“イニシェリン島の精霊 ★★☆
The Bansees of Inisherin
(2022年イギリス/アメリカ/アイルランド映画)

監督:マーティン・マクドナー
脚本:マーティン・マクドナー
出演:コリン・ファレル、ブレンダン・グリーソン、ケリー・コンドン、バリー・キオガン

 

1923年、アイルランド西海岸に浮かぶ寒々しい辺境の島=イニシェリン島を舞台にした濃密な人間ドラマ。

牛飼いをして暮らす純朴な男=パードリックは、年上で音楽家のコルムと、いつもパブで語り合う親友の間柄。
しかし、パードリックはそのコルムから突然に付き合いを拒絶され、しかもおまえが嫌いになった、一切口を利くな、とまで言われてしまう。
何が何だか分らなく戸惑うばかりのパードリックは、パブの店主や、一緒に暮らす妹のシボーンが止めるのも聞かず、コルムに相変わらず付きまとうのですが、その結果コルムは、いくら予告していたとはいえ、信じ難い行動に出るに至ります。

コルムにはコルムなりの理由があるのですが、自分を非難されているようでパードリックとしてはとても納得できるものではない。
そして、パードリックとコルムの対立はエスカレートして行きついに・・・。

ほんの些細なことでも双方が感情的に対立してしまえばお互いに深く傷つけ合うことになる、ということを象徴するかのようなストーリィ。
さらに周辺にいる人々まで、二人の対立に何らか巻き込まれているという様相。

対岸の本土からはアイルランド国内抗争の爆発音が聞こえてくるのが、決して無縁ではないことを示しています。

明るい話どころか、最後に決着がつく話でもなく、不毛感ばかりが残る作品ですが、パードリックとコルムのドラマに圧倒された思いです。

なお、“精霊”とは何のことだったのか・・・。

2023.01.29

       


  

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