回も昔作ったデータが残っていたので、それをそのまま使い回してます。前に取り上げたことといくつか重なると思いますが、復習ということでかんべんしてください。

 

そこにある危機

 内野ゴロを打ってファーストへ走るときの注意です。図1で、(1)のように1塁ベースを走り抜けた後、ファールグラウンドの方へ大きくそれる場合は問題ありません。しかし、(2)のようにベースを踏んだあともラインの内側(フェアーグランド内)を走ってしまうと、2塁に向かう意志があると判断されてしまうことがあります。ラインの内側を走らなくても、少しでも2塁に向かう仕草を見せると審判にプレー継続中とみなされてしまい、その結果、ベースに戻る前にタッチされるとアウトになってしまうこともあります(図2)。1塁ベースを踏んだ後、うっかり2塁へ向かう素振りをするとプレー継続と見られてしまうので気をつけてくださいね。

 

進むべきか進まざるべきか

 あなたが、たとえばノーアウト、あるいはワンアウトで2塁ランナーだったとしましょう。バッターがフライを打ち上げた場合、2塁ランナーのあなたはすぐにベースに戻れる位置でボールの行方を見ます(図3)。野手(守っている人)がボールを捕球するのを見たらすぐに2塁ベースに戻りましょう。ボールは2塁ベースに返球されますが、ランナーのあなたがボールより戻るのが遅ければアウトになります。ボールが返球されてもベースに十分戻れる位置で、ボールを確認しましょう。
 走塁においてバッターが打ったからといって、なんでも飛び出して走ってしまうのは危険です。ライナー性の当たりは仕方ありませんが、フライがあがったときは注意して下さい。例では2塁ランナーですが、1塁ランナーの時でも同じです。3塁ランナーで外野フライがあがったときはタッチアップがあるので、これも注意して下さい。

  

 また、野手が捕るか捕らないか微妙なフライが飛んだ場合は、「ハーフウェイ・プレイ」といってベースとベースの中間点でボールの行方を見ます(図4)。野手がボールを落としたら次の塁へ進塁し、ボールを捕ったらもとの塁の戻ります。捕れるか捕れないかという難しいフライは、野手も捕球したときの体勢がよくないので、すぐに返球できないことも多いですが、リードも大きくとっているのですぐに帰塁してください。

      

 

送球路を走る

 たとえば、あなたが3塁ランナーだとしましょう。バッターがライン際のサードゴロを打ち、あなたがホームへ走塁するときに使うテクニックの一つです。ホームへ走るとき、ボールを捕ったサードとキャッチャーを結ぶ線上に体をもっていき、送球のジャマをします(図5)。サードはランナーとキャッチャーが重なって送球しにくいですし、キャッチャーもサードからの送球が見にくいというわけです。サードが投げたボールがランナーに当たってもアウトにはなりません。ただし、あまりあからさまにやると守備妨害をとられますので、ルールの許す範囲内でおこなってください。例えば走塁のときラインの内側にも外側にも極端にはみ出して走るとアウトになります(ラインの内外3フィート=約90cm以内ならはみ出してもかまいません)。ショートゴロやセカンドゴロでバックホームをするときは、ラインの外側に体をもっていき、キャッチャーの後ろを回り込むような走塁なども有効です(図6)。

 このように、送球のジャマをする走塁は、他にもいろいろなときに使えます。例えば3塁打を打ったとき、3塁でクロスプレーになりそうな場合に外野手と3塁手の間に入り、送球のジャマをしたり、挟殺プレーなどでも送球をうける野手の方に体を寄せて走ります。他にも送球と走る方向が重なるときに使ってみて下さい。ただし、これはアウトになるかならないかのクロスプレーのときに使うテクニックです。十分セーフになるときは普通に走塁して下さい。

   

 

 

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 今回は走塁について簡単にまとめました。本当はもっと書き加えたかったんですが、2003年まであと5時間となってしまったので、ここらでやめときます。忙しい時期でもなんとか毎月1回は更新したいと思います。2月3月は繁忙期になりますが、今年は会社にものすごい助っ人が入ったので、たぶん例年ほど忙しくならないでしょう。忙しくなっても有給とって休んでやりますがね。ともかく2002年もこのページにお付き合い下さいまして、本当に感謝しています。また来年も再来年も末永くよろしくお願いします。あと数時間ですが、みなさん良いお年を。

