“恋におちたシェイクスピア” ★★★
Shakespeare in Love
(1998年アメリカ映画)

監督:ジョン・マッデン  
主演:グウィネス・パルトロウ、ジョゼフ・ファインズ・ジェフリー

 

シェイクスピア大ファンの私としては、シェイクスピアのイメージを損なうことなく、シェイクスピア当時の気分を味わえて、とても楽しめた映画です。
この作品の主人公は、シェイクスピアより、ヴァイオラという女性と言って良いでしょう。ヴァイオラとは、シェイクスピア好きならすぐ気づく筈、「十二夜」の主人公となる女性の名です。
新作の執筆に苦しむシェイクスピアの前に、芝居好きな貴族階級の令嬢ヴァイオラが姿を現します。芝居好きで、詩的ロマンスに憧れる彼女は、身分にもかかわらず男装(トマス・ケント)して役者に応募してくるのです。そのトマスを追いかけたシェイクスピアは、ヴァイオラの邸に辿り着き、一目見たヴァイオラに恋心を抱くに至ります。
そして、シェイクスピア劇のような男女思い違いのプロットを経て、ヴァイオラとシェイクスピアの間には身分違いの恋が燃え上がります。そして、その恋は、シェイクスピアをして名作“ロミオとジュリエット”を執筆させるに至るのです。
この映画で何と言っても魅力あるのは、ヴァイオラという女性、そしてそれを演じたグウィネス・パルトロウという女優さん。シェイクスピアのセリフに心ときめかせる一方、男装してロミオを演じ、またシェイクスピアとの恋に燃える女性を演じます。それでいて、現実を直視し、自分の将来を見据える強さを持っています。それに比べれば、シェイクスピアの役割など単調なもの。
シェイクスピア当時の上演風景を描くと共に、“ロミオとジュリエット”の創作過程を楽しませてくれ、女性が男装して恋する男に近づくというシェイクスピア劇そのものを盛り込む、そしてきちんとエリザベス女王も出てくる、なかなか贅沢な楽しさと言えます。
ラブ・シーンにおけるグウィネス・パルトロウの綺麗さが印象的でした。
エンディングのシーンも良いなぁ。

本作品は、第71回アカデミー賞の6部門を獲得。
作品賞、主演女優賞、助演女優賞
(ジュディ・デンチ)、美術賞、衣裳デザイン賞、作曲賞(ミュージカル/コメディ)

2000.03.20

 


 

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