“母の眠り” ★★
ONE TRUE THING
(1998年アメリカ映画)

出演:メリル・ストリープ、レニー・ゼルウィガー、ウィリアム・ハート

 

母親が癌を発病したため、父親の指示に従い、ニューヨークで記者をしていた娘が母親の看病と家事のため、実家に戻ってくるというストーリィ。
母親をメリル・ストリープ、娘をレニー・ゼルウィガーが演じています。

娘のエレンは、文学者である父親を崇拝していて、自分自身もニューヨークで成功しようと夢見ている。したがって、母親の看病とはいえ、キャリアを犠牲にして実家に戻ることは不本意、家事にしても苦手というのが本心。
しかし、母親の病状が進むに連れ、崇拝していた父親が必ずしも完全な人間ではないこと、ありきたりな主婦業としか考えていなかった母親の生活に深いものがあることを知るようになります。
そんな母娘を演じて、メリル・ストリープは名演技であり、またレニー・ゼルウィガーも彼女らしい良さ、生身の人間のなりふり構わない姿を如何なく演技していて、お見事。

向上心あるいは野心をもって成功を目指すのが良いのか、足りることを知って幸せを感じるのが良いのか、どちらが良いとも決められない問題です。ただ、そのどちらにしても、いざ立ち向かうべき時には自ら立ち向かう勇気を奮い起こさなければならない。その点、本作品の母娘にはその勇気があり、一方父親にはその勇気が足りなかった、というべきストーリィなのでしょう。

地味な映画ですけれど、メリル・ストリープ、レニー・ゼルウィガーの演技をはじめ、見始めたら目を離せない見応えがあります。

2004.02.07

    


   

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