 

 

 

NO.48 審判(2003.3.21)

 今回は審判について。関西連盟では、試合の時に他チームの選手が審判(特に塁審)をしますが、そのときのためにいろいろな「審判の動き」を勉強しなければなりません。毎年2月に審判講習会なるものが開かれていますが、今回は以前その内容を簡単にまとめたものがあったので、それを掲載することにしました。審判の動き方についてもいろいろあるそうですが、こことではとりあえず私が覚えてる基本の動きだけを紹介します。もっと複雑だったような気がしますが、これ以上は脳の許容量を超えてしまって覚えてません。また細かいルールについては、このコーナーで細々取り上げていきたいです。

 

 ジャッジについて

 審判でジャッジをするとき大切なことは、「あいまいな仕草をしない」ということです。間違っていてもいいので(いいことはありませんが)、とにかくアウト・セーフをはっきりジャッジして下さい。

 ジャッジのジェスチャーははっきり大きく、遠くから見ている人でもわかるようにしてください。そして、アウトを宣告するときはひと呼吸おいてから、セーフのコールは出来るだけ早くコールしてください。アウトをひと呼吸おいてコールするのは野手がボールをこぼしたりすることがあるため最後までプレーを見届ける必要があるからです。セーフのコールを出来る限り早くするのは、他にランナーがいる場合は即座にコールしないと、そのままプレーが継続するのかしないのかによってランナーの動きも変わってくるからです。

 また、牽制や盗塁などタッチプレーの場面ではできるだけそのプレーが見えるように近づいてからジャッジをしてください。離れたところに立って適当にジャッジをすると、本当に見ているのかという不信感が選手に生じてきます。ジャッジをする瞬間、出来る限りプレーに近づいて判断してください。

 まとめると、迷わず、出来る限り近くで、大きくはっきり自信を持ってジャッジすることが大切なようです。

 

 本塁上での注意

■ストライクゾーン

 ストライクゾーン:上限がベルトと肩の中間のライン、下限はひざがしらの下。横の幅は、ボールがベースを少しでもかすればストライクになります。ただし、接点(ベースの角)を通過した場合は含まれません。

■自打球が当たった場合は?

 自打球が当たって、そのボールがフェアーゾーンに転がった場合、すぐに主審に当たったことをアピールしないと、フェアになります。主審も気をつけて見ていますが、捕手の死角になって自打球かどうか判断できないこともあります。自己申告なので、おおげさに痛がって転げ回るなど(?)、忘れずにアピールして下さい。

■バッターボックスをはみ出したら?

 バッターボックスから足が完全に出てしまった場合、アウトになるので気をつけて下さい。バントやスクイズの時に多いので、バッターボックスからでないよう心がけて下さい。(ライン上はアウトになりません)

 

 1塁上での注意

■1塁にランナーがいるときの審判の位置

  1塁塁審の立ち位置ですが、ベースの後方5メートルくらいの場所でラインをまたいで立ちます。ランナーが出塁した場合は牽制球のジャッジにそなえて少し前に出ます。左投手の場合はボークの判断もしなければなりません。

 

■打球の方向と、ジャッジをする位置

 内野ゴロのジャッジをするとき、1塁塁審はプレーの邪魔にならなくて、かつ、はっきりプレーが見える場所に移動しなければなりません。

 

 

■走塁妨害

 バッターが長打(2塁打以上)を打ったとき、1塁手はファーストベース上に立ってボールの行方をボーッと見ていると、ランナーの走塁の邪魔になります。もし、1塁手がランナーと接触した場合、走塁妨害をとられる可能性もあるので、バッターが長打を打った場合、1塁手はすみやかにベース)をあけ、ランナーの進路を妨害しないようにして下さい。

■ベースを駆け抜けたあと

 1塁ベースを駆け抜けた後、少しでも2塁へ行く意志を見せた場合、インプレーと見なされ1塁ベースに帰塁したときにタッチされるとアウトになります。ベースを駆け抜けた後に左回りで帰塁すると、2塁ベースの方向へ体を向けてしまうので、インプレーととられてしまうので、右回りでベースに帰塁することが望ましいようです。

 

