祝! 一千盤対決

 いやはや。
 カウントダウンなんて題名つけて、千枚に到達するのを指折り数えようかと思っていたのだけれど。
 過ぎちゃいました。

 いやあ、速かったね。一月は一枚も買わなかったから、今年中の到達は無理か、とか思ってたんだけど。こんなにあっさりと過ぎるとは本人も思ってもいなかったので、心の準備もないのですが、題名、変えなきゃね。カウントアップto弐千盤とか。

 まあ、それはいいとして。
 本人だけはちょっと楽しんだ、999枚目から一千盤へのカウントダウン。紹介するね。
 あ、それから。この数字は、本人が一度ざっと数えただけなので、ほんとに正確かどうかはわからないよ。って気にする人もいないだろうけど。誤差5%を許容範囲として、前後50枚ずつはどれでも一千盤、ってことで。

 諏訪内晶子 シベリウス、ウォルトン:ヴァイオリン協奏曲

 告白します。ジャケ買いです。しかも、久しぶりに買った音楽雑誌の、今年のベスト100とかに紹介されていた2センチ四方足らずの写真を見て、CD屋さんに走りました。それも二軒。しかも品切れ。マイワンラ。そこで別のCDをやけ買いしたのが一千枚突破への原動力なんだけど、それはおいといて。
 あきらめきれずに後日、飲み会の前にCD屋さんに寄って無事ゲットしたのがこのCD。いいでしょ、このジャケット。

 ヴァイオリンって、苦手だったんだよね。ひっかいて音出すでしょ。キィーって。それがちょっと。吹奏楽少年からジャズ青年に育った人間には、ふれあう機会もなかったし。元々ヴァイオリンに限らず、協奏曲って積極的に聴こうとも思わなかったし。
 諏訪内さんは、チャイコフスキーコンクールで優勝したのは知ってたけどしばらくそれっきりで。知り合いのアマチュアヴァイオリン弾きが好きだっていうから意識はしていたけど実際に聴いたのは最近で。
 そのころに聴いた何人かの若い女性のヴァイオリニストの中で、唯一、豪快にブン廻しながら弾く人だな、と思ったけれどそれ以上の感想はあんまりなくて。

 だからジャケ買い、って続くんだけど。
 でもね、これ、とってもいいです。ちょっとヴォリュームあげて聴くと、音の出はじめのザッ、っていう音がとてもリアルに聞こえてきて。v協っていうとメンデルスゾーンみたいな甘ったるい曲のイメージがあるけど、ここに入ってる曲はとても硬派で、その硬派な曲にザッ、っていうのが合うんだなあ。
 あんまり期待してなかったんだけど(ごめんなさい)、結構なヘヴィーヒッターです。

 椎名林檎 加爾基 精液 栗ノ花 カルキ ザーメン クリノハナ

 さて、記念すべき一千盤は、椎名林檎。アルバム三枚で椎名林檎「を」やめるといっていた彼女の、三枚目。
 彼女に関する僕の知識は、三枚のアルバムとライブ盤、そしてRockn' on Japanという雑誌のいくつかの特集記事に限られるんだけれど。

 その中での彼女像は、「自覚的な天才」。

 勢いにあふれる1,2枚目も、天真爛漫な才気あふれる新人歌手が偶然作り得たものではなくて、才能を自覚している天才が周到な計算のもとに創ったアルバムで。

 そう思ってしまった僕は、二枚のアルバムを愛聴はするけれど椎名林檎とはちょっと距離を置いている、というスタンスで。

 そして、妊娠、結婚、出産、離婚、リハビリ(カヴァーアルバムね。僕の中ではなかったことになってるけど)を経て帰ってきた椎名林檎。Rockn' on Japanを読むと、その最中に崩壊と再構成をも経て来たようだけど。

 その上でこのアルバム。
 刺激的なアルバムタイトルとか、シンメトリーな曲の構成とか。そういうことはどうでもよくて。
 唄い方も、編曲にも、ノイジーな部分が少なくなって。その分、曲が裸になった。

 その、裸になった曲は。

 裸になった曲は。
 驚くべきことに、それは珠玉のメロディーの羅列で。
 ああ、椎名林檎って、メロディーの人なんだ。

 ぱっと耳につくわかりやすい仕掛けは減ったけれども、ノイジーな鎧を脱ぎ捨てた彼女の唄。
 絢爛豪華な音の洪水と泣きたくなるような素直なメロディーと、そして声。もう少し時間をかけて味わっていきたいな。

 記念すべき一千盤だし、ね。