“ナイトメア・アリー ★★☆
Nightmare Alley
(2021年アメリカ映画)

監督:ギレルモ・デル・トロ
原作:ウィリアム・リンゼイ・グレシャム
脚本:ギレルム・デル・トロ、キム・モーガン

出演:ブラッドリー・クーパー、ケイト・ブランシェット、トニ・コレット、ウィレム・デフォー、リチャード・ジェンキンス、ルーニー・マーラ

 

シェイプ・オブ・ウォーター」のギレルモ・デル・トロ監督が、ウィリアム・リンゼイ・グレシャムのノワール小説「ナイトメア・アリー−悪夢小路−」を再映画化したサスペンスとのこと。

舞台は1939年のアメリカ。
主人公スタンは、最初から訳あり風に登場し、見世物一座に入り込むところからストーリィは始まります。
最初こそ見世物一座で真面目に働いている印象だったスタン、<読心術>のテクニックを手に入れたところから、何やら行動が怪しくなってきます。
電流ショーを演じていた美女のモリーを口説き落とし、2人して一座から脱出。2年後、二人は一流ホテルで読心術のショーを披露しているのですが、心理学者だという女性=リリス・リッターがスタンに声をかけてきたところから、スタンの成功欲が強まっていき・・・・。

欲にかられた人間はどうしようもなくなる、という典型的なストーリィ。
冷静に考えれば、パートナーの意見に耳を傾ければ、・・・ちょうど博打にかられた人間と同様の泥沼に足を取られた、という心理サスペンスと言うべきでしょうか。

ケイト・ブランシェット演じるリリス・リッターという女性がまた妖しい。いったい何を企んでいるのか、スタンをどう操ろうとしているのか。
このリリスと純真なモリーとが、スタンを挟んで対照的。

最後、・・・の身となったスタンが足を向けたのは、またもや別の見世物一座。
スタンの運命は・・・とすぐ推察がつくのですが、本人の自虐的笑いが、自ら作りだした悲劇を象徴しています。

全般的に画面は暗いのですが、ケイト・ブランシェットの登場、彼女が演じるリリス・リッター顔を明るく照らす趣向が、なおさら不気味さを引き立てていました。

軽く面白いと言えるような作品ではありませんし、スタンに同情を覚える気もしませんが、スタンの身になれば何故こんな愚かな失敗をしたのかと自虐するしかないのでしょう。

2022.03.30

       


  

to 映画note Top     to 最近の映画 Index