 2塁上での注意

■2塁上にランナーがいるときの審判の位置

 塁上にランナーがいない場合は、2塁塁審は外野手の邪魔にならない場所に立ちます。ベースの延長上5メートルほど後方の位置で、打者の打席によってレフト寄りかライト寄りかを判断します。ランナーが2塁に出塁した場合は牽制球にのジャッジに備えて少し近づきます。ダイヤモンド内に入って内側からジャッジしても構いません。

■1塁上にランナーがいるときの審判の位置

 1塁にランナーが出塁したときは、ランナーの盗塁に備えてダイヤモンド内に移動します。盗塁はタッチプレーなのでできるだけ近くでプレーを見るためです。ダイヤモンド内ではしゃがむなどして出来る限り低い姿勢を取り、守備の邪魔にならないようにしてください。盗塁の場合は捕手からの送球の邪魔にならないよう、捕手からセカンドベースを結ぶ送球のラインから外れた場所に移動していてください。もし、動きがトロくて捕手からの送球に当たってしまったりすると、非難轟々、修羅場と化すので、自信のない人や気の弱い人はなるべく2塁塁審をしないほうがいいですよ。位置取りで一番難しいのが2塁塁審です。

 

 

 3塁上での注意

 

■3塁上にランナーがいるときの審判の位置

 3塁塁審の立ち位置は、一塁塁審の場合とほぼ同じです。ただ、牽制や2塁からの盗塁があるので、その場合は出来る限り近づいてジャッジをしてください。右投手の3塁牽制の場合はボークの判断もしなければなりません。

■タッチアップのときの審判の位置

 3塁の審判にはもう一つ大事なジャッジがあります。それがタッチアップの判断。打球がどこに飛ぼうと、「ランナー」と「捕球する野手」の位置が見える場所に移動します。ランナーのスタートが捕球より早くても、守備側からアピールがあるまで審判は特にアウトセーフのジャッジをしなくてもいいです。たとえフライングであったとしても、その場ではとりあえず心の中にしまっておいて下さい。ランナーがホームインしたあと、守備側がサードにボールを送球した時点で、アウトセーフをジャッジしてください。そのアピールがなければ、そのまま試合は続行されます。

 

 

 その他の注意

 

■得点と背番号の確認

 塁審は他にもいろいろ仕事がありますが、得点の確認と、打順と背番号が合っているかということも確認をしなければなりません。何点入ったかということと、打順が違っていたり、登録していない選手が出ていたりということをチェックして下さい。

■カウントの確認

 この他にストライク・ボールのカウントを確認する作業があります。もちろん主審もカウントを確認していますが、塁審も補助的にカウントを確認して下さい。主審から尋ねられた場合に答えられるようにしておいて下さい。 

 

 

 

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 と、いうことで今回は審判について取り上げました。あんまり面白くなかったかもしれませんね。今回のネタは、私をはじめうちのチームが塁審をしているときにかなり怪しい動きをしてるので、もっと勉強してもらおうと以前作ったものですが、どうせならとここで取り上げてみました。塁審をしていて挙動不審になるのは動きがわかっていないからですし、自信がないからそうなるだけで、ちゃんとルールや動きを覚えれば怖いことはありません。大事な試合でアホなジャッジをすると強豪チームの猛者たちを怒らせてしまうので、私たちのようなおとなしいうさぎちゃんチームが塁審をするときは常にビクビクしっぱなし。しっかり審判術を身につけて、「ワシがルールブックじゃい!」と面と向かって言えるまでになりましょう!

 

 

 

 

 

 

 

NO.49 エバース(2003.4.28)

 今回はバントの一つ「エバース」について。エバースというのはあまりなじみのない名前かもしれませんが、これから説明するプレーは誰もがよく知っている基本的なプレーです。名前の由来から、プレーの効果などについて簡単にまとめてみました。

 

エバースってなんじゃ?

