平凡な保険のセールスマン、トゥルーマン。
しかし、実は彼が生まれたその時から、彼の24時間、一挙手一投足はすべて連続TVドラマとして、世界中の人々の目にさらされていた。
最初にこの映画のストーリィを聞いたとき、なんて凄いことを考えるのだろうと思い、興味を感じていたのですが、そのまま見ずじまいとなっていた作品。
旧作レンタル半額週間の最終日、お目当て作品が借りられてしまっていたことから、ふと思い出して見るに至りました。
主演はジム・キャリー。
平凡だけれど、一生懸命明るく生きようとしている人物。その彼がふと疑問を感じ始め、自分の人生への懐疑心を膨らませていく過程を、ジム・キャリーはみごとに演じています。表情がとても豊かなところが、ジム・キャリーの持ち味・魅力でしょう。
そしてついに、見ることの出来ない相手に挑むかのように彼が冒険に乗り出した場面、自分が生きる世界の壁にぶちあたった時のやりきれなさ、絶望感をもつ場面は圧巻です。
TVドラマ「トゥルーマン・ショー」のプロデューサーは、ドラマの人生と実際の人生がまるで異なるものであることを少しも理解していなかった。人間の尊厳というものを、強く感じさせられる作品です。
しかし、トゥルーマンの行動とそれを手に汗握り見守る視聴者、それは実はそもそも映画・TVの主人公と我々の関係でもあります。ですから、この作品に登場する多くの視聴者たちは、実は我々自身の姿でもあります。そんな三重構造をもっている作品。
構想スケールが大きい割に、ストーリィ展開はあっけなかったという印象ですが、なかなか食えないものを含んでいます。そんなところにも面白みを感じる作品です。
2002.01.05
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