キャンピングカーで全米を移動しながら、各地で季節労働者として働く、“ノマド(遊牧民)”として暮らす人々の姿を描いた作品。
実在のノマドたちも多数登場しています。
主人公は、ネバダ州の企業城下町に暮らしていた60代女性のファーン。
町の産業を支えていた工場がリーマンショックで閉鎖となり、町はは不景気に。夫も亡くしたことから、ファーンはワゴン車をキャンピングカーに改造し、車の中で生活しながら仕事を求めて全米各地を巡るノマドとなります。
働き先は、アマゾンの配送センターだったり、国立公園のスタッフ、工事現場だったりと様々。
綱渡りのような生活、と思わざるを得ません。老齢の身で、いつまでこうした生活を続けることができるのか、と。
しかし、旅の中で他のノマドたちとの交流も生まれます。仕事を紹介してもらったり、孤独を紛らすこともできたのか。
それでもたった独りになることが幾度もありますが、大自然の中にたった一人佇む姿は大自然の美しさを満喫しているようにも、アメリカ開拓民の源流を見るようにも思います。
途中で知り合った男性からプロポーズされる、ということもあるファーンですが、彼女の選んだ道は何なのか・・・・。
ファーンが出逢うノマドたち、高齢者ばかりであることが印象的。
高齢者貧困の結果なのでしょうか。
しかし、ファーンの姿、行動ぶりを見ていると、一定場所に留まりボケていく人生の最後を拒絶し、一日一日を過ごすことが全てという厳しい状況に身を置くことで、人生の最後までを生き抜いていこうとしているように思えます。
果たしてファーンの内心にはどんな気持ちがあるのでしょうか。
ノマドの生活は、終わることなく続いていきます。
2021.04.07
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