 「エバース」というのは、ランナーの盗塁を助けるために行われる「援護射撃」です。たとえばランナーが盗塁をするときにバッターが「援護の空振り」をすることがありますね。あれの「バント版」がエバースです。バントの構えをして、ボールが来た瞬間にバットを引きキャッチャーの視界をさえぎるわけです。空振りにしろエバースにしろキャッチャーにとっては捕球しづらい状況になるので、落球したり送球が遅れたりします。そうやって盗塁をするランナーの動きをバッターが助けるわけです。

 もともとこのエバースは、バッターがバントすると見せかけてから内野手を前に誘い出してランナーの走塁を助けたり、それによって相手内野陣のバントシフト(守備態勢)をさぐったりするフェイクバントでした。でも今はどちらかというと盗塁の時にランナーを援護するために使われることが多いようです。

 「エバース」という名前の由来ですが、1900年代初めに活躍したカブスの名二塁手ジョニー・エバースの名前からきています。このランナーの走塁を援護するフェイクバントを編み出したのが、このエバースです。そして、この攻撃方法にそのままエバースという名前が使われているんですね。ちなみにこのエバース選手は野球殿堂入りするほどのえらい人です。

 

エバースの仕方

 さて、それではエバースの仕方について簡単に説明しましょう。エバースはバントの構えをして、バットにボールが当たるギリギリのところでバットを引いて見逃すというフェイクバントです(下図)。バントの構えだけで実際にはバントはしません。エバースを使うと、キャッチャーは一瞬バットにボールが隠れるため捕球しにくくなり、落球したり セカンドへ送球するのが遅れたりします。これでランナーの盗塁が成功しやすくなるわけですね。援護の空振りはボール球でも振るのでストライクをとられますが、エバースはバットを引くのでボール球の場合そのまま「ボール」になるため、バッターにとっても負担が少なくなります。

1.バントの構えをして

2.バットにボールが当たる瞬間バットを引く
ボールの軌道に沿ってバットを引くと効果的

 

 私はキャッチャーをしているので、盗塁の時にこのエバースをされると非常にやりにくいです。バントの構えでボールとバットが重なってボールが見えないのに、いきなりバットを引かれてボールが現れるわけですから、とても捕りづらいですね。下の写真を見てもらえればわかると思いますが、バットがあるのとないのとでは視界がずいぶん違います。エバースのポイントですが、バットを引くときにボールの軌道に沿ってバットを引くと効果的です。そうすると捕球する瞬間までボールが見えないわけですからキャッチャーが落球することも多いです。バットでボールをミットまで先導するように引いてくださいね。エバースの注意点ですが、あまりギリギリまで待つとバットにボールが当たってファールになることがあります。そうなると意味がないので気をつけてください。また、試合中に多用すると逆に「盗塁だ」と読まれてしまいます。送りバントでもない場面でバントの構えをされると、「エバース」=「盗塁」というわけですから、わざとバッテリーに外されてセカンドで刺されることもあります。ま、何でもそうですが、臨機応変に使ってくださいね。

 

エバースなしの視界
エバース有りの視界

 

 

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 と、いうことで「エバース」、いかがだったでしょうか。ここに取り上げるほどでもなかったかな。強いチームは自然とこのプレーが身に付いているようですね。盗塁のサインが出たら当たり前のようにやってきます。ところで長年の経験から、エバースが異常に上手い人種がいることに気がつきました。それが「キャッチャー」です。バッターにされてイヤなことはキャッチャー自身がよく知ってるわけですから、キャッチャーが打席に立ったら当然このエバースも上手い。そういえば私も中学時代にエバースの猛特訓をしたことがあります。されてイヤなことを知ってる相手ほど怖いモンはありませんね。もちろんエバースをされてもガッチリ捕球する特訓もしました。エバース……これでジャマされてもセカンドで刺せるようなキャッチャーが一人前のキャッチャーなんでしょう。全国のキャッチャーのみなさま、がんばりましょうね。

 

 

 

 

NO.50 左バッター・その1(2003.5.31)

 今回は「左バッター」についての特集です。うちの左バッターJが「右バッターになる!」と言い出しているときに運悪く左バッターについてのおもしろい本を見つけてしまいました。少しずつ取り上げていきたいと思います。

左バッターは得する? 

