“オッペンハイマー ★★★
Oppenheimer
(2024年アメリカ映画)

監督:クリストファー・ノーラン
原作:カイ・バード、マーティン・J・シャーウィン
脚本:クリストファー・ノーラン
出演:キリアン・マーフィ、エミリー・ブラント、マット・デイモン、ロバート・ダウニー・Jr、フローレンス・ピュー、ラミ・マレック、ケネス・ブラナー、トム・コンティ

 

2024年アカデミー賞7部門(作品賞・監督賞・主演男優賞・助演男優賞・助演女優賞等)を受賞して話題となった作品。

第二次世界大戦下、ニューメキシコ州のロスアラモス国立研究所で極秘の原子爆弾(原爆)開発プロジェクト“マンハッタン計画”を指揮し、“原爆の父”と呼ばれた理論物理学者=J・ロバート・オッペンハイマー(1904〜1967)を描いた伝記ドラマ。

科学者であると同時に人間であることも忘れなかったからこそ、原爆開発、広島・長崎への原爆投下に衝撃を受け、その後の水素爆弾(水爆)開発に反対したオッペンハイマーの、苦悩に満ちた人生を共感する思いです。

水爆開発反対活動、妻キティ(エミリー・ブラント)、弟であるフランク夫婦、元恋人のジーン・タットロック(フローレンス・ピュー)が共産党員だったことから、ソ連のスパイ疑惑がもたれ、公職追放となったオッペンハイマー。

さすがはクリストファー・ノーランと感嘆したのは、それらの動きを描き出す後半、オッペンハイマーが非公式の公聴会で不当にスパイ疑惑を執拗に追及される場面を、オッペンハイマーを個人的恨みから叩き潰そうとした人物の閣僚指名可否の場面を、対比させるような形で描き出したところ。
人間の過ちを正そうとして行動した人物と、野心と個人的恨みから行動した人物との対比は鮮烈です。

また、大勢の人間を前にした騒がしい場面に引き換え、アインシュタインと二人だけで言葉を交わす静かな場面もまた対照的であり、印象的でした。

2024.03.31

           


   

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