出会い系サイトで知り合った、富裕な未亡人らしい老婦人のベティと、やはり妻を亡くした老紳士風、実は詐欺師のロイ。
ロイが根っからの詐欺師で、狙いがベティの財産を騙しとることにあるのは明らか。
富裕な老婦人であれば近づく男たちに用心して当たり前のところですが、何故かすんなりとベティはロイと親密さを増していきます。
ロイにとって唯一の障害は、ベティのたった一人の孫という青年。しかし、ベテラン詐欺師のロイからすれば、ベティを誑し込み孫の邪魔を躱すことなど造作もないことでしょう。
しかし、すんなり2人の関係が進むのは、実はベティ側もロイを騙そうとしているからだと、すぐ察せられます。
ベティはロイを騙して何をしようとしているのか、それは何故なのか。
騙す側と、すっかり騙されているふりをして騙し返している側、後者の狙いが少しも明らかにされないため、ゾクゾクするようなサスペンスを感じます。
緊迫に満ちた雰囲気をもたらしているのは、共に名優のヘレン・ミラン、イアン・マッケランの2人が凌ぎを削っているからに他なりません。
途中の興奮に較べると、結末はやや呆気なかったかな、と感じます。
ベテランにして名優である2人の演技を堪能できること、そして2人が醸し出すサスペンスの雰囲気が、何よりも本作の魅力と言って間違いありません。
お薦め。
2020.02.11
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