知的障害のある三女・カーラが、施設を卒業して自宅に戻り、自立するための職業訓練学校への通学、ボーイフレンド後に恋人となるダニエルとの交際、そして結婚にいたるまでのストーリィ。
カーラ役のジュリエット・ルイスの熱演、ダイアン・キートンの、カーラを過保護して愛情が空回りしてしまう母親役の好演が、見所である作品。
ありふれた日常生活とも言うべきストーリィですが、知的障害のあるカーラ、ダニエルにすれば、一生懸命に生きている証しと言えること。知らず知らず、感動が胸の内に積もってきます。
本題から外れますが、家政婦役のジュリエット・ミルズが懐かしい。昔、TVドラマ“ぼくらのナニー”で現代アメリカ版メリー・ポビンズという家政婦ナニー役を好演した女優さんです。私としては好きな女優さんなのですが、彼女の妹が評判になったことと、自身平凡な印象のところが主役級で活躍できなかった理由でしょう。昔と殆ど変わらないのが嬉しい。
原題の“The Other Sister”は、素晴らしい題名です。父親、母親だけでなく、2人の姉も含めて家族全員が末娘カーラを温かく見守っているということが、題名からだけでも伝わってきます。それに対して、邦題は単なるストーリィの表面的な一部の事柄を捉えただけのもの。こうした底の浅い題名をつけて平然としているところが、日本の映画文化の低レベルさを象徴していますし、日本映画が低調なのも当たり前という気がしてきます。
2000.08.09
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