 野球をする上で左バッターはなぜ有利なのか? ちゅうことですが、「1塁ベースに近い」とか「ボールを見やすい」とか「エンドランなどの戦術で使いやすい」とか、まぁいろんなことが言われています。私はキャッチャーなので、盗塁の時に左バッターの存在が非常にやっかいに感じます。セカンド送球するときに邪魔ですからね。様々な点で右バッターと比べたら左バッターは圧倒的に有利です。足が速くて、ミートが上手、セーフティバントも決まるという左バッターほどイヤなバッターはいません。私は右バッターですが、どうしてソフトボールを始めたときに左バッターにならなかったのかと後悔するほどです。今から野球を始める、という人はぜひとも左バッターになることをオススメします。
 それでは、左打者が有利になる点をいくつかあげて説明していきましょう。

 

1塁へ走る時 

 あえて説明するまでもありませんが、左バッターは右バッターに比べて1塁までの距離が短いです。ホームベースを挟んで左バッターの立つ位置と右バッターの立つ位置は約1メートルほどの差があるそうです。つまり、左バッターは右バッターより1メートルほど1塁に近い地点からスタートできるわけです。同じ内野ゴロでも左バッターならセーフで右バッターならアウトということもありますね。私も内野ゴロでギリギリアウトになったときは、左バッターだったらセーフだろうな…と思うことがよくあります。内野安打も右バッターに比べて多いはず。左バッターの有利な点は、右バッターより1メートル近い地点からスタートできる点です。どうですか? 左バッターは得するでしょう?

 もうひとつは、左バッターが右バッターよりもスタートをしやすいという点です。どういうことかというと、左バッターはバットを振ったあと、自然と体が1塁方向へ向いているのでスタートを切りやすいのです。ところが右バッターはバットを振ったあと、体が3塁方向に向いてしまいますので、そこから体を1塁方向へ切り返して走らなければなりません。左バッターと右バッターでは、このスタートダッシュで約0.2秒ほど左バッターが早くスタートを切れると言われているそうで、これだけでもけっこう差がでてしまいます。やっぱり左バッターは得ですね。

 

盗塁の時 

 さて、「ランナー1塁で左バッターの時に盗塁を仕掛ける」というのはよくある戦術ですが、これはいくつか有利な点があるからです。バッターそのものは特に有利というわけではないのですが、左打席にバッターがいることで1塁ランナーは盗塁しやすくなるという利点があります。まずひとつはキャッチャーがセカンド送球をするときに左バッターがジャマになるという点です。キャッチャーはほぼ100%右利きなので、腕を振る右側に左バッターがいると送球しづらくなります。送球がバッターのバットに当たってしまうというアクシデントもありますし、バッターと交錯しそうで腕を振りきれずに中途半端な送球になることもあります。
 これだけでも十分、1塁ランナーの盗塁を助ける役割をしていますが、さらにもうひとつ、ランナーの盗塁の援護をしている点があります。それは、キャッチャーの視界をさえぎるということです。バッターが右バッターの場合は、1塁にいるランナーの様子がよく見えますし、盗塁のスタートを切ったかどうかも確認できます。しかし左バッターの場合、バッターの体がジャマになって1塁ランナーの動きがとても見づらいです。盗塁のスタートを切ったかどうか見えないときもあるので送球もワンテンポ遅れて、その結果ランナーの盗塁が成功することも多くなるわけです。
 このとき左バッターが普通に立ってもジャマになってファースト方向が見にくいのですが、バッターボックスのちょっと後ろあたりに立つと、これまたさらに見にくいことがあります。盗塁を仕掛けるときは、キャッチャーの座る位置を確認して、あえてファースト方向の視界をさえぎるように立つと効果的だと思います。と、いっても最近は左バッターが増えてきて、キャッチャーもある程度対応できているように思うので、それほど苦にはならないかもしれませんけどね。

 左バッターが前の方で構える場合
左バッターが後ろの方で構える場合
 

 

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 と、いうわけで今回は「左バッター」特集でした。野球では左バッターが有利だということが確かにいくつかはありますね。だからと言って右バッターがダメというわけではありません。野球界では左バッターが有利であるにもかかわらず、やはり右バッターの方が多いですから、やはり振りやすい方で振れっちゅうことなのかもしれませんね。次回もまたこの左バッターについて取り上げます。利き腕が右やから右打席の方がパワー出て飛ばせる…一概にはそうとは言えないようです。まだまだ左バッターの有利な点を書けそうですね。

 

参考文献:「左バッターになろう!」新日本石油野球部・監修(西東社) 

 

 

 

 